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ある日突然死ぬかと思った🦷第13話🦷https://ameblo.jp/5717-8507/entry-12847677158.html🦷
「洗浄と消毒&早朝の病院売店」
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第14話
●心身弱いとねぇつむつむ
●ある日突然死ぬかと思った。
「何とか生き残ったよ…さくらさん🌸」
〇〇〇病院 歯科口腔外科病棟に入院して、痛みと闘いながら、数多くの検査と診療科の診察を受け。
やっと「両下顎蜂窩織炎」及び「両下顎骨髄炎」と病名が分かった。
分かった頃には、病院の正面玄関は薄紅色に染まっていた。
毎日歯科口腔外科の外来に、切開した左頬内側の消毒に車椅子で行く時。
またコンビニまで行く時など、少しだけ見る事か出来た。
時々、薄紅色の花びらが玄関ホールに入ってくる時もあった。
私は
『お花見行きたいなぁ』
と思った。
けど看護師さんをはじめ、職員さんはみんな忙しそうだし。
いっそ1人でそろそろと行こうか···と思ったが。
病院の敷地内とは言え、建物の外なので、さすがに1人で行くのは怖かった。
ああこうしてる内に、はらはらと花が散ってしまう💦と焦りながら、どうしよう···と悩んでいた。
諦めるか?
言ってみるか?
私はうーんと悩んでいたけれど。やはり見たい!
特に今年の桜だけは見ておきたい!
何故なら、死線を乗り越えた後だから。
桜の花を見て、生きてる事を実感したかった。
私は主治医が朝に訪室された時、思い切って「お花見行きたいです!」と聞いてみた。
主治医は驚いた様子だった。
これまで私が口にするのは、病気に関わる事ばかりだったからだ。
主治医はしばらく考えて
「うーん。あたたかくして、短時間、看護師さんと一緒ならいいよ。無理はしないでね」と言った。
『うわぁ!!まじ!!まじ!!まじかぁ❣️許可出たやん!!』
私はものすごく嬉しかった。
主治医の許可があれば、鬼に金棒。
いつ看護師さんに言おうかな···。
看護師さんは私だけを受け持ってるわけちゃうし。
他の患者さんが急変したら、行けなくなるし。
何より桜が散ってしもたら、元も子もない。
これはスピード勝負だ!
と思った私は、今日の日勤看護師さんから声をかけてみようと思った。
主治医に許可もらったのが8時50分頃。
今は、夜の看護師さんから、昼の看護師さんは今申し送りしてるはず。
ラウンドは早くても10時前か、10時過ぎ。
長いなぁと思った。じっとしてられなくて、何時でも桜を見に行ける様に、厚手のカーディガンと、お財布と携帯を入れた手さげを準備した。
その内病棟の廊下がざわざわする様になった。
『あ、申し送り終わってラウンドが始まってる』と思った。
しばらくすると
「おはようございます。今日担当の○○です。よろしくお願いします」と部屋の入口で、看護師さんが挨拶をした。
その後一人一人のベッドの所に回り始めた。
そわそわしながら待ってると、カーテンを少し開いて、私の所の壁がノックされた。
「○○さん、おはようございます」
そしてずっとカーテンの中に看護師さんが入ってきた。
私も「おはようございます」と答えつつ、会釈した。
「歯の痛みはいかがですか?」と聞かれ
マシになったが、痛いのは続いてますと私は答えた。
バイタルを計ってもらいつつ「今日は歯科口腔外科に消毒に行くだけですよ。他科受診は無いです」と今日の私の予定を教えてくれた。
『今や、いけ!言え!』と私は思った。
「あの···今朝主治医の先生に お花見行きたいと聞いたんです。あたたかくして、短時間、看護師さんが一緒ならいいよと言われました。そんなお時間ありますか?」と聞いた。
昼担当の看護師さんは、えっとぉと言いつつ、カーテンの外に行き。
ラウンド用のワゴンを器用にベッドの横のスペースに持って来て、予定表を確かめ始めた。
私は何となく見てたけど「ん?!」と2度目した。看護師さんの確かめてるのは板ではなかった。PCだった!!
『えー!!今の看護師さん達は、PC持ってラウンドしてるん?めっちゃ便利やん!!ラウンド途中で患者さんの情報も確かめられるし。入力早ければ、記録の時間要らんやん!!』
私が現役だった頃は板に紙を挟んで、手書きで情報と処置とを書いて。その紙を元に処置してた。
紙がボロボロになったり、書くとこがなくなって、裏に書いたり、自分の手に書いたりしてた。
今まで痛みに気を取られてよく見てなかったけど。便利になったんやなぁ。と思った。
私も少しだけ電子カルテを使った事があるが。
そこはPCは固定。
PCにインストールする端末に処置を行った時間と、誰が何をしたのかと、結果を仮に入れて置いて。詰所に戻ったらPCに「ガチャン」と連結して、情報をインストール。その後特記事項を手で入力していた。
かな入力しかできず。その上、入力が遅かった私は、1番最後にPCを使うようにと言われていた。
持続点滴のブロック方法や、ルート接続の断面を見た時にも思ったが、医療現場が便利になってるんやなぁと思った。
と私が考えてる間に、看護師さんはPCを見ながら
「えっとぉ。今日午前中は処置がいっぱいなんですね。あ、でもお昼過ぎなら15分ぐらいですけど行けますよ。12時50分からどうですか?」と、まさかの即答を看護師さんからもらえた。
「よ、よろしくお願いします」と私は答えた。
「では12時50分頃に伺いますね」と看護師さんは言われた。
『12時50分!!ご飯死ぬ気で食べな!!』と私は思った。
この頃は 最強食材・千切り大根の煮物も、何とか噛める様になっていた。下顎の痺れと、下顎の違和感は残っていたが、3月初めに比べたら、全然楽になっていた。
ご飯が配られて、私は必死に食べた。そして手早く歯磨きをした。そして準備してあったカーディガンをはおり、手さげを手に 看護師さんを待った。
看護師さんは時間少し前に来られた。
私はお礼を言って、看護師さんが持ってきてくれた車椅子に乗った。
歯科口腔外科病棟は別館だった。別館から本館に行くには、別館内のエレベーターで1階上がり。
エレベーターを降りて右におれ、物が近づくと自動的に左右に開くドアを抜け。
両側に窓がある渡り廊下を、本館に向かって進んだ。
別館の方が本館より低い位置にある為、ゆるい上り坂となってる渡り廊下を抜け。
再度右に曲がり本館に入り。
本館の暗いグレーで窓の無い廊下を約150m直進して。
今度は左におれ、本館のエレベーターに乗り、1階まで行かないと玄関には行けない。
ちなみに渡り廊下の端っこには、反射鏡(?)鏡(?)が壁に貼り付けてあって。
『⚠️前方注意⚠️衝突⚠️注意⚠️』
と言うポスターと。衝突防止クッション的な物が、黄色と黒のテープで貼られていた。めっちゃ目だっていた。
その渡り廊下は、見通しが悪い急な曲がり角が、両端にあったので。事故起こりやすそうだった。
しかも、ここは病院だから、さすがに安全対策はするよなっと思った。
○○○病院だけではなく、古い病院では、増改築のせいか、院内には危険な箇所がある事が多い。
日本は狭くて、段差があるから、きっとどの病院でも似た場所があると思う。
ちなみに後で怒られたけど。
夜や早朝にそろそろと1人でコンビニに行ってた時は、ちゃんと鏡を見ながら、正面衝突しないように気をつけていた。
夜通ると、少し怖い雰囲気だった。特に鏡🪞なんか映ってそうで怖かった。きっと病院怪談あるあるに入ってるんやろうなぁと思う。
この本館に行く道は、車椅子を押してくれる人によって、かかる時間が違う。早く歩く人なら、車椅子が斜めになり『怖っ』と思うし。
丁寧過ぎる人だと、長いなぁと感じる。この日の昼担当の看護師さんは、絶妙なスピードで、渡り廊下を抜けてくれた。
そして本館の乗り、1階に到着した。エレベーターのドアが空くと病棟や外来には無い 新鮮な空気が私に向かって吹いてきた。
私は「あ、現世や」とつぶやいた。正面玄関から出て、大きなロータリーを左に折れたら、最初に白いこぶしの花が咲いていた。
その斜め前方は淡い薄紅色でおおわれていた。
看護師さんは、坂になってる遊歩道も、やはりものともせず、小気味よいテンポで車椅子を進めてくれた。
そして、見上げると、満開の桜がふわふわ揺れながら咲いていた。
『嗚呼、桜やぁ。もう見れへんかもと思ったけど、ちゃんと見れたぁ。生き抜いたぁ』
と私はじーんとなった。
看護師さんも上を見て
「綺麗ですね。私も今年初めてじっくり桜を見ました」
と嬉しそうだった。そして私に「せっかくやから写真撮りましょうか」と言った。
そこでにっこり笑いながら、写真を撮った。
けど後日見たら。私はまだ顔が腫れてて、唇もへの字で映っていた。写真を見て友人は
「すごいほっぺた腫れてんて。痛かったん?」
と正直に感想を言った。
今ではこの写真、他の人に見せる事はしていない。
死の淵から蘇った時の写真やけど、顔がエレファントマンのようだから、持ち出し禁止にしてる😅
私が夢中で桜を見ていると、看護師さんが「こっちもすごいですよ」
と言いつつ車椅子を、普通なら通らへん所、別館に近い方の小さな公園に連れて行ってくれた。
そこにはライオンの像があった。
なんでも○○○病院のシンボルがライオンなのだとか。
ライオンの像の背中にはピンクの可愛い花びらが乗っていた。
見上げると少し濃ゆい目の桜の花が、風に揺られてゆっくり揺れていた。時々はらりと花びらが落ちた。地面に着くまで、まるで舞うように花びらがふわふわしていた。私は写真を撮りつつ思った。
『桜さん🌸私何とか生き延びました。ありがとうございます。あと後遺症が残りませんように』と心の中で思った。
残念ながら後遺症は今も残っている。
まぁ命or後遺症なら、命を選ぶわな···と思うけど。
看護師さんと2人で写真とか撮りまくり、たっぷり桜の花を堪能した。予定の時間を超えてたと思う。
看護師さんに感謝だ。
少し寒くなって来たので、帰ることになった。
もう一度桜に手を合わせてお礼とお祈りをした。
その後、コンビニによって病室に帰った。
看護師さんに沢山ありがとうございますと伝えた。
そして私がお部屋でくつろいでいると。
「○○さん、歯科口腔外科での処置の時間ですよ」
と別の看護師さんに言われた。
あ、歯科口腔外科の処置忘れてたわ!と思った。本当は寝転んでいたかったけど、頑張って起き上がり、車椅子に移った。
処置の後に、もう一度桜見に行こかな⋯と思ったけど、やはり1人で外は怖いから、大人しく部屋に戻った。
この年に見た桜は、忘れられない。
あっちに逝かず、見れて良かったと思った。
続)