そのままやっぱりオレが落ち着かないもんだから
ちょっと歩こっかって潤くんが言ってくれて
頭のまわらないオレは頷くしかなかった。
握られた手はもう離されてる。
また、きゅっとして欲しい...かどうかはわからない。
潤くんがMJだとわかった以上
これまで通りの距離感で接することが出来ないかもって
でも、
態度を変えるなんて失礼だし
とか、
なんだかモヤモヤそわそわする。
「雅紀さん」
「...ん?」
少し先を歩く潤くんが振り返らずに呼びかけてくる。
「なんとなく、だけど」
「うん」
「僕は、雅紀さんと、距離を縮めたいと思っている」
「......きょり...?」
「うん......いままでは、雅紀さんにとって僕は『しょおくんの後輩』で、僕にとって雅紀さんは『しょおくんのお友達』だった。」
それは、そう。
しょーちゃんがいなくて、店以外で会うのは初めてだ。
「でも、僕は...雅紀さんと、もっと近くなりたい。」
「...ちかく?」
「そう、もっと、チカヅキタイ、ってこと。」
そう言って振り向いて手を差し出す潤くんは
目眩がするほどカッコよかった。