「乾杯」
「・・・はい、いただきます」
と、控えめにグラスを合わせた相葉くんの伏し目がちはにかむ様子がかわいいなと思いつつ、遠慮してるならちょっと距離を詰めてみようと思う。
プライベートな話、付き合ってくれるかな。
「相葉くんは結構飲めるの?」
「ハイ、お酒好きです。櫻井さんは強そうですよね」
「んー・・・弱くはない、かな。酒は好きだよ。毎日飲む」
「ふふ、いいですね、なに飲みますか?」
「おー!いいねぇ~、美味いもん大歓迎!」
「櫻井さん、いっつも口いっぱい詰めて食べてますよね」
「クセなんだよなぁ」
仕事を離れて話をする機会もほとんどなかった。
丁寧で確実にタスクをこなし、いつも笑顔な仕事中の彼は、実際に吞みながらしゃべってみると、どうやら頑固で兄貴肌。
ジムやゴルフ、読書と趣味もあって憧れる要素満載だ。
「櫻井さんはお休みの日ってどんな風に過ごしているんですか?」
「そうだなぁ、最近は…散歩?」
「お散歩、いいですね!気候も良くなってきましたし」
「気の向くままにぶらぶらしてるの、悪くないんだよね」
相葉くんが楽しそうに話を聞いてくれるから、酒も進みつつ、調子に乗ってしゃべってしまう。
「櫻井さんとおさんぽできたら楽しそうですね」
「そ?あるってるだけよ?」
「なんか、花の名前とか、雲の名前とか、いちいち解説してくれそう」
「いちいちって、それディスってるわ(笑)」
ふふふってまた、笑う。
かわいい。
「相葉くんは、休日は?今日もだけど、最近は実家行ったりしてたんだっけ?」
「・・・あ、はい。」
聞いた途端、相葉くんから醸し出されるふわふわと柔らかな空気が一瞬でフッと消えた。
あ、やばい。
これ聞いちゃいけない感じのやつだ・・・。
「あー、ごめんプライベートなことだもんな」
「あの・・・もしよかったら・・・話しても、いいですか?」
「うん、相葉くんの話を聞かせてもらえるなら・・・俺で、よければ」
「オレ、弟がいるんですけど、半年くらい前に、弟にこども、生まれて」
「それは、おめでたいね。相葉くん、おじさんだ」
「えへへ、そうなんです」
それは心からの笑顔じゃないことはすぐにわかった。
相葉くんの心に影を落とす出来事があるとしたら、どんなことなんだろう。俺に話すことで、すこしでもラクになるなら、いくらだって。
「オレ、長男なんで、でも、結婚もしてないし・・・できないし・・・だから、弟がそうやって家庭を持ってくれて、よかったなぁって。・・・櫻井さんも、家庭、持ちたいですか?」
「どうかな・・・想像してみたことは無くはない、けど・・・そこに具体的な相手がいたことはない、かな」
「・・・オレも、です。」
そう言った相葉くんは、俺を見て、切なく笑った。
「・・・はい、いただきます」
と、控えめにグラスを合わせた相葉くんの伏し目がちはにかむ様子がかわいいなと思いつつ、遠慮してるならちょっと距離を詰めてみようと思う。
プライベートな話、付き合ってくれるかな。
「相葉くんは結構飲めるの?」
「ハイ、お酒好きです。櫻井さんは強そうですよね」
「んー・・・弱くはない、かな。酒は好きだよ。毎日飲む」
「ふふ、いいですね、なに飲みますか?」
「なんでも飲むけど、最近は白ワインとか面白いと思ってる感じかなー。相葉くんは?」
「オレはハイボールですね。あ、とりあえずビール、ってことにしましたけど、この店、食べ物すごく美味いんで、いろいろお酒も合わせて飲みましょうね!」
「おー!いいねぇ~、美味いもん大歓迎!」
「櫻井さん、いっつも口いっぱい詰めて食べてますよね」
「クセなんだよなぁ」
ふふふって楽しそうに笑う相葉くんとの時間が
俺にとってはナニヨリの肴だよなって。
仕事を離れて話をする機会もほとんどなかった。
丁寧で確実にタスクをこなし、いつも笑顔な仕事中の彼は、実際に吞みながらしゃべってみると、どうやら頑固で兄貴肌。
ジムやゴルフ、読書と趣味もあって憧れる要素満載だ。
「櫻井さんはお休みの日ってどんな風に過ごしているんですか?」
「そうだなぁ、最近は…散歩?」
「お散歩、いいですね!気候も良くなってきましたし」
「気持ちいよね。なんかさ、歳とるとさ、季節のうつろいとか、おもしろいなーって思えるようになって」
「わかるなぁ、それ」
「気の向くままにぶらぶらしてるの、悪くないんだよね」
相葉くんが楽しそうに話を聞いてくれるから、酒も進みつつ、調子に乗ってしゃべってしまう。
「櫻井さんとおさんぽできたら楽しそうですね」
「そ?あるってるだけよ?」
「なんか、花の名前とか、雲の名前とか、いちいち解説してくれそう」
「いちいちって、それディスってるわ(笑)」
ふふふってまた、笑う。
かわいい。
「相葉くんは、休日は?今日もだけど、最近は実家行ったりしてたんだっけ?」
「・・・あ、はい。」
聞いた途端、相葉くんから醸し出されるふわふわと柔らかな空気が一瞬でフッと消えた。
あ、やばい。
これ聞いちゃいけない感じのやつだ・・・。
俺をみて柔らかく緩んでいた目元が
途端に沈んで手元を見つめてる。
「あー、ごめんプライベートなことだもんな」
「あの・・・もしよかったら・・・話しても、いいですか?」
「うん、相葉くんの話を聞かせてもらえるなら・・・俺で、よければ」
少し低く、かすれた声でそういう相葉くんを見て俺は、話し相手に選んでもらえたことの高揚感と、いつになく落ち着いた彼の様子に逆に俺は落ち着かな気持ちで先を促した。
「オレ、弟がいるんですけど、半年くらい前に、弟にこども、生まれて」
「それは、おめでたいね。相葉くん、おじさんだ」
「えへへ、そうなんです」
それは心からの笑顔じゃないことはすぐにわかった。
相葉くんの心に影を落とす出来事があるとしたら、どんなことなんだろう。俺に話すことで、すこしでもラクになるなら、いくらだって。
「オレ、長男なんで、でも、結婚もしてないし・・・できないし・・・だから、弟がそうやって家庭を持ってくれて、よかったなぁって。・・・櫻井さんも、家庭、持ちたいですか?」
「どうかな・・・想像してみたことは無くはない、けど・・・そこに具体的な相手がいたことはない、かな」
「・・・オレも、です。」
そう言った相葉くんは、俺を見て、切なく笑った。