「いつか櫻井さんの話をきかせて」
と言ってくれた相葉くん。
俺の話、か。
自分のことを知りたい、と言ってもらえて。
それが誰あろう相葉くんで。
嬉しい反面、正直怖いな、とも思う。
世渡り上手、悪く言えば・・・八方美人?
あ・・・
なんで相葉くんに「本当の俺」を見せること前提なんだ。
それこそ、「いいひと」の看板で上手くかわせばいいのに。
あの日を境に、俺は相葉くんを遠慮なく誘うことにした。
そしてそれは、相葉くんが俺に、も。
「櫻井さん、もう今日は先方さん、連絡くれなさそうですねぇ」
「だな、結局のとこ、向こうからの回答待ちだし、俺らがこれ以上会社で待ってる必要もないな」
「メシ、いきますか?」
「こんばんはー」
「お、いらっしゃい、いつもどうも」
「おーちゃん・・・櫻井さん、オレの上司なんだよ?もう少し丁寧に接してくれない?」
「あはは!いいよ、相葉くん、俺こういう感じスキだから」
「オイラもしょーくん、好きだぞ!」
あははーっと笑って席に着いてビールを待つ。
いつもならビールを待つ間にも途切れなく他愛ない話をする。
が、いま、相葉くんは口数が少ない。
「どした?・・・疲れてる?」
「あ・・・いえ、すみません、えっと・・・あ、今日、忙しかったですね」
「もう、新規案件とってくるのはいいけど、営業のヤツら、何でもかんでも言いなりになってくんなっつーの、なぁ!」
「・・・・・・」
「・・・相葉くん?」
「あ、すみません、えっと・・、ハイ、そうですよね」
と、そこへ智くんがビールを持ってきてくれて。
「しょーくん、赤貝の刺身あるぞ?」
「だろぉ?今日も食うか?」
「食いたい食いたい!」
「ちょっと待ってろ。あ、相葉ちゃんはとりあえずから揚げでいいか?」
「・・・ん、おねがい」
乾杯、と、グラスを合わせると、相葉くんはぐびぐびと一気に半分以上を飲んで。
「櫻井さん」
「おーちゃんと、すごく仲良くなってますね」
「あー、うん、一人で飯食うくらいなら、ここに来たほうがうまい飯食えるしな、って・・・。えっと、智くんが『飯食いに来い』って連絡くれるからついつい・・・あー、ごめん、家の近所に上司がしょっちゅう来てたら、イヤ、だよな」
いつになく、トーンの低い相葉くんの声色。
思わず言い訳のように言い募る。
「すみません、ずいぶんおーちゃんと仲良く話してるから・・・オレのほうが長く一緒にいるのになーって、羨ましいなって、思っちゃいました」
と言ってくれた相葉くん。
俺の話、か。
自分のことを知りたい、と言ってもらえて。
それが誰あろう相葉くんで。
嬉しい反面、正直怖いな、とも思う。
世渡り上手、悪く言えば・・・八方美人?
容姿がそれなりであることも手伝って、表面的な愛想の良さを発揮することは、俺的には心地よい距離感の人間関係をつくる処世術。あちこちにいい顔しておけば、大抵の事は笑顔と行動力でどうにかなる。
本当のことなんか話さなくたって。
お互いに何も知らなくても、仕事はできるし
生きるのに不自由はしない。
ただ、たまに、どうしようもなく、
不自然だな
とは、おもうけど。
あ・・・
なんで相葉くんに「本当の俺」を見せること前提なんだ。
それこそ、「いいひと」の看板で上手くかわせばいいのに。
あの日を境に、俺は相葉くんを遠慮なく誘うことにした。
そしてそれは、相葉くんが俺に、も。
「櫻井さん、もう今日は先方さん、連絡くれなさそうですねぇ」
「だな、結局のとこ、向こうからの回答待ちだし、俺らがこれ以上会社で待ってる必要もないな」
「メシ、いきますか?」
と、相葉くんが誘ってくれるのは既に行きつけとなった、初めて飲んだいつもの店。
「こんばんはー」
「お、いらっしゃい、いつもどうも」
「智くん、まーたずいぶんと日焼けして!あのあとやっぱ海行ったんだ?」
「おう!しょーくん魚食いたいって言ってたからな!うめぇ魚、食わしたる!」
「おーちゃん・・・櫻井さん、オレの上司なんだよ?もう少し丁寧に接してくれない?」
「あはは!いいよ、相葉くん、俺こういう感じスキだから」
「オイラもしょーくん、好きだぞ!」
あははーっと笑って席に着いてビールを待つ。
いつもならビールを待つ間にも途切れなく他愛ない話をする。
が、いま、相葉くんは口数が少ない。
「どした?・・・疲れてる?」
「あ・・・いえ、すみません、えっと・・・あ、今日、忙しかったですね」
「もう、新規案件とってくるのはいいけど、営業のヤツら、何でもかんでも言いなりになってくんなっつーの、なぁ!」
「・・・・・・」
「・・・相葉くん?」
「あ、すみません、えっと・・、ハイ、そうですよね」
と、そこへ智くんがビールを持ってきてくれて。
「しょーくん、赤貝の刺身あるぞ?」
「やったマジか!あ、こないだありがと!お土産にもらったイカの沖漬け、めっちゃうまかった!」
「だろぉ?今日も食うか?」
「食いたい食いたい!」
「ちょっと待ってろ。あ、相葉ちゃんはとりあえずから揚げでいいか?」
「・・・ん、おねがい」
乾杯、と、グラスを合わせると、相葉くんはぐびぐびと一気に半分以上を飲んで。
「櫻井さん」
「ん?」
「おーちゃんと、すごく仲良くなってますね」
「あー、うん、一人で飯食うくらいなら、ここに来たほうがうまい飯食えるしな、って・・・。えっと、智くんが『飯食いに来い』って連絡くれるからついつい・・・あー、ごめん、家の近所に上司がしょっちゅう来てたら、イヤ、だよな」
いつになく、トーンの低い相葉くんの声色。
思わず言い訳のように言い募る。
「すみません、ずいぶんおーちゃんと仲良く話してるから・・・オレのほうが長く一緒にいるのになーって、羨ましいなって、思っちゃいました」
にっこり笑ってくれたけど、それは明らかな作り笑顔で。
やっぱりどことなくいつもの元気がない相葉くん。
すこし影のある瞳の色に・・・
不謹慎ながら腹の底がざわっとした。