■12:17
今日は年始いっぱつめの定例会議。
これは毎年のごとく、ヤレ営業目標やら、ヤレ業務改善やら、あれこれ言わされる。自分も発表したり、会議回したり、なんだかんだと疲れた。
朝に相葉さんに会えててよかった・・・
とか思うあたり、かなり消耗してんな、俺。
昼飯、どうしよっかなぁ。
午後も会議あるし、中期目標たてて、レジュメも確認して、後輩のKPIの確認も・・・だめだ、外に出る時間は無い。
と、オフィスから出て廊下の自販機に向かった先に。
・・・相葉さんじゃん。
このフロアにいるのめずらしいな。
なんて思ってたら、こっち、くる?
ってか、俺に手ぇ振ってる??
「さくらいさーん!会議おつかれさまでーす!!」
「ぉぉおお、おつかれさま、です」
「あはは!驚きました?」
「はい、とっても。このフロアに相葉さんいらっしゃるの、珍しいですね。あ、だれか尋ねて来られたなら、呼びます??」
「えっと、大丈夫です、目的は果たしましたから。」
「あ、そうなんですね。」
「ハイ、そうなんです、櫻井さんに会いに来たので。」
「・・・っ!?俺っすか!??」
「そこ、そんなにびっくりしなくても(笑)」
「会いに来てもらえてうれしいです、けど、わざわざいらっしゃったのって、何かありました??」
「あ、連絡先を、教えてもらわなきゃって思って」
・・・それって、今朝のお誘いの流れからの、プライベートの連絡先って、ことだよね?
ヤベ。
スゲー嬉しい。
てっきり、社用携帯でやり取りするもんだと思ってた。
そのうえ『これ、オレのIDです』って隣に立ってスマホ見せてくれて、肩が、触れてる。
なんか伏し目がちでめっちゃ色っぽいし。
「あ、櫻井さん、ピアス、あけてたんですか?」
不意に俺の左耳を相葉さんにつままれておいおい嘘だろ、
距離感どーなってんの相葉さーん!
と、動揺を意図的に隠して隠して、
ひた隠しにして、すまして答える。
「・・・あ、ハイ、若いころはギャル男だったんで」
「ギャル男!!マジすか!?」
「マジですよ、ヘソピもしてましたし、金髪ガングロで(笑)」
「うっわ、想像できないです」
「想像しないでもらえるとありがたいです、若気の至りです。」
そんな話をしているうちに、無事に連絡先交換は完了。
「ふふ、なんか、うれしいです。・・・あ、今日・・・」
「どうしました?」
「あ、いえ!えっと、櫻井さんのお名前、読み方は『しょう』さん、であってますよね?」
「そうです、相葉さんは、『まさき』さん・・・ですよね。」
ファーストネームを口に出してみると、途端に恥ずかしくなってしまった俺をよそに、相葉さんから思いがけない提案。
「ハイ、雅紀です。名前で呼んでもらえたら嬉しいなぁ・・・」
「あ、えっとー・・・それは是非ともと言いたいとこですが、いきなりは照れくさいので、いずれ酒入ってからにさせてもらえると・・・」
「えー!そんなことなら!じゃあ、すぐに行きましょう!すぐ!今晩!今晩どうですか?このあとは期初会議だけで外回りないですよね??」
相葉さんが思いのほかグイグイ来てくれて、俺的には完全にありがたく、あれよあれよという間に、今夜の約束をしてしまった。