「潤?どした?」
「うん、急に電話してごめん」

今日は午前中に雑誌のインタビューがあっただけで午後からオフ。もう一件取材入るかもって言われてたけど、どうやら今のところ呼び出しはなし。メイクを落として私服に着替えてるところに末っ子からの突然の電話。
いつもはLINE。
仕事中ならマネージャー経由のほうが話が早いのに。

個人的に電話してくるときは、
よほど緊急で、
かつプライベートな話。
彼の「緊急」で「プライベート」って言ったら・・・。
話題はひとつ。

その予感とも確信ともいえない
気持ちのざわめきをおさえて
なるべく明るく応答する。


「それは全然いいけど、電話、珍しいね。なんかあった?」
「・・・あった。」
「あれ、素直じゃん。オレに頼るなんてよっぽど?」
「・・・しょおくん、の、こと。」

ビンゴ。
やっぱりね。


「・・・え?しょーちゃんが、どうかしたの?」

「なんか、ちょっと、具合がわるい・・・っぽい。」
「・・・は?って、え?それ、いつの話」
「いま」
「はぁ?いまぁ?」
「うん、いま。」
「・・・一緒にいるってこと?」

だめだめ。
落ち着け。
慌てるな。

しょーちゃんのことになると
ついつい語気が強くなる自分を戒める。


「ううん、一緒じゃない。ちょっと・・・用があって、連絡したら、様子おかしくて」
「うん」
「ほんとは俺が行きたいけど・・・いまは自分が体調崩すわけにはいかないし」
「それ、オレならだいじょうぶって?(笑)」
「いやっ!そうじゃなくて、あの、そうじゃないんだけど、えっと」
「うそうそ、ゴメンネ、じゅんちゃん」

できるだけ軽やかに聞こえるように。
自分の動悸が早まっていることを悟られないように。
語尾に星マークがついているようなテンションで言う。


「うん、いや、こっちこそごめん…。でも、ちょっと…こういう時は、相葉くんかなって、おもって。」


潤が
「ごめん」
といった後に
「でも」
と続く悔しさを隠さない声音に
口角が上がる自分を否めない。
こういうとこ、性格悪いな、オレ。

「・・・うん、ありがと、連絡くれて」


まずはしょーちゃんの居場所を聞き出さなきゃ。
それからどんな具合だったのか。

はやる気持ちを抑えて、できるだけゆったりと話し出す。


「しょーちゃん、どこにいるの?」
「・・・」
「じゅん、ちゃん?」
「・・・わかんない」

「え、なにそれ。どっかで仕事してるとかじゃないの」
「教えてくれなかった…『教えたらお前来るだろ』って」

・・・なにそれ。
なにその、信頼。
なにその、大事にされてる感。
お互いを思いやってるって?
そういうこと?

ちょっと優越感を味わった自分がバカみたいじゃん。


「ふーん・・・そういう感じね。」

「・・・」

言葉を選んでいるだろう潤の沈黙を待たず、こっちのテンポに引き込む

「うん、いいよ、わかった。しょーちゃんのことは大丈夫だよ。」


一瞬なにかいいたげな息遣いが聞こえたが、
すぐに飲み込んだらしい。

そして

「やっぱり、相葉くんはこういうときのしょおくんの居場所に心当たりあるんだね」


そんな切ない声でそんなこと言わないで。
お兄ちゃん悪いことしてるみたいじゃん。


「…んー、心当たりっていうか、しょーちゃんレーダー?(笑)」


自分でも低く重くなる声音を感じながら
それをごまかすように茶化しつつ。
それでもうっかり
マウントを取るようなことを言ってしまった。


「なにそれ、便利だね。・・・俺も欲しいわ」

あ、なんか伝わっちゃったか。


オレと潤のあいだにある
しょーちゃんについての微妙なバランス。

とはいえ、あからさまに敵意を見せることはしない。
だって、しょーちゃんとの関係とは別のレイヤーで
オレらだってお互いに十分に大事に思ってる。

ただ、ちょっとだけ

「オレだけのしょーちゃん」を持ってる。

それは、お互いに。


「ちょっとちょっとぉ、なんか素直すぎて、オレ、悪い奴みたいじゃん」
「悪い奴どころか、いい奴すぎて、そんな風になれる相葉くんがうらやましいっていつも思ってたよ。」
「えー(笑)俺、結構腹黒いつもりなんだけどなぁ。」
「そうやって全部言っちゃうところね」
「あ、それってバカにしてない?」
「ちょこっとだけ?」

二人ともだんだんと会話が上滑りし始めたことに気づいてる。
でも、ふたりのバランスをとりたくて
本題に戻すタイミングをはかって
無為な会話を続けていた。

もうしょーちゃんが気になって仕方ない。
でも、傷つけあいたいわけじゃない。

お互いがバランスを取るために続けてた会話なのに
そのシーソーを突然傾けたのは


「…あ、ごめんキャッチ入ってる、ちょっとまって…」


俺にかかってきた

「しょーちゃんだ」


話題の彼からの電話だった。


「えっ、しょおくん?しょおくんから電話かかってきてんの!?」


彼の名をおもわずつぶやいたことを後悔しても遅かった。

「あ、うん、なんだろー?ちょっと出てみるね??」

うわー・・・
「なんだろー」はないだろ

こういうときの自分の不器用さが嫌になる。

いま、まさに、
しょーちゃんのことで大の大人が不毛な会話をしてたってのに。

いろんなことに落ち着かなくなって
ちょっと手に汗をかいている自分を自覚してるから
努めて冷静に、でもきっぱりと。
少しの兄貴風を吹かせて、潤にはこう言う。

「何かわかったら連絡してやるから。仕事あるんでしょ?」

「・・・うん」

「ごめん、電話出るから、切るね」

一方的だった、けど、もう今の優先順位はしょーちゃん。
潤の返事を聞く前にキャッチに応答した。


「しょーちゃん?」

返事がない
間に合わなかった?
もう一度呼びかける。

「・・・しょーちゃん!?」

「・・・あ、ごめん、忙しかった?」


電話に出られたことにひとまず安堵して

「ううん、出るの遅れてごめんね、大丈夫だよ、どうしたの?」

何も知らないふりをして。

「あー・・・。えっと、・・・これから、時間ある?」
「・・・え?これから??」
「あ、いや、別に特別なにかあるってことでもないんだ」

歯切れ悪く話し始めたくせに
オレの返事も聞かずに
「予定あるよな、忙しいとこ悪かったな」
って一方的に会話と終わらせようとしてるのが分かったから

「ちょっとちょっとしょーちゃん!オレなんも言ってないじゃん(笑)時間あるよ?」
「あー、わりぃ・・・そっか、時間あるなら・・・」
「いまどこ?」
「え?」
「しょーちゃん、いまどこにいるの?迎えに行くよ」
「いや・・・こっちの・・・『書斎』の方にいるから、だから、・・・来てくれる?」

なるほどね。
そりゃ潤には言えねぇわ。
でも、じゃあ、そこにいなかったら、
潤を呼んでた可能性ある?
ザラつきそうな気持ちを意識的にスルーして

「わかった、すぐに行くね」
「返事早いね」
「そりゃ、しょーちゃんがオレを呼んでるんだもん。いつだってどこだっていくよ。」

「Whenever you callだね」って、しょーちゃんが笑う。


オレはカバンをつかんですぐにスタジオを出た。

マネージャーの送りを断ってタクシーに乗る。
あの人がオレにこんな連絡をしてくるなんて
本当に何かあったのかも。
頼られたことに浮足立つ気持ち。
潤と天秤にかけられたかな、と少しのイラ立ち。
どうにも落ち着かない気持ちだけど、
とにかく今は彼のところへ。

こういうときはあえて思考を散らばしておかないとドツボにはまる。今日の仕事のこととか、明日のスケジュールとか、仕事のことを考えてみて、あえてしょーちゃんの事は思考の外へ。そうだ、念のため、マネージャーに午後の仕事がないことを確認しよう・・・

〓〓〓〓〓〓〓



ガチャリと重いドアを開けると見慣れた靴があった。
ここは2人で借りてる2人の部屋。
『書斎』って呼んでる、大事な場所。


「しょーちゃーん、ただいまー」


・・・薄く聞こえる水音。
風呂?
珍しいな、こんな時間に風呂に入ってるなんて。

「しょーちゃん?オレだよ。ただいま!」
シャワーの音に負けないようにドアに向かって呼びかけると
水音は消えて静かになった。

かわりに聞こえた・・・荒れた息遣い・・・泣き声?

オレは慌ててドアを開けると
服を着たままシャワーをかぶっていたであろう
びしょ濡れでうずくまった彼がいた。

「・・・っ!しょーちゃんっ!」

慌てて飛び込み彼を抱きしめて呼びかける。

「しょーちゃん、どうしたの!?」
「雅紀・・・」
「そーだよ、雅紀だよ。」

抱きしめた腕を緩めて身体を離して顔を見る。
両手で彼の頬を包んで目を合わせて聞く。

「……まさ、き」

こんなしょーちゃん、見たことない…。
じゃあ、だったら、オレは落ち着いてないと。

「しょーちゃん、寒くない?」

この状況を理解するより前に、
まずはしょーちゃんに風邪をひかせないこと。

濡れた服を着たままだと体温が奪われやすいから
バスタブにお湯をためながら服を脱がしていく。
素直にされるがままの彼が愛しい。
そのうちだんだん自発的に動き出してくれて
もう大丈夫かなってちょっと安心した。

「雅紀、ごめん、お前も濡れちゃったな」
「あー、そうだね、脱ぎ忘れちゃった!しょーちゃんも脱ぎ忘れた?(笑)」
「ふふ、そう、脱ぎ忘れちゃったよ」
「どうしたのー?疲れすぎてぼんやりしちゃった?」
「・・・ん、ちょっと、疲れてる、かも。」

体力オバケの彼が
本当にごくたまに見せる、こんな感じ。

「そっか」

最近ずっとおやすみないもんね
オレも刑事ドラマでカッコいいとこみせたいなぁ
高いとこから飛び降りてたでしょ
めちゃくちゃぶっ飛んでんのも見た!
カッコよかったなぁ
アクションで怪我してない?
オレこないだマナブでやけどしそうになったよ
きをつけないとね
今年はスキーとか行くのむりかなぁ
あんま飲みすぎたらダメだよ

・・って
何でもない話をしながら慌てず、でも急いで。
濡れて肌に張り付くせいでただでさえ脱がせにくい服だから
ゆっくりと無理がないように丁寧に脱がせていく。


全部脱がせてお風呂に入るように促した。

彼はオレを一瞬見て
そしてすぐに視線を落として

「雅紀も・・・はいってよ」

って言う。


「・・・うん」


だったら、もう、ここからは誤魔化さなくて、いいよね。

オレ自身も服を脱いで、湯船に浸かる。
しょーちゃんをオレの足の間に座らせて
背中越しに抱きしめてやると
目を閉じてオレに体を預けてくれた。


手ですくったお湯をかけてあげながら
弾力のある白い腕
チャームポイントのなで肩
きれいな鎖骨をゆっくりとなでる。

少しずつ体が緩んできて呼吸も深くなってきた。
このまま寝ちゃってもいいよって耳元で囁いたら

「ん・・・」と小さく返事をした。


そして、どうやらなにか考えていた彼は
おおきく深呼吸をしてからポツポツと話し始めた。

「・・・俺さ、すごい仕事楽しいんだ」
「うん」
「年末に紅白やったりさ、ドラマで初めての役に挑戦してさ、映画の番宣もさせてもらったりさ」
「うん」
「スゲー楽しい」
「うん、よかった。」
「・・・だからずっと、俺、『櫻井翔』なんだ・・・」

「うん、カッコよかったり可愛かったり、いろんなしょーちゃんがテレビでいっぱいみられて、ファンのみんなは忙しくてうれしいねぇ」
「・・・うん、俺のファンは喜んでくれてて、それが俺の喜びでもあるよ。」
「オレだってしょーちゃんのファンだかんね!めっちゃうれしいよ?」
「ふふ、サンキューな」


温かい風呂でお互いの肌の質感を感じながら
ゆっくりゆっくりはなしをしていると
だんだんと彼の肌がぬくもりを取り戻して
うっすらと桜色に上気していく。


「オレは」

彼の濡れた髪に自分の頬を寄せて

「どんなしょーちゃんも好きだよ。みんなの『櫻井翔』が大好きだし、オレだけのしょーちゃんも、大好き。・・・大好きだよ。」

そう伝えて
背中越しにきゅっと抱きしめる。


「・・・雅紀」

「ん?」

「俺ら、いま、同い年だね」

「・・・?」

「あと、何時間かで、また、俺は雅紀のいっこ上になるね」

「・・・ふふ、うん。そうだね、いまはオレらちょー同い年」

「なんだよ、ちょー同い年って」

「じゃあ、めちゃくちゃ同い年」


意味わかんねーって言いながら、笑ってくれてる。

だからオレは

「ね、オレとしょーちゃん、あと何時間か、ちょーめちゃくちゃ同い年なんだから、オレに遠慮しなくていいよ?」

っていってみる。

リーダーは精神的に支えられてたけど
今は仕事の話はできないし
年下組の二人には甘えられなくて

だけど、
たった1カ月だけど同い年になるオレがいるから。
だから、
遠慮なんかしないでよ。
めいっぱい甘やかしてあげるから。

そう思って、でも「甘えてよ」って言っても
素直には甘えてくれない頑固でかわいいひと。

どうやって溶かしていこうかなって考えていた矢先

彼がもぞもぞと動き出したかと思えば
柔軟性皆無のかたいカラダを
たいして広くない湯船の中で一生懸命動かして
俺の足の間から抜け出したかと思えば
今度はこっちに向き合って座り直してくれた。

おいおい
これめちゃくちゃオレ得なんだけど・・・
全裸のしょーちゃんが俺の上にまたがってるなんて
それだけでのぼせそうになる。

思わず彼の腰を引き寄せそうになって

いやだめだ
ここは情欲でうやむやにしない
彼の本意を確かめたい。



天国だが地獄だかわからない時間。
しばらく黙って次の行動を待ってみる。

なのに

大胆に動いたくせに何か言うわけでもない。

俺の両肩に手をかけて
唇を尖らせたり、むっと結んでみたり
何か言いたげにオレをみたり目を逸らしたり
濡れた前髪の隙間から覗く瞳は忙しく揺れている。

「・・・しょー・・・ちゃん?」



そろそろ何か言ってよ。
オレこのままじゃもう耐えらんなくなるよ。

俺の目線には彼の美味しそうな唇があって
いつでも喰いつけるのに
お預けして待ってるんだから。

彼の腰に添えた手を余計に動かさないで
できるだけヨコシマなこと考えないで
あなたの言葉をまってるんだから…






「…ずっと会えてなくて」

「うん」

「…声聞いたら絶対会いたくなるから、電話もできなくて」

「そんなの、会いに来るのに」

「そう言ってくれるから、だから、言えなかった」

「…言ってほしかったよ?」

「うん。ごめん…我慢した挙句、こうやってコントロールできなくなってちゃ、意味ないのにね」

「我慢、できなくなっちゃったの?」

「…ん。精神的に強い方だし、ストレスとか感じないし、だから、突然こんな風に自分の綻びに気づいちゃったら、逆にどうしていいかわかんなくなった」

「そっか、びっくりしたんだね」

「…うん、びっくりした…。」

「限界だって気づくきっかけ、なんかあったの?」

「……。」

「言いたくないだろうけど、でもさ、もしそれわかってたら、次は対処できるかもでしょ、オレに教えてよ」

「…潤、が」


おお、ここで出てくるか末っ子よ。
オレらいますげーいい雰囲気で
表面的にも内面的にもお互いにいろんなところ晒して
やっとくっついて温めあってんのに
邪魔してくれるなよ…


なんて悪態はおくびにも出さず



「うん、じゅんちゃんが、どうしたの?」

「…あいつが電話してきてさ…会いたいって、言われて」

「ハハ、あの子はまっすぐだねぇ…」

「…だな。なんか、大河の放送始まって、評判良くて安心したっぽくて、だから会いたいって」

「なんだその理由」

「気持ちに余裕ができたんだろうな」

「で、それで、しょーちゃんがどうして余裕なくすハメになったの?」

「……」

「しょー、ちゃん」

「うん…素直に会いたいって言われて、それは嬉しかったけど…アイツの為に時間作るのだって難しいことじゃなかったけど…」

「…けど?」

「俺は…、俺は、雅紀に会いたいって、思ってて」

「…え?」

「だから…潤としゃべってんのに雅紀に会いたい、って…。そう思ってる自分を認めちゃったら、なんか息がうまくできなくなって…なんかもう、ダメで」


じゅんちゃん。
さっきは邪魔とか思ってごめん。
キミのおかげだったわけか。


かわいいしょーちゃんの告白は続いてる。

「そんな俺の様子を察して、具合悪いのかって、今から行くって、めちゃめちゃ言うから」

「…言うから?」

「『大河主演俳優に風邪うつすわけにいかないだろ』って…こどもだましみたいなこと言って、黙らせた」


「ああ…そういうことね」

「…?」


全部つながったよ。
じゅんちゃん。
オレに連絡してきたのは本当に英断だし大正解だ。
悔しかっただろうけど、
それも、
キミがこのひとを本当に愛しているからできたこと。


勝手に合点がいっているオレを
かわいい顔で見つめてくれるしょーちゃん。
大体のことはわかったから
めいっぱい癒してあげなきゃ。



「ねぇ。しょーちゃん?どうしてびしょびしょだったの?ホントに風邪ひいて俺を呼ぼうとか考えてたぁ?」


って、話の雰囲気を引きずらないようにって、
ふざけて話題を切り上げようと思った、

そのとき

肩に置いた手にギュッと力がはいって
オレにゆっくりを目を合わせて
眩しいライトをみつめなくちゃいけないときに
懸命に目を開けようとしているような
まるで泣くのを我慢しているような
そんな顔で


「…雅紀を…思い出しちゃって…」

「え?」

「…どうにも…おさまんなくて…水浴びて頭冷やそうと思って…」


ああもう、本当に。
このひとは俺をどうしたいんだよ。
胸の真ん中がぎゅぅって締め付けられる。
鼻の奥がツンとして
オレ自身も泣きそうな気持になる。

すると目の前の彼はオレの視界から消えて
かわりに彼の腕が首に巻き付いていて
熱い息が俺の耳たぶの温度を上げる
そのまま
喉の奥からどうにか発したような
オレをゾクゾクさせる低いかすれた声で



「ねぇ、雅紀…甘やかしてよ、俺を」



「…ッ!?」



このとき声をあげなかった自分をほめてやりたいよ。
ここで取り乱したら絶対に甘えてくれなくなるところだった。
しょーちゃんはそういう人。


このひとはとにかく長男気質が強くて
年下組に甘えるなんて難しくてしかたがない。


でも、できないわけじゃない。
誰の目にもわかりやすい
「大義名分」ってやつさえあればね

ふだんは「オレのワガママ」を理由に
しょーちゃんは溶けていってくれる。

いま彼の中で出来上がってる甘えていい理由は
オレらが「ちょーめちゃくちゃ同い年」だから。

こんなギリギリの状態で
そんな些細な偶然にすがるとは
なんて愛おしいひとなんだ・・・


しょーちゃんの顔を両手で包んで
彼の名を何度も何度も呼びながら
優しくついばむようなキスをあげる

しょーちゃんも
まさき、まさきってかわいく応えようとしてくれるけど
息がうまくできてないみたいに途中で言えなくなってる


甘くてあったかい時間を過ごしたいっていう
優しい気持ちとは裏腹に
そこは男の性ってもんで
裸で向き合ってこんなことしてたら
どうしたって主張してきちゃうよね・・・


って自分の欲深さにちょっと情けなさを感じてたら

「・・・んんっ・・・ハァ」

彼が詰めた息を吐きながら
ゆらゆらと腰を揺らし始めた。

しょーちゃんの動きに合わせて
風呂のお湯がぱしゃぱしゃと波打っている。

主張してるのは彼も同じで
俺の下腹部にソレを押し付けて快感を探してる

いつも我慢できないのはオレのほうで。
しょーちゃんは「しょうがないな」って顔で受け入れてくれて
オレもそういうやり取りがオレらのいつもの手順だとおもってる。

だけど。

今日はしょーちゃんが積極的にオレを求めてくれてることに興奮を抑えきれない。いま素直に感じてくれてる彼に気をよくしたオレは腰の手を彼に沿わせてそのまましっかり抱き寄せる。
しょーちゃんがキレイだって言ってくれる痣のある左肩に顔を乗せてやって、ピアスの跡が残る小さい耳たぶを食みながら
できるだけ甘い音色を意識して囁く。

「めちゃくちゃに溶かしてあげるね」


あと何時間かだけ。
ちょーめちゃくちゃ同い年のオレらの甘い時間。

Happybirthday to SHO.
May your future be Happy!



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