熱い身体はそのままに

俺から離れようとする相葉くんが切なくて。



「・・・そんなに俺、信用ない?」



「え?」



「そんな風に諦めないでよ」



「・・・諦めるって、そんな」



「俺、話せばわかる男よ?」



俺自身は案外冷静。

仕掛けてくれた相葉くんを受け入れるだけだから、余裕があるのはズルいとは思うけど。切羽詰まってる彼をすこしでも話しやすくしてやりたくていつも通りに。





「相葉くん」


「・・・はい」


「ありがとう」


「・・・え?」


「・・・俺、相葉くんが、好きだよ」





そういってしばらくの沈黙。


相葉くんの背中に密着してるから、呼吸の様子が変わったことに気づいた。


相葉くんがしゃくりあげながら泣きだすと、そのせいか体温が上がって。少し汗ばんでいるのが愛おしく、思わずうなじにキスをすると、びくっと身体を震わせて、一気にカラダに力が入った。でも絶対に離してやらないって意志を伝えたくて、尚更にぎゅっと強く力を込める。




どれくらいそうしていただろう。




いつの間にか相葉くんがくすくすと柔らかく笑っている。





「・・・櫻井さん。やっぱり可愛すぎるんですけど。」


「ったく、何をもってキミはそういうことを言うかな」


「だって、きっと無意識でしょ、それ。・・・気持ちは、わかります。・・・オレもやりましたし。」




『それ』と言われた俺は、しばらく相葉くんのうなじに唇を寄せたまま、彼の汗のにおいをすんすんと無意識に嗅いでいたらしい。


俺のそんな恥ずかしい仕草で相葉くんを緩めてあげられたなら本望だよ。



・・・うん、ホントに。



引き留めるためにぎゅっとしがみついた恰好だったけど、相葉くんのカラダから力が抜けたことを感じられたから、手を腹の前で組みなおす。



そのまま俺より少し背が高い相葉くんの肩越しに頬を預けて。彼の背中に自分の胸元を隙間なく寄せ、ゆっくり呼吸を合わせる。



お互いの体温を感じあうこの時間は至福。

相葉くんの広い背中が大きく深呼吸をした。


そして。



「櫻井さん・・・オレ、櫻井さんが好きです。」





と、低く強く、言ってくれた。