あれからというもの

潤くんは頻繁に店に来るようになった。
しょーちゃんがいても、いなくても。



「なんで店に来んの?」

「雅紀さんに会いたいからに決まってる」

「いやまぁ、それはありがとうなんだけど」


って、別に普通に休みの日に連絡くれたらいいのにって意味なんだけどなって思ってたら



「......僕が来たら邪魔になる?」



伺うような表情に
めちゃくちゃ色っぽいMJの目ヂカラ使いやがる!


「ねぇー...それは反則だわー......」

「ふふん、いい男がいい顔すれば、効果抜群でしょ」

「オレ、その顔に金出せねーぞ、仕事でやれ?」

「いいの。これはある種の投資だから」

「はぁ、そうですか...」



潤くんは『使えるものはなんでもつかう』とか言って
かっこよくウインクを決めてくれた。


「いやだから話戻すけど、フツーにメシの誘いとか、買い物とかさ、連絡くれたらいいのに」

って、だからわざわざ店通わなくてもいいよってことを伝えると

「うん、そうなんだけど、なんか、2人でプライベートとか緊張する...かな、と。」

「えー、オレもう平気だよ!MJには慣れた!大丈夫!」



って言ったら、
どうやら緊張するのは潤くんだったらしい。



「...なんだそれ」

「だって...しょおくんに『マテ』させられてるってのもあるし、踏み込まないボーダーライン意識すると、よそよそしくて落ち着かなくて」

「あ、なに!そっち!?そういうこと!?」

「え、なにが?」

「しょーちゃんに睨まれるのとか、潤くんのお行儀の問題ってこと?オレと一緒にいることにドキドキしてくれてんかなっておもっちゃったじゃーん!」

「いやまって、そりゃ雅紀さんに対して緊張してるってのは当然のアレで!」

「ふふ、はいはい、そーだね!」

「僕いますごくカッコ悪い気がする。」


って、眉間に力を込めて難しい顔をしてる。
それもまた、キマッてるんだよねぇ。


「だーいじょーぶー!潤くんはいつでもカッコイイから!...ただ......」


「...ただ?」


「カッコ悪いとこ見せてくれないと、オレ、近づけないからね」


って言って

オレもぎこちないウインクを返してやった。