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 心身弱いとねぇつむつむ🦷最新話が
 ⚫︎ある日突然死ぬかと思った。
 ⚫︎ 「第12話」🦷局所麻酔による「排膿」手術 🦷

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手術の日は、確かとても良く晴れていた。
そして、日曜日かと思うぐらい、歯科口腔外科病棟は静かだった。
それに看護師さんもあまり居なかったと思う。 もしかしたら土曜日だかもしれない。

場所は
歯科口腔外科 外来ではなく病棟の処置室で、行われた。
そこには主治医しか居なかった。
『え?助手とかする人いないの?』
と、不安になった。

そんな私の不安に気が付かない主治医は、私の骨シンチのフィルムを見ながら
「では局所麻酔するね」
と言った。
そして、左の頬の内側に  かなり広範囲に局所麻酔薬を打った。
そしてしばらくして

「どうかな?効いてきた?」
と普通に 確認してきた。当然の流れだが。
その頃の私は。
少しだけマシになっていたとは言え、変わらず ずっと下の歯(歯茎?)の激痛にさらされていた。同時に痺れもずっと続いていた。

そんな私にとって、主治医が聞いた
「麻酔打った所痺れてきた?」
の確認は、答えに困る難問だった。


私は素直に
「あの。ずっと痺れて痛いから。今、麻酔で
痺れてきかかどうか 分かりません」
と答えた。
主治医は                   
「嗚呼、そうやったなぁ。うーん。   じゃあ 少し待ったら始めよか」
と言った。
『え?確認無しかぃ!』
と私は焦った(꒪ω꒪υ)
そんなことはお構いなく、主治医はメスを持って近づいてきた。
私はちょっと(かなり)怖かった。
けど、手術はそのまま始まった。

この時になって
『そうか···局麻なんや。私全麻やと思ってたわ』
と改めて思っていた。
多分手術の種類では、抜歯と似た部類だったのだろう。
質問しなかった私もあかんけど。ちゃんと説明しない主治医にも『なんだかなぁ』と 思った。

この主治医、いい人ではあるが、精神科への
偏見が強い面もあった。
ので私に、子供に話す様な話し方をしたり。難しそうな事は話さない場合が多かった。
私も、痛みであまり話せないから そのままにしてたけど。
あまり気持ちの良いものではなかった。

主治医は手で左側の頬の内側を触ってきた。口を出来るだけ大きく開けようとしても、私は通常時の3分の1しか口が開かない。
しかも 元々痛みがある所を触られるので、かなりきつかった。どうやら麻酔は効いてないようだった。
しかし動いたら余計痛いだろうし、時間もかかるから、ここは我慢だと思った。
私は手でパジャマのはしを握って、来るべき更なる激痛に身構えた。
主治医は慎重に、膿のたまってる部位を探っていた。
確かエコーも使われてたと思う。
よく覚えてないのは
手術の時に出る 痛みに耐えようとしていた事と。
出来る限り口を開けようとしてた事。
局麻への信頼感が持てなくて、絶対ものすごい激痛が来る!と心から恐れていた事だった。

永遠に続くのかと思った膿探しは。
突然
「あった!」
と言う主治医の言葉で終わった。
主治医は
「見つけた。今からここを切開して、膿を出すからね。痛かったら手を挙げて教えて」
と言われた。
『いよいよか!』
と体に力が入った。
歯科医師や歯科衛生士、てか医療従事者の大抵の方々は、処置中などに痛みが出そうな時
「痛かったら合図して」
と言う。
だけどこの言葉は
普通の人たちの言う「おはよう(などの挨拶)」と大差ないと私は思っている。
小さい頃から色んな病気してた私は、小学生になる頃には、その事に気がついていた。

試しに手を挙げてみると、医療従事者は
「あー痛いね〜。ここ1番痛い所やからねぇ。もう少し我慢してねぇ」
と言って、治療を続ける事がほとんどだった。
さらに「もう少し」を信用して、しばらく耐えて。
それでも痛い時、素直に手を挙げたら。
「痛いよねぇ😣けどあと少しやから、頑張ろかぁ」
同じ様な言葉を繰り返されるだけの事が多い。
そこから私が学んだ対処法は
我慢。
動かない。
(歯科なら)大きな口を開ける。
ひたすら耐える。
だった。
その方が、結局早く処置などが終わるからだ。
この時も私はそれを思い出し。
そして『よし!来んかぃ!!』と覚悟を決めていた。

冷たい器具(多分メス)が、左に頬の内側に触れ、スっと切れた感覚があった。
途端に水分的なものが、ピューとマーライオンの噴水の様に勢い良く 飛び出してきた。すると同時に、口中に塩味が広がった。



主治医は慌てて吸引器でその水分を吸った。
水分的なものが、膿だと聞かされた。
はっきり言って、痛みは全く感じなかった。
膿が出るたび口が軽くなった。
主治医に
「痛い?」
と聞かれて、私は痛くなかったので、首を軽く振った。
数十秒、排液が出た後、今度は吸引器で残りの液を吸われた。
左頬には、多分直径1cmの穴が出来ていたと思う。長さは5cmはありそうだった。
吸引チューブで、排液を吸った後、生理食塩水(と思う物)を注射器で穴に入れ。再度吸引をされると言う工程を、数回繰り返した後、滅菌ガーゼの細長い物を、生理食塩水で浸し、それを穴に入れられた。これは少し痛みがあった。
主治医は
「ここを重点的に消毒するよ。毎日洗浄するからね」
と言われた。
私は
『毎日!』
と思わず思った。
毎日 痛むのを想像して 、ゾッとした。

しばらく生理食塩水を入れたり、吸引したりしてると、なんか少し痛みがマシになった気がした。
てか、左頬の内側は痺れていた。
私は
「あ、これって麻酔効いてるのかな?」
と今更ながら感じた。

手術がすんで、お部屋に帰る時、
「転けない様に帰りや。まだヤバいで」
と主治医に言われた。
「はい」
と答えながら、私はおじぎをした。

その時は下顎の痛みもマシになっていた。

けど···。

なんでずっと右下の方が痛かったのに、膿が反対の左から出るの?と疑問がわいていた。

よく分からない。
こんな病聞いた事ない。習った覚えもない。
まぁ歯科専門ではなかったし。外科系より内科系でお仕事してたから、分からなくて当然なんやけど。

誰も居ない病棟の廊下を、ゆっくり部屋に向かって歩きながら、私は何となく釈然としない気持ちだった。
菌が入ったから下顎に炎症が起こったのはわかった。けどそもそも その菌の入った原因は、なんなん?
私は、また歯科検診した歯科医の事を思い出していた。
思い出す度にイライラした。
私は歩く事に集中する事にした。

転けて出血しない為に。
自分の命を守るために。

続)