■21:23



「ほら、しょーちゃん!どんどん飲んで?」

「あ、うん、飲んでるのんでる」

「相葉ちゃーん、櫻井さん、こまってるよー(笑)」

「え!?しょーちゃん、こまってる?こまってるの!?おーちゃん、なんでわかるの!!」

「あ、いや、困ってないよ?戸惑ってはいるけど」

「んー?難しいこと言ってるー。んー。」

「いや、えっと、思ったよりあいばさ・・・」

「まさき!」

「あ、ハイ、雅紀、が、テンションが高くて驚いているって感じ?



さて。
何事かと申しますと。


食事を頼んで、食事に合う酒を大野さんからオススメしてもらって、片っ端から飲んだ挙句の・・・今に至る。

そのあいだ『さくらいさん!酒入りましたね!もういけますか!?』と、グラスを空けるごとに散々煽られ、『雅紀』呼びをねだられ、『名前で呼ぶなら敬語はおかしい!』とやいやい騒いで、からの、ついに上目遣いで『オレはしょーちゃんって、呼ぶ。』で完敗。

まだもうちょい酔ってから、と粘る俺に同じペースで付き合った雅紀は、めでたくお手本のような酔っぱらいの出来上がり。


かと思えば、俺がうっかり『相葉さん』と呼ぼうものなら、瞬時に訂正を入れてくる。そんな状態で俺が『雅紀』と呼び直せば、話の内容なんかどーでもいいみたいに、にこにこしながら、日本酒をくぴくぴ。

「大野さん、このひと、いつからこんなに酔ってました?」

「さぁ・・・相葉ちゃん、いつから酔ってんのー?」

「オレ、酔ってないよ?」

「酔ってないって」

「大野さん、そんな真顔で・・・酔っぱらいに酔ってるか聞いても酔ってないって言いますよ?」

「大丈夫、相葉ちゃん、酒強いから!」


・・・なにが大丈夫なの?

なんか、いろいろ・・・うん。
俺自身も浮かれて調子に乗ってるな。
1回リセットしよう。
そうだ、そうしよう。



「あー、ほら、、、えっと、雅紀?もう、そろそろ帰ろ?」

「え?帰る!?なんで!」

「なんでって(笑)雅紀は結構酔ってるし」

「酔ってない」

「あー、うん、そうだね、酔ってないけど、ほら、明日も仕事でしょ?もう21時過ぎたし、そろそろね?」

「・・・わかった。出よっか!」


急に物分りいいじゃん。
このテンションの変わりよう。

ふつーに会社のヤツなら果てしなく面倒だろうけど、
これが雅紀だとなぁ・・・。
なんだか新しいイチメンを知って愛おしさしかないよ。
とかなんとか考えてる俺は盛大にニヤついているんだと自覚して、そこそこ俺も酔ってるな。