「昨日の和也、すげーよかった」
良かったといわれて、よみがえる昨夜の情事。
パソコンに向かいながら、さも興味がないといった背中で聞いているが、思い出すと下半身が無意識にうずく。
穿たれる強さ。無遠慮に肌のぶつかる音。
奥に届くソレで圧迫される腹腔の苦しさとそれ以上の快感。
前から垂れる粘液を潤滑油に俺の熱棒が智の手で扱かれるたびに余計に溢れ出るいやらしい体液。親指で敏感な先端をくるくると愛撫されるたびビクビクと震えるソレ。
ぐちゅぐちゅと部屋に響いた水音。
お互いの精液のにおい、と体温。
吐き出されたそれらの熱。
湿度。
キーボードに置いた指はいつの間か止まり、舌で上顎をなぞっている自分に気づいて、ハッとした。
「・・・そりゃ、どーも。」
自身の焦りを誤魔化すためにそっけなく返せば、クスッと小さく笑う気配があった。
居心地が悪くなり立ち上がり
「コーヒー飲むなら、いれるけど」
「うんめーの、いれてよ」
「別に、いつものと変わんないよ」
きっといま、俺の耳は赤く染まってるんだろう。
自覚がある分、始末が悪い。
でも、それすらアイツにしてみたら「可愛い」のだろう。
俺自身は、自分の態度を可愛げのかけらもない・・・と思っている。でも、多分、智は俺が思う「俺の可愛げ」とは違うトコを見てるんだろう。
抱かれるたびに可愛い可愛いと言われて。
正直、悪い気はしない。
俺は男だし、それなりに自立している自覚はある。
智は庇護欲ではなく、俺に欲情しているのはカラダを重ねる度に彼の熱さで理解する。委ねて守られて、という関係性ではなく、ただ可愛がられることを受け入れてしまえば、妙な高揚感と心地のよさ。
こういう甘やかされた生活を、心地よく感じてしまっている。
これが今の俺の日常。
今日も明日もずっとそうみたいに。
・・・きっといつか、終わる、のに。