「抱かせて・・・って、ちょっと相葉くん」
熱い息が耳にかかる。
どこか現実味のない、でも、俺を離さない腕の強さと体温は紛れもなく、相葉くんのもので。ここを誤魔化したら相葉くんを酷く傷つけるんだろうと、それは確信していた。
返答に逡巡しているその刹那
「んっ・・・」
唇に触れるだけの優しいキス。
目を合わせると、優しい目元はそのままに
瞳の奥には滾る欲を隠さない。
嫌ではない。
ただ、やっぱり、俺的にも心構えというか順序というか・・・
つまり、慎重という名の・・・びびってるよ、正直。
そんな俺に相葉くんが気づかないワケがない。
気づいているからこその、強引。
「櫻井さん・・・ね?」
優しいのに有無を言わさない態度で、また、キスを迫られる。
いいよ。
受けてやろうじゃん。
俺は強気に、少し口を開いて、相葉くんのキスを受け止めた。
「ん・・・ッ」
「ッはァ、さくらいさん・・・かわい」
「か、わいく・・・ねー、っん・・・・」
相葉くんの大きな手で頬と後頭部をホールドされ、いいようにされている。気づけばいつの間にか壁際に追い詰められて、脚の間に膝を突っ込まれて身動きがとれない。
ぐいぐいと膝で俺のソコを刺激されると
この状況、どうしたって無反応という訳にはいかない。
でも、これは・・・たぶん、ダメだ。
このままなし崩しに進めるのは違う。
息を吸うことも許さないとばかりに咥内を好き勝手に荒らしてくる彼は・・・きっと、怖いんだと思った。
俺から何か、言われるのが。
決して否定なんかしない。
むしろ。
「透明な壁」をこんな時に思い出す。
この何も隠していない彼を見せるのも触れさせるのも、俺には想像もつかない覚悟が必要なのだろう。
そして、ここに来る時に感じたあの「まっしぐら」の、背中。
それと同じような切迫感。
話を聞いて、と言った割にはいきなりのコレ。
・・・大丈夫だと、伝えたい。
受け入れるよ。
だから、話を聞かせて。
「・・・んッ、はァ・・・ッ」
「さく、らい、さ、ん・・・」
「ちょ・・・っ、と、まッ・・・あ、あいば、く・・・んッ」
「櫻井さんが、欲しい・・・ね?」
「ね、って、ちょっ・・・まっ、て、あいばくん!」
ぐっと胸元を押し返して身体を離す。
ここに来てやっとまともに向き合ったけど、相葉くんは俺を見ないまま、肩で息をして「オレ、こんなです・・・ホントは。」と、顔を背けて離れようとするから。
今度は俺から彼の背中を抱きしめた。