こんにちは

ぼく、栞吏ちゃん




5月

雨の降る日










ぼくたちの新生活は始まる









数ヶ月前から



「栞吏ちゃん

家族皆で引っ越しするのよ」




兎に角

ひとりじゃないから大丈夫だと

ぼくに言い聞かせるおーねいちゃん








アパートの荷物を片付け始め


一日一日部屋の様子が変わる








そわそわ

ざわざわ






落ち着かない様子のぼくに

おーねいちゃんは

心配するでないと言う







四六時中一緒だったホットカーペットに


「ありがとう、バイバイしようよ」


だなんて!













ぼくの部屋



お布団



ホットカーペット








ぼくとおーねいちゃん、おーにいちゃんが

一緒に暮らし始めたアパート




ありがとう・さようなら

みんなみんな




なんて歌っている暇もないくらいに

朝からバタバタと




















引っ越しから半年





ぼくは

一度も壁紙を引っかいていない







おーねいちゃんは

「猫ちゃんの爪に強い壁紙」

を云々かんぬんと説明をしてくれたが






ぼくは爪とぎ以外を引っかいていない






ソファーだって

「犬猫ちゃんに引っかかれても」

云々かんぬん説明してくれたが







一度だって引っかいてはいないのだ











「栞吏ちゃんが元気な内に引っ越したい」


おーねいちゃんの望み通り

ぼくは元気に引っ越しをした







おーねいちゃんたちの寝室に

自由に行き来出来る形で

ぼくの部屋はある






間取り図には

【ねこちゃん部屋】と描かれ

大切に大切に



窓の位置や壁紙も

大切に大切に考えてくれた









6月には

9回目の家族記念日を

3人で過ごした








   


「栞吏ちゃん大好きもん

大事大事よ、知っているじゃろ」


おーねいちゃんの口癖








この9年間

大事にしてくれている事は

良く知っている





そして








ぼくは 



もう一つ知っているのだ









壁紙どころではない






壁にしっかりと

傷を作ってしまい

ぼくの爪とぎで隠しているのは誰なのかを…


よりにもよって栞吏ちゃんの部屋にごめんやで