
ハイ、映画批評コーナーだす

今回ご紹介するのは『それでもボクはやってない』
ストーリーを掻い摘むと・・・
大事な就職の面接を控えた日の朝。
乗車率250%の通勤客に混じって満員電車から駅のホームへ吐き出されたところを痴漢に間違われ現行犯逮捕されてしまった金子徹平(加瀬亮)。
連行された警察署で容疑を否認すると、そのまま拘留。
その後も一貫して無実を主張するものの、結局は起訴される事に・・・。
非常に惨い映画です

この映画はよくメディアで紹介されているような
「いつ痴漢冤罪事件に巻き込まれるかわからない恐怖」
を世間に伝える為の映画では決してありません

これは痴漢冤罪事件を通して
日本の裁判制度や警察捜査の問題点を指摘するための映画です

告訴されたら99.9%の有罪率。
“やってない”罪を認めて示談金を払えば、その場で釈放。
認めなければ4ヶ月間の勾留。
そして釈放金は現金200万円。
これが日本における痴漢事件の一連の流れ

例え無罪を勝ち取ったとしても
拘留期間と裁判期間に長い時間を費やさねばならず
事件前と同じ生活が保証されるのは極めて困難

劇中のセリフでも出てくるんだけど
日本国憲法では推定無罪(=何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される)の考え方が基本原則として認められているにも関わらず
実際には世間の目は冷ややかと言わざるを得ないのが現状

「疑わしきは罰せず」
残念ながらこの大原則を
取調べを行う側の警察や検察、そして裁く側の裁判官ですらも持ち合わせていない。
彼らも普通の一人の人間として
各々が自己の考え・プライドを強く持っていることが
冤罪を引き起こす元凶の一つ。
その典型的な劇中エピソードとして
被告・弁護側の意見を真摯に聞き入れ無罪判決に傾いていた裁判官が
ある時、急に地方へ飛ばされちゃうのね。
理由はそれ以前にもその裁判官は
痴漢裁判で無罪判決を下していたから

冤罪を連発しちゃうと
日本の司法制度が根幹から揺らいじゃうからなんだって

・・・なんじゃ、そりゃあ


こうして良心的な裁判官が当事件から離れていき
別の古い考えを持った頭の固い裁判官(小日向文世)がやってくるんだけど
これがまた絶妙に憎たらしい演技をしてるんだわ

チョイ役なんだけどラスト間際に出てくる大ボスみたいな感じでさ


そしてなんと言っても主役の加瀬亮クンの演技が素晴らしい

彼は幸せそうな役ではなく
こうした悲哀がジワっと滲み出る役をやらせたら
今、日本一の若手俳優なんじゃないかな

というわけでこの映画に対する評価ですが
理不尽な社会制度にイライラさせられた74点
物語全体を通して見れば
キメ細かい取材に基づいた凄く骨太の作品に仕上がってるんだけど
やっぱり『シコふんじゃった』や『Shall We ダンス?』の周防正行監督には
こういうドキュメンタリーな映画ではなく
コミカルで誰もが爽快に楽しめる作品を撮って貰いたいので
その点をマイナス材料とさせて頂きますた

んじゃ今回はここまで!!また。。。