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闘病記つむつむ(12)〜ぴぴちゃん②〜
(前回の流れ)
小学校の校門の横で、怖そうなお兄さんが売っていたのは、ものすごく可愛いひよこでした。

メスとオスきちんと分けられた箱の中は、黄色いふわふわの毛をした小さなひよこ達が居て、ぴよぴよ鳴きつつ体を寄せあっていました。

それは まるで もこもこの「まり」の様に見えました。

私は小鳥の足···爪の長い所が怖くて、自分の家に居る小鳥は手のひらに乗せられなくなっていました。

けど

怖そうなお兄さんに
「手ぇ出してみぃ」
と言われ怖々手を出すと、お兄さんはそっとひよこを両手でつかみ、私の手のひらの上にひよこを すとんと乗せてくれました。

少し爪、痛かったですが···。

黄色い毛の柔らかさと、手のひらにちょこんと座った、ひよこのお腹のあたたかさに、痛みはかき消されました。

真ん丸な瞳でじーと私を見上げるひよこ。

そのうるうるなおめめに、私の心はわしずかみされました。

『勝手に連れて帰ったら、お母ちゃん怒るやろなぁ。けどけどけど、置いてけないわぁ』
と思った私は、その子を買って帰りました。

ちゃんとお兄さんに「メスですよね?」と確認して。

ドキドキしながら家に帰って、弟と母にひよこを見せると。

弟は大喜び。

母は「メスなんやな?あんたがちゃんとお世話するんやな?そんならええで」
と思っていたより、あっさりと ひよこは家族になりました。

名前も決めました。

ぴーぴー鳴くからぴぴちゃん。
まんまでした(笑)
命名は私がしました。

私の命名の仕方は、母譲りでしたので、母から否やは出ませんでした。

弟も
「ぴぴちゃん❤」
とすぐに呼んでいたので、その子はぴぴちゃんになりました。

(本編)
私の家は小鳥を沢山飼っていましたので、常時と言っていいほど、空いてる鳥カゴが余っていました。

ぴぴちゃんのお家はすぐ決まりましました。

ぴぴちゃんはご飯も沢山食べ、元気いっぱいでした。

私はお世話を少ししてたかな?どうやったかなぁ〜と今では思う程度しか、やれてなかったと思います。

それって、子供あるあるの
「私がめんどうみるから!」
と言って飼う事を許された動物。

最初はせっせせっせとお世話します。

けど日が経つにつれて、お世話をサボりがちになり···お母さんから
「△!今日のお世話してないで!自分がするって言ってたよね?ちゃんとしなさい(`・д・)σ メッ」
と怒られ。
だけど結局、最後には、お母さんがお世話する事になる。
という「あるある」でした。

私もやっぱり、その「子供あるある」でした(笑)

ぴぴちゃんと遊ぶのは遊ぶんはするんです。

まぁ母に
「この菜っ葉ぴぴちゃんにあげ」
と言われてシロナを手渡された時とかは
ぴぴちゃんのカゴの中に菜っ葉を入れましたけど。

日にちが経つにつれて、その他のお世話はだんだんしなくなりました。

母は
「やっぱりな。お世話する言うたけど、途中でやらんなると思っとったわ。お母ちゃん忙しいねんで!」
と怒られても、私は知らん顔してました。

母はぶつぶつ言いながらも、他の鳥と同じように、手早くぴぴちゃんのカゴの掃除もしていました。

そしてよく見ていたら、母もぴぴちゃんと少し遊んでいました。
めっちゃ優しく良い笑顔の母でした。
私は、お母ちゃんは、本当に動物が好きなんやなぁと思いました。

けれど、ぴぴちゃんが少しづつ大きくなってくると、母の雲行きが怪しくなってきました。

体の毛が黄色から、淡いクリーム色を経て白くなり。

まあるい体が、長く 大きくなり、首としっぽと足が伸びて来た頃、ぴぴちゃんの頭には、「もこっ」としたものが生えてきました。

それを見た母は
「これってトサカやな😲これは···😡」
とぴぴちゃんをしげしげと観察してました。
そして私を横目で見ながら母は
「やっぱり···オスちゃうのん!」
とぽつりと言いました。

私はその声の低さに思わず、ゾクッとしました。

けど大人になったぴぴちゃん、ぴーぴーとは鳴かず、コッコッコッコケッコッコッと鳴くようになっても、仕草は可愛かったです。

砂浴びとか、めっちゃ豪快になりましたけど。

おめめがうるうるしてて、ひよこの時の面影は残っていました。
ので母も「オスちゃうのん」と言いつつ、ぴぴちゃんを可愛がっていました。

なので私も、安心してぴぴちゃんと遊びました。

が···恐れていた その日が、ついに来てしまいました。

それは突然きました。
朝、私は、めっちゃ近くから
「コケコッコー♪」
と言う鳴き声が聞こえた気がしました。
寝ぼけてたので、夢かなぁと思ってました。

けど2度目の
「コケコッコー♪」
が聞こえて私は飛び起きました。

玄関に行くと、母がいち早く来てて、厳しい目で、ぴぴちゃんを見てました。

母の視線の先には
「コケコッコー♪」と楽しそうに鳴いてるぴぴちゃんがいました。

私は
「えっ?なんでオスなん?」
と呟きました。

あの怖そうなお兄さんが
「メスやで。大事にしたってな」と言うてたのに!

メスやなくてオスやなんて。
お兄さん、騙したんか?
なんでやねん!
と、私はパニックになってました。

私はぴぴちゃんを見ながら
「ど···どうしょう···」
何度も呟いていました。

そんな私の様子を見て、うんざりした様な表情の母は
「やっぱオスか···!そやおもてん!」
と、低い声で言いました。
そして
「ひよこ売ってる屋台ってな、オスを「メスです」って騙して売るとこが多いねん。お母ちゃん知っとってん。だからぴぴちゃんがオスちゃうかって思っててんやん。あんた騙されたんや」
とため息と一緒に 吐き出すように言われました。

これも「ひよこあるある」ですよね。
今なら分かります。
けど小学生の頃の私には 分かりませんでした。

だけど、私は騙された事が悔しいより、オスのぴぴちゃんが、母にどうされるのかが気になっていました。

そんな私達の様子に構わず、ぴぴちゃんは嬉しそうに「コケコッコー♪コーココココ コケッコッコッ」とおしゃべりしてました。

嬉しそうなぴぴちゃん。
その姿を私は再度じっくり見つめました。

ぴぴちゃんの頭に「ちょこんと」と生えていたものは、今や血色が良い立派なトサカになってました。

それにくちばしから下に垂れ下がっている赤いもの···ニクゼン?かな、ひらひらしているものも、いつの間にか大きく立派になっていました。

私には、この朝にいきなり大きくなったと感じていましたけれど。

けれど、いきなりトサカとかが大きくなる訳は無いはずなのですが。
当時の私は、ぴぴちゃんのトサカとニクゼンが日々大きくなってるなぁと言う記憶がなかったのです。

多分···この朝まで私の目には「ぴぴちゃん小さく見える眼鏡」が付いていたのかなと真剣に思います。

大きくなって欲しくなかったからです。

この朝、大人になれて嬉しそうなぴぴちゃんの 高らかなコケコッコー♪を聞きつつ、私は母の顔色を伺いました。

しかし思いの外、母は怒っていませんでした。
まぁ
「やっぱりオスやぁ。お母ちゃん言っとったやろ」
と何回も言いましたけど。
でも、ぴぴちゃんを大切にしてくれてました。

ぴぴちゃんがオスと分かった後も、母はアサリの味噌汁を作り。
次の日には、アサリの貝殻をトンカチで小さく潰して、ぴぴちゃんの餌箱に入れてくれてました。

「カルシウムいるからな」
と言いつつ。

実は母は、アサリをはじめ、貝の味噌汁が嫌いでした。

貝を生きたまま煮るのが、残酷だから嫌なんだそうです。

又、食べた時「ジャリ」と言う音がするのも嫌だと言っていました。

私もジャリと言う音が苦手でした。

のでうちでは貝の味噌汁が、ほとんど出ませんでした。

それなのに。

ぴぴちゃんに、貝殼を用意する為に、母は自分の嫌いな、アサリの味噌汁を作ってくれたのです。

細かく砕いた貝殻をぴぴちゃんにあげると、ものすごい勢いで食べました。

雄叫びをおげた後も、ぴぴちゃんを母が大切にしてくれていたので、私の不安は少し薄らいできました。

ところが。
ある事がきっかけで、情勢がガラリと変わりました。

それは。
ぴぴちゃんが、朝···いえ早朝(?)···というか、真夜中(?)に鳴いた事で起こりました。。

夜中3時ぐらいだと母は言ってました。

母は青い顔をして
「真夜中に鶏が鳴くのは、縁起が悪いねん!良くない事か起こるんや!死人が出るねん!」
と言いました。
母は信心深いだけでなく、本人いわく「霊感」があるので、縁起が良いとか悪いとかに敏感でした。
また母がそうだと思ってる事は、根拠がなくても、母には絶対でした。
母に絶対な事は、私達子供らも、父も絶対信じて従わなあかんものでした。

実は···以前にも書きましたけど。
母は躁鬱の治療中断者なんです。
その上違う症状(かな?)も歳を経る事に出てました。
例えば···少しだけらしいですが、人には見えない物が見えたりしたり、聞こえたり、感じたりすると言う事がありました。
また母は、自分絶対OK他者NGの人でした。ので「病院行った方がいいん違うかなぁ」とか誰かに言われたとしても
母は
「なんでやねん!私は治ったんや!あんたがおかしいんとちゃうんか!」と突っぱねたと思うんです。

それに。
思い込みの激しさが半端なく、自分だけのルールを、私達子供に従わせる様な、今で言えば「モラハラ?」「パワハラ?」でしょうか?
とにかくそんな母でした。

しかも···母の見て感じて聞いたものが正しいかは、母にしか分からないもので。母が話すまで、その存在がある事すら分からない···「地雷」のようなしろものでした。

今の私は
「お母ちゃんも統合失調症になってたんとちゃうかな」
と思ってますが。

統合失調症を疑うぐらい、母の思い込みは強かったのです。

また、それを遮ったり「違うと思うわ」とか言うと、母は激怒しました。

ので私も弟も父も、母の言葉に逆らえませんでした。

母は大きな声で
「だからな!お母ちゃんはオスの鶏飼うの 嫌やってんやん!怖いやん!真夜中に鳴かれたら!なんも起こらんといいけど。続くようなら考えなあかんなぁ」
と私と弟に言いました。

『考える?どうするつもりなんやろ?』
と私は思いました。

母はぴぴちゃんを見ながら、複雑な顔をしてました。

私もぴぴちゃんを見つめ、不安になりました。

けど当のぴぴちゃんは
いつも通りのぴぴちゃんでした。

ご飯を食べてはコッコッコーと鳴き。
カゴが小さくなってきたので、少し大きめの鳥カゴに移され、その中で、ウロウロしたり。

外に出すと、裏庭の南天の木の下に潜り込んで、ばさばさと砂浴びをしたり。

とても元気よかったです。
そしてお昼間も
「コケッコッコッー!」
と何回も鳴いてました。

鳴く度にぴぴちゃんは、力強くなる様な気がしました。

ですがあんまり鳴くから、お隣りのおばあさんから苦情がきました。

「朝から晩まで、コケコッコーってうるさいねん!何とかして下さい!うちの壁だって砂浴びの砂がかかって、色が変わってんねんで!迷惑や!」
と、普段柔らかい感じのおばあさんだったのに、ものすごくキツく言ってきはりました。

母は
「すみません」
と謝っていました。

その後
「あんたが買ってきたのが悪いんやで!見てみぃ!お母ちゃん怒られたやんか!ぴぴちゃんの世話だって、あんた途中でできてへんし!あんた無責任や!」
とマシンガントークで私に言いました。

私は平謝りしました。

ぴぴちゃんは
「コココーコッコッ」
と変わらず元気でした。

私は
「ぴぴちゃん、夜鳴いたらあかんで。ここに居れなくなるかもしれんから。いい子やから、朝になってから鳴いてね」
と言いました。

ぴぴちゃんは首をかしげて
「ココッコォコォコォコー」
と不思議そうに鳴きました。

それから夜寝る前、私はぴぴちゃんに
「夜中鳴いたらあかんよ。明るくなってから鳴くんやで」
とぴぴちゃんに話しかけるのが日課になりました。

ぴぴちゃんに、伝わってるかどうかはわかっていませんでしたけど。

てか多分伝わってへんとは思いつつ、私はぴぴちゃんに話しかけてから寝るようになりました。

それでもぴぴちゃんの身に、何か怖い事が起こるような気がして、毎日落ち着かなかったです。

その恐れは、突然現実の物になりました。

その日、朝にいつも通りぴぴちゃんに挨拶して私と弟は学校に行きました。

ぴぴちゃんは元気に
「コッコッコッ ケーコッコッ」
と言いつつご飯を食べていました。

私は学校を終え、
帰ったらぴぴちゃんを外に出したろ❣️
と思いながら帰宅しました。

家にはぴぴちゃんはいませんでした。
からの鳥カゴだけが、朝のまま残っていました。

「ぴぴちゃんおらへん‼️なんで❓」
と慌てる私に

母が冷たく小さな声で
「雄鶏は鳴くからな。近所から苦情も来たし!何より夜中にもし鳴いたら、縁起が悪いねん!そらもぅ飼われへんやろ!お母ちゃんがあんたら学校に行ってる内に、保健所に連れてった!」
と言いました。

私は
「保健所❓」
と思わずオウム返ししてしまいました。

母は
「保健所で殺して始末してもらうんや」
と冷たく言いました。

私は
『保健所で始末❓て···』
「殺それるの⁉️」
と叫んでました。

母は
「仕方ないやろ!夜鳴くんやから!縁起が悪いやん!」
と繰り返しました。

私は『今から行っても無駄やろか』と思いつつ、自転車に乗って走り出しました。

その時気づきましたが、私は保健所の位置を知りませんでした。

一旦帰って母に聞こうかと思いましたが、教えてくれないやろうし。

何かキツい事を言われそうな気がして、家に帰るのはやめました。

そして
『多分こっちかな?』
と思う方角に向かって、自転車で走りました。

ドラマとかなら、これで目的地に付いて、ぴぴちゃんをギリギリのところで助けられる···と言う流れになるのでしょうが。

当然無理でした。

泣きながら、ひたすら自転車で走って、疲れた私は、重たい気持ちで家に帰りました。

そして畳の上で丸まって、ずっと泣いていました。

その時には確か弟も居たと思います。

私と同じように泣いていました。


その日はご飯時も静かでした。

本当は
「お母ちゃん 酷いわ!鳴いたぐらいで殺すなんて!夜中に鳴いたら縁起が悪いなんて迷信やん!ぴぴちゃんを返してーやぁ!」
と言いたかったのですが。

言った後、母がボロくそ言うのが分かるので、黙っていました。

早めにご飯食べて、さっさと布団の中に潜り込み、漫画の世界に逃げようとしました。
けど涙が出て、読めなくて。

布団の中で声をこらえて泣きました。

今頃ぴぴちゃんは、天国かな···と思いつつ。

続)