SHOのリップの看板が変わった。


「あ...MJだぁ」


深い色の瞳から透明にこぼれる涙の雫。
頬を包んで涙をやさしくぬぐう綺麗な手。


「あの手、しょーちゃんだな...」

綺麗な指先
あの手がオレをどんな風に悦ばせてくれるか
思い出したら自然と疼くカラダ。


しょーちゃんの手ってエロいよなぁ


それを思うのと同時に

MJの瞳への畏敬の念。


なんだか落ち着かない看板だ(笑)

なんの広告なんだろ...。




平日の夜、お客様は少ない。


そんなときはオーナーのおごりで
カウンターで少し飲ませてもらって過ごす。


終電のお客様がある程度お帰りになった後に残るのは
タクシーで帰ればいいやっていう人達。


そんな時間にドアが開いた。


「いらっしゃいま...あっ、しょーちゃん!」


「遅くなってわりぃな、調子はどうだ?」


「まだまだいけるよっ」


空になったグラスをみせてカウンターへ促す。

すると、しょーちゃんの後ろから


「こんばんは、来ちゃいました」


「あっ、マツモトくん!?」


「はい、しょおくんが飲みに行くって言うのでついてきちゃいました。改めまして、松本潤です。」


「相葉雅紀です!潤くん、大歓迎です!どーぞ、こちらへ!」


「おい雅紀、俺も大歓迎しろよー」


「しょーちゃんは...うん、イラシャイマセー」


「ぅおいっ!接客!接客!!」


そんなやり取りを見て潤くんが

おもわずといった風に吹き出した。


「ッははっ!」


「ほらぁ、潤くんに笑われちゃったじゃーん」


「誰のせいだ、だれの!潤、お前も笑いすぎな!」


潤くんは、夫婦漫才みたいだって言うから。


それを聞いたオレたちは
今度はどっちが夫でどっちが妻かを揉めだす。

ひたすらふざけ倒して喉乾いた、いいかげん飲もうよって

しょーちゃんが言うから、やっとビールを用意して


「カンパーイ!!!」


ビールの泡を拭う口元を何気なく見て


...気がついちゃった。



「潤くんって、アイモデルって言ってましたよね?」


「はい、メインは、そうです。」


「メインは...ってことは、違うパーツのお仕事もしてたりしますか?」


「雅紀、ナニききたいの」


ニヤッとかっこよく笑ったしょーちゃんが

まどろっこしいオレを面白そうに見てる。


「いや、あんまり詳しいお仕事聞くのとか良くないのかなと、思ったり」


「まぁそっか」


「大丈夫ですよ、なんでも聞いてください。しょおくんのおともだちなら、僕も仲良くなりたいですし」

「だ、そうですよ。」


って、また、ニヤニヤするしょーちゃん。


「もー!しょーちゃんあっち向いてて!」

「おい!おまえ今日、俺の扱いひどくね!?」

「だってしょーちゃんがニヤニヤするから!」

「いつもこんな顔だっつの!」

「ふふ、しょおくんがニヤニヤするときは、悪いこと考えてる時」

「だよねだよね!」

なんて盛り上がって、しょーちゃんを肴に飲むなんて初めてのことですごく楽しい。なんだか嬉しい。


「雅紀さん、さっになにか聞こうとしてましたよね。気になることありました?」

「あのね、えっと...もしかして、しょーちゃんの赤い口紅の写真で一緒だった紫のくちびるって」

「あ、はい、僕です!すごい!なんでわかったんですか?」




『キスしたら気持ちよさそうだと思って気になってた』




なんて、言えるわけない。

「あ、えっと、ほくろが、そうかなって」

「雅紀、気に入ってたよなアレ」

「そーなの?確かにしょおくんカッコよかったもんね」

「うん、雅紀、すげー見てたんだよ、いつも。」

「ハイ、すげー、みてました(笑)」


「あのしょおくんのくちびる、キスしたいっておもっちゃう(笑)

「あ!そーなんだよ!こいつ、現場でめちゃめちゃ攻めてきてさー、笑うの堪えて大変だったんだ!」

「違う違う!ひどかったのはしょおくん!僕、リップはメインじゃないから、カメラマンさんからの要求に応えるのが精一杯だったのに、しょおくんってばすごい笑うから!」

「しょーちゃん、真面目にお仕事して?」

「してるわ!」


心地よく飲んで、テンポのいい会話。
またこのメンツで飲もうねって言って今夜はおひらき。


気づけばオレはついつい潤くんの口元を見ちゃってて
しょーちゃんがずーっとニヤニヤしてた。