マネージャーの迎えは7:00。



シャワーを浴びて、いつものTシャツにカーディガン。

今日のコーヒーは・・・ブラックで。

天気を確認するためにつけていたテレビを見ながら腕時計を軽く振って動きを確認。リューズを巻いて時刻を合わせる。時計を腕に添えてバックルをかみ合わせれば、金属音ながらしっとりとした、かちゃり、という音に満足感を得た。




こうしていつものルーティンで身体は自然に動く・・・。


ただ、馴染んだ動きのはずなのに、どうにも拭えない違和感。

頭の中と、カラダの乖離をどうにか気力でまとめて仕事へ向かう。








今日は新曲MVの撮影のため、ロケで郊外へ。


広々とした倉庫にクレーンやスモークなど、めいっぱいの装置が運び込まれていて、すでにスタンドインで画角決めが始まっていた。



「おはようございまーす」



声を張れば各セクションから挨拶が返ってくるのは気持ちがいい。

そのままスタッフと挨拶を交わしつつ、控室に通される。


そこで見た光景は、一瞬の戸惑い。




「・・・おはよ・・・ニノ、なにしてんの」


「おはよー・・・って、なあに?翔やん、見てわかるでしょ」



すでに到着してメイク待ちのニノ、が、二宮和也が。


フッ、フッと息を吐きながらマットの上で



「絶賛部活中よ、マッスル部!」



腹筋をしていた。





「最近、結構食べる仕事多くてさぁ、できるときにやっとかないとね」


「・・・ゲームは?」


「ゲーム?え、なんの?ごめん、翔やんとそんな話してたっけ」



なんだこれ。

またの違和感。


ニノが、まるで別人のような。


俺の知っている二宮和也であれば・・・いや、ちがう。



そうだ。


いいんだ、これで。

ニノは、こうして体を動かすことが好きで、時間が空けば何かしら筋トレやストレッチをして過ごしている。


・・・知ってる、わかってる。


俺は一体、誰、と比べているんだ?