『絶対に大会には出たい。葉っぱ色のユニフォームを着て、にのちゃんにかっこいいとこ見せたいから』
そう言ったまーくんは、捻挫はクセになるからちゃんと治すんだ、と、プロのスポーツ選手も頼る有名な病院へしばらく通うことにしたらしい。部活は脚に負担のないトレーニングだけにして切り上げる日々が続いた。
俺は俺で、まーくんと会える日が減ったことを寂しく思いつつ、相変わらずデータ分析の真似事をしていれば忙しく過ごせたから多少気は紛れたし、なにより彼の負担になりたくなかった。まーくんに重いヤツだと思われたくないから、メッセージのやり取りもなるべくさっぱりと済ませるようにしていた。
この頃、彼がこれまで以上に俺を深く求めるようになった。
今までも会えばほとんど必ずと言っていいほどシていたけれど、あたたかで幸せに満ちているだけの、あの初めて触れあった用具倉庫のようなやりかたではなかった。
彼は何かを振り払おうとしているように感じた。
とは言えそれは乱暴にするのではなく、とにかく俺に集中して、俺を蕩かすことを至上とするような。それこそがまーくんの幸せだとでもいうような。
深く入り込んで、強くゆさぶって、俺を啼かす。
抗えない快感に堕とされていく。
「まっ・・・て、まぁ・・・も、無理ぃ」
「無理じゃないでしょ?大丈夫だからオレに任せて、きもちいの、たくさんしてあげるから、ね」
「やぁ、こわい・・・も、イクの、ずっと止まんない・・・」
俺の身体を知り尽くしたまーくんに、強い快感を教え込まれて、いつの間にか喘ぐ声を抑えることも出来ず、泣きながら彼にしがみついていた。
「あん、あっ・・んぁあっ、ま、くん、すき、、だいすき」
「にのちゃん、オレも大好きだよ、もっとギュッてしてて」
腰を強く打ち付ける彼の背中に爪を立て振り落とされまいとしながら、同時に快感を逃さないように、気づけば彼に自分から脚を巻き付けてもっと奥へ欲しいと腰を擦り付けてねだった。
「にのちゃ・・・エロ、腰揺れてる・・もっと?」
「もっ、と、っん・・んぁっ...///」
「怖いのなくなった?へーき?」
「んん、んっ・・・もっと、シテ、」
熱い身体に組み敷かれて逃げ場を失った俺は、ひたすら与えられる行き過ぎた快感に、意識を飛ばすこともしばしば。
頻繁にお互いの家を行き来して時には泊まることもあった。
そんなとき、目が覚める時は必ずまーくんの胸に抱き込まれていて、汗ばむ身体から、ずっと抱きしめていてくれたことを知る。
いつでもそうだった。
俺がひとりで目覚める事は1度もなかった。
大事にされている、愛されていると実感できた。
そして、ふたりで果てた後に、まーくんは泣くことも増えた。
シている最中に泣き出すことも度々で。
俺の中で熱くカタく主張していたモノが急に意気を失うこともあった。すぐに復活はするけれど、でも、もしかして治療が上手くいってないのか、バスケが出来なくなるのか・・・。
俺は心の中でそんな不穏なことを考えてしまっていた。
よく心労で勃たなくなるって聞く。
ストレスとかで。
まーくんのストレスの原因って
・・・俺じゃなければいいんだけど。
健康な高校生男子が勃たなくなる程のストレスってなんだろ。
練習がんばってるから、疲れてるだけかな。
無理はして欲しくない。
でも、頑張りたいなら支えたいのに。
何かあるなら言ってもらえないことも、すこし寂しかった。
でも、彼から何か言い出さないうちは、俺からは聞くことはしなかった。
それはまーくんを信じているから。
必要なことは話してくれるし、言わないということは、俺が知る必要のないこと。きっと心配かけまいとしているのだろう。俺のカラダ優先のまーくんは、やっぱり甘やかに俺を愛してくれることには変わらなかったから。