#O
『一緒にいたい』
そう言ってくれたしょうくんを思わず抱きしめちまったけど、嫌がることなく、むしろ、鼓動の速さがしょうくんの気持ちを表しているようで、オイラ的にはかなり・・・嬉しい。
可愛い、と言えば、焦ったようにモゾモゾとするけど、それでも振りほどこうとしない。
「しょうくん、いつでもおいで。オイラがしょうくんを最高のおもてなしで楽しませてやるから。」
「さとしくん・・・ありがと、そんなふうに言われちゃったら、ほんとにいつでも来るよ?」
「もちろんいつでも来い。言ったろ?しょうくんはオイラの嫁だからな」
「またそれ言うー」
唇を尖らせて全然嫌そうじゃない
カタチばかりの抗議の言葉。
膝立ちからよいしょと立ち上がって
今度はしょうくんを見下ろす。
「今夜はこのまま一緒に過ごそ。星を見て、美味い酒を飲みながら。んで、これからゆっくり、しょうくんのこと、オイラのこと、お互いを知っていこう。な?」
「さとしくん・・・」
オイラを見上げる、酔って赤い目をしたしょうくんをこのまま襲っちまうことは・・・多分、簡単。
しょうくん自身もこの自然の中で解放されてるから、雰囲気で押せば、欲に任せて欲してくれるだろう。
でも、ここでヤッちまったら、それ以上の関係が望めないばかりか、クソがつくほど真面目なしょうくんのことだ、二度とここには来てくれないのは明白。
「正直いって、しょうくんが、今すぐ、欲しい。」
「ほっ?ほし、ほ、ほしいぃ?!」
「んははっ!焦りすぎだ、しょうくん」
しょうくんの柔らかい髪をくしゃっとなでてやれば、すぐに気持ちよさそうに目をつぶって落ち着いてくれるのが、なんとも愛おしい。
「でもさ、さっき言ってくれたみたいに『この先も当たり前に一緒にいたい』ってことの方を大切にしたいから。だから、今日は、このまんま、キャンプを楽しみたい。・・・・・・それに」
「それに?」
「先を焦って、ゲレンデマジックならぬ『キャンプ場マジックだった』とか、しょうくんなら自分に言い訳しかねない。」
「・・・それは、ありうる、大いに。」
「だろ?オイラそれは絶対に嫌だからさ、また、これからもたくさん時間重ねて、それで、お互いが惹かれ合う事に身を任せられるって想いがあれば・・・・・・そのときに、な。」
その時は、遠慮しない。
宣言通り、しょうくんをオイラのもんにする。
「うん・・・ありがと、さとしくん」