「ふぅ......」
「雅紀さん、僕ここにいて平気?」
「ん、ごめん、いてくれて助かる...ありがとね」
あれからすぐに店の同僚がカウンター中で座り込んでしまったオレ
「...潤くん、気になるよねぇ(笑)」
「あー......うん、まあ、他人の涙に興味はないけど、雅紀
しょおくんみたいに綺麗な手じゃなくて悪いけど、って冗談まじに
「ありがと。ちょっとだけ、聞いてくれる?」
「うん。もちろん。」
はぁっ...と
ひとつ息を吐いて。
「...そのTシャツのイラスト、たぶん...ってか、まぁ、絶
「え......って、えー!?絵!?え、これ、この、絵!?」
「潤くん、『え』ばっかり(笑)」
「いやだって、えー...あーそっか、そうなのか」
「ふふ...うん、そうなんだ」
元カレと別れてからもう2年。
しょーちゃん以外のひとにはじめて話した。そしてまさか自分がいちばんビックリしてる。
未だにこんなにも揺さぶられることに。
「別れたのは2年前の夏...。もうここには帰ってこないからっ
「一緒に暮らしてたの?」
「うん。......オレは、そのつもりだった。一緒に、生活を
「カレのほうは、そうじゃ、なかった...?」
「んー...わかんない。雨風しのげて、お風呂に入れてごはんが
「......それは、最初からそうだったの?」
「今となってはわからない。しょーちゃんには、カレにとって『ハ
「ふふ、しょおくんらしい言い方だね。」
そうだ。
あのときしょーちゃんに
『俺たち、お互いのホームにならない?』
って言われたんだっけ。
何かあっても絶対に揺るがない......帰れる場所。
だけど
縛りつけるのではなくて
いつでも解けるからこそ
いつでもお互いに結び目を気遣いながら
どちらかが強く引いたり
どちらかが適当に放らない
だから
オレたちはずっとずっと一緒にいられる。
これは恋愛じゃない。
ある種の、依存...かな。
「......しょーちゃんには...ホント、救われたなぁ」
「そっか...その時の雅紀さんのそばにしょおくんがいて、よか
「うん...」
『よかった』って言ってくれた潤くんの顔は
ぜんぜん、よかったって顔じゃなかった。