●梅雨の中休み。広島市は最高気温32度と夏日となった。岡田彰布監督(66)は、いつものようにパインアメを舐めながら広島戦に臨み、ベンチでは扇風機が忙しそうに回っていた。球宴までどれだけ貯金を作れるかをテーマに掲げている12球団最年長監督にとって、猛暑は最大の敵。心身ともにリラックスして連覇を目指す。阪神は逆転負けで3位に後退した。 3- 3の 8回に3盗塁を許して勝ち越されるなど、今季ワーストの 1試合4盗塁を献上し、岡田彰布監督はブチ切れモード。2暴投などバッテリーのミスで失点し、首位広島とのゲーム差は3に広がった。もう一度引き締め直して、 5日からの横浜DeNA戦(甲子園)に臨む。隙を突かれまくった。一時逆転に成功した勢いはしぼみ続け、最後は新井鯉に屈した。試合後、岡田監督は怒気を帯びた顔つきでベンチ裏の通路にやってくると、〝ブチ切れモード〟で厳しい言葉を並べた。足を絡めた攻めを食い止めるためにも、ナインの工夫する姿が見たかった。カープの〝足攻め〟に流れをもっていかれたのは、 3- 3の 8回一死 1、 2塁。島本浩也投手(31)からスイッチした石井大智投手(26)が石原貴規捕手(26)に初球 124キロのカーブを投じると、 2走・羽月が 3盗に成功。ピンチを広げ、その後一死満塁で菊池は空振り三振に仕留めたが、堂林に投げた外角低めへの 135キロスライダーを梅野が止められず。 3塁側に白球が転がる間に羽月隆太郎内野手(24)の生還を許し(記録は暴投)、痛恨のバッテリーエラーで勝ち越された。
● 1点を先行された阪神がすぐさま同点に追いつき、逆転した。 2回先頭の佐藤輝明内野手(25)、島田海吏外野手(28)が連続四球で 1、 2塁とすると、梅野隆太郎捕手(33)が犠打で一死 2、 3塁。小幡竜平内野手(23)が打席へと向かった。その初球、アドゥワ誠投手(25)の 132キロチェンジアップに食らいつくと打球は左前へポトリ。すぐさま同点に追いついた。続いて投手・村上頌樹投手(26)が打席へ。小幡が初球で 2盗を決め一死 2、 3塁。 4球目、アドゥワの 134キロチェンジアップを捉えた。左前に運ぶ勝ち越し打。村上にとってプロ初の適時打で初打点だった。さらに近本光司外野手(29)の中犠飛で 3点目。阪神が試合をひっくり返したのは 6月 1日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、約 1カ月ぶり。逆転の虎が戻ってきた。阪神は終盤にミスから崩れ、3連勝を逃した。 3― 3の 8回には2番手・島本が一死 1、 2塁とピンチを招き、石井にスイッチ。二死満塁から堂林翔太内野手(32)に投じた初球がワンバウンドして暴投となり、勝ち越しを許した。さらに堂林に左越えの2点適時2塁打を浴び、点差を一気に広げられた。
●阪神の先発・村上頌樹投手が 1回からピンチを背負った。先頭の秋山翔吾外野手(36)に初球を痛打され、右前打。 5月21日の広島戦(マツダ)でも 1回先頭の秋山に対しての初球を 2塁打とされ失点。今季4敗目を喫しており、岡田監督も苦言を呈していたが、またも同じ過ちを繰り返した。続く矢野雅哉内野手(25)の初球で、秋山がスタート。梅野が悪送球でわずか 2球で無死三塁とされた。矢野に右前打を許して、あっさり先制点を献上。課題の立ち上がりで村上が苦しんでいる。先発した村上頌樹投手は 7回7安打3失点(自責2)と粘投。しかし、表情は暗かった。 4回一死 2、 3塁で暴投によって 1点差に詰め寄られたシーンも猛省。ただ、 2回には一時勝ち越しの適時打でプロ初打点をマークし、投打での奮闘は目立った。
●阪神の2番手島本浩也投手は 8回から登板するも、 1/3回を投げて1安打1四球2失点で今季初黒星を喫した。 3- 3同点の 8回に登板。先頭小園海斗内野手(24)に右前打を浴びると、一死 1塁から 2盗を許した。5番野間峻祥外野手(31)を四球で歩かせると、一死 1、 2塁で石井に交代。その後、チームは4点を失い、島本に2失点がついた。3番手石井も自らの暴投、堂林に適時打を浴びるなど流れを止められなかった。
●阪神が 1回の先制機を逃した。二死から前川右京外野手(21)が 1塁線を破る 2塁打を放つと、4番・大山悠輔内野手(29)が打席へ。カウント 1- 2からアドゥワの直球を捉えた打球は 1、 2塁間深くを襲った。しかし、これを広島の2塁手・菊池涼介内野手(34)が好捕しアウトに。 3日の同戦では遊撃手・矢野の好守に阻まれるなど、この3連戦は広島が誇る鉄壁の2遊間にやられている。 3- 7、完全な敗色ムードで最終回を迎えた。だが先頭の近本が中越え 3塁打を放ち、3番前川の 2ゴロ間に 1点をかえした。そして大山だ。広島6番手黒原拓未投手(24)に対したフルカウントからの 6球目、 140キロの外角高めの変化球を振り抜いた。左中間へ高々と上がった打球を見つめたが、表情は変えることなくダイヤモンドを周回した。敗戦に笑顔はなかったが、虎の爪痕を残した。今日 5日からは甲子園に戻って2位横浜DeNAと3連戦。虎将史上単独トップとなる岡田監督の通算515勝を、そのバットで飾る。
●悔しい逆転負けを喫した一戦で、小幡竜平内野手(23)が走攻守の三拍子そろった活躍をみせた。小幡竜平内野手がスーパープレーで虎を救った。 3- 2の 5回、先発の村上が一死 2、 3塁のピンチを背負った。打席には4番・坂倉将吾捕手(26)。痛烈な打球が 2遊間を襲う。遊撃・小幡がダイビングキャッチ。体勢が悪い中、 1塁へと送球した。白球はワンバウンドで 1塁・大山のミットに吸い込まれたが、判定はセーフ。岡田監督はリプレー検証を要求した。長い協議を経て、審判団がグラウンドへ。判定が覆り、アウト!この一打で同点に追いつかれた阪神だが、二死 3塁となり、村上が野間を投ゴロに仕留めて勝ち越しは許さなかった。守っては 3― 2の 5回一死 2、 3塁。坂倉の中前に抜けそうな打球に飛びついて好捕し、すぐさま 1塁へ送球。一度はセーフの判定もリプレー検証でアウトに覆った。同点こそ許したが、さらなるピンチを防ぐプレーで村上を助けた。前日 3日は2度の犠打失敗があったが、 1日でミスを取り返した。木浪聖也内野手(30=亜細亜大學OB)の死球骨折以降、遊撃で出場を続ける若虎の奮闘が、チームに活力を与えている。
●中野拓夢内野手(28)が 2回に中前打を放ち、9試合連続安打とした。チームは 8回にミスが絡んで敗戦。 5日の横浜DeNA戦(甲子園)に向け意気込んだ。
●新進気鋭の若武者が頼もしさを増している。もはや、相手が左投手など関係ない。右に左に打球を運び、前川右京外野手が確固たる地位にまた近づいた。 2試合連続で「3番・左翼」に座り、まずは 1回の第 1打席。アドゥワの 133キロチェンジアップを振り切った。 1塁線を破る 2塁打で好機演出。4試合連続で快音を響かせた。急成長が垣間見えたのは 7回二死 1塁の第 4打席。左腕・塹江敦哉投手(27)と対峙(たいじ)した。今季は初の開幕スタメンも、左投手相手だと先発を外れることや、代打を出されることもしばしばあった。でも、今は違う。外角高めの 151キロ直球に逆らわずバットを合わせ、左中間に運ぶ技ありの一打を放った。これで、この試合を含め直近 7試合で5度目のマルチ安打。対左投手との対戦打率も0.304(23打数7安打)に上昇した。対右投手が同0.285(137打数39安打)と遜色ないどころかむしろ強い。もはや〝左キラー〟と言ってもいい。21歳が口にする言葉の節々から〝主軸〟としての自覚がにじむ。輝きを放つ若虎は勝利のために快音を響かせ続ける。
●佐藤輝明内野手が 7回二死満塁の好機で打席に立った。マウンドには同じ1998年世代の左腕・森浦大輔投手(25)。初球から 148キロ直球で押してくる左腕に対し、佐藤輝はフルカウントまで整える。 6球目、最後も 147キロ直球。はじき返した大砲だったが、打球は左翼フェンス手前で失速した。 6球すべて直球の真っ向勝負。軍配は左飛に抑えた森浦に上がった。前日 3日に2本塁打を放った佐藤輝明内野手は、4打数無安打に終わった。 3- 3の 7回は二死満塁で打席が回ったが、森浦に左飛に仕留められて勝ち越しならず。 2回の第 1打席は先頭で四球出塁し、一時同点のホームを踏んだが、 2試合ぶりの無安打で快音は響かなかった。 5日からの横浜DeNA3連戦に目を向けた。
● 4点を勝ち越された直後の 9回、近本光司外野手が先頭で 3塁打を放ち意地を見せた。 2回に小幡、村上の適時打で逆転に成功し、なおも一死 1、 3塁から中犠飛で追加点を奪った。 2日の広島戦で18打席ぶりに安打を記録してから、3試合連続安打と調子は上向き。この日、選手間投票でも球宴に選出されたリードオフマンが、本来の力を取り戻しつつある。御礼の一撃だった。この日、球宴の選手間投票結果が発表。セ・リーグ最多の376票を集め、外野手1位で選出された。ファン投票でも外野手部門でリーグ1位で選出済み。昨年は死球による「右肋骨(ろっこつ)骨折」で出場辞退を余儀なくされたが、ファン投票、選手間投票ともに2年連続での選出を果たした。ファンからも選手からもリスペクトを集める虎のリードオフマン。劣勢の中でもタダでは終わらない姿勢に、貫禄が表れた。18打席ぶりに安打が生まれた 2日から3試合連続の安打。 1点を勝ち越した直後の 2回一死 1、 3塁では中犠飛で打点1も挙げた。快音も戻ってきた。次は勝利につなげる。
●ジェレミー・ビーズリー投手(28)が 5日の横浜DeNA戦(甲子園)で約 1カ月ぶりの4勝目を目指す。雨天中止の影響で1軍登板は 6月15日の敵地福岡ソフトバンク戦以来。今季の甲子園先発は3戦3勝、防御率0.45と超抜の安定感。再び聖地を沸かせる準備は万全だ。

記事をまとめてみました。

 

 

 <広島 7- 5阪神>◇13回戦◇阪神 6勝 6敗 1分◇ 4日◇MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(略称=マツダスタジアム)
 梅雨の中休み。広島市は最高気温32度と夏日となった。岡田彰布監督は、いつものようにパインアメを舐めながら広島戦に臨み、ベンチでは扇風機が忙しそうに回っていた。「まずはオールスターまでやな」と球宴までどれだけ貯金を作れるかをテーマに掲げている12球団最年長監督にとって、猛暑は最大の敵。心身ともにリラックスして連覇を目指す。


  4回、ベンチで険しい表情の岡田彰布監督=マツダスタジアム

 走られすぎや-。阪神は逆転負けで3位に後退した。 3- 3の 8回に3盗塁を許して勝ち越されるなど、今季ワーストの 1試合4盗塁を献上し、岡田彰布監督は「けん制もせえへん」とブチ切れモード。2暴投などバッテリーのミスで失点し、首位広島とのゲーム差は3に広がった。もう一度引き締め直して、 5日からの横浜DeNA戦(甲子園)に臨む。

  5回を終え、パインアメを口に運ぶ岡田彰布監督=マツダスタジアム
 阪神が広島の機動力に翻弄された。 3- 3で迎えた 8回一死 1塁。代走の羽月がスタートを切った。岡田監督はリプレー検証を要求も、判定はセーフ。さらに野間に四球を与え一死 1、 2塁とされたところで岡田監督は島本から石井にスイッチする。石原の初球、羽月は再びスタート。今度は悠々と 3盗を許すと、続く投球で 1走・野間も盗塁成功し、1イニング3盗塁でピンチを広げると、石原に四球で一死満塁となった。菊池は三振に斬った石井だが、堂林の初球でまさかの暴投。さらに堂林に 2点 2塁打を浴びて 3- 6と一気にリードを許した。この日は序盤から再三のエンドランを仕掛けられるなど、バッテリーは広島の足技に翻弄され続けた。


  8回、石井大智投手が暴投。ボールを追いかける梅野隆太郎捕手=マツダスタジアム
 隙を突かれまくった。一時逆転に成功した勢いはしぼみ続け、最後は新井鯉に屈した。試合後、岡田監督は怒気を帯びた顔つきでベンチ裏の通路にやってくると、〝ブチ切れモード〟で厳しい言葉を並べた。足を絡めた攻めを食い止めるためにも、ナインの工夫する姿が見たかった。
 「けん制もせえへんねんから。初球あれだけやられてるのに、けん制もせえへんもん」


  8回、 3盗を決める広島・羽月隆太郎内野手=マツダスタジアム
 カープの〝足攻め〟に流れをもっていかれたのは、 3- 3の 8回一死 1、 2塁。島本からスイッチした石井が石原に初球 124キロのカーブを投じると、 2走・羽月が 3盗に成功。ピンチを広げ、その後一死満塁で菊池は空振り三振に仕留めたが、堂林に投げた外角低めへの 135キロスライダーを梅野が止められず。 3塁側に白球が転がる間に羽月の生還を許し(記録は暴投)、痛恨のバッテリーエラーで勝ち越された。

 


  2回、適時打を放った村上頌樹投手=マツダスタジアム
  1点を先行された阪神がすぐさま同点に追いつき、逆転した。 2回先頭の佐藤輝、島田が連続四球で 1、 2塁とすると、梅野が犠打で一死 2、 3塁。小幡が打席へと向かった。その初球、アドゥワの 132キロチェンジアップに食らいつくと打球は左前へポトリ。すぐさま同点に追いついた。「打ったのはチェンジアップ。梅野さんが送りバントでチャンスを作ってくれたので、いい流れで打つことができました。いい所に落ちてくれました」。続いて投手・村上が打席へ。小幡が初球で 2盗を決め一死 2、 3塁。 4球目、アドゥワの 134キロチェンジアップを捉えた。左前に運ぶ勝ち越し打。村上にとってプロ初の適時打で初打点だった。さらに近本の中犠飛で 3点目。「打ったのはストレート。ヒットではなかったけど最低限。追加点を取ることができてよかったです」。阪神が試合をひっくり返したのは 6月 1日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、約 1カ月ぶり。逆転の虎が戻ってきた。


  8回、勝ち越されぼうぜんとする岡田彰布監督。手前は石井大智投手。右は倒れこむ梅野隆太郎捕手=マツダスタジアム
 阪神は終盤にミスから崩れ、3連勝を逃した。先発の村上頌樹投手は 7回3失点。 1回に 1点の先制を許し、直後の 2回の攻撃では小幡の適時打で同点とし、なお二死 1、 3塁で打席へ。左前に運んで逆転の適時打とし、これがレギュラーシーズンでプロ初適時打&初打点になった。 3― 1で迎えた 4回は連打と犠打で 2、 3塁とされ、暴投で 1点差。 5回にも 2、 3塁を背負い、遊ゴロの間に同点を許した。
  3― 3の 8回には2番手・島本が一死 1、 2塁とピンチを招き、石井にスイッチ。二死満塁から堂林に投じた初球がワンバウンドして暴投となり、勝ち越しを許した。さらに堂林に左越えの2点適時2塁打を浴び、点差を一気に広げられた。

 


  1回、秋山翔吾外野手の 2盗の際に 2塁へ悪送球する梅野隆太郎捕手=マツダスタジアム
 阪神の先発・村上頌樹投手が 1回からピンチを背負った。先頭の秋山に初球を痛打され、右前打。 5月21日の広島戦(マツダ)でも 1回先頭の秋山に対しての初球を 2塁打とされ失点。今季4敗目を喫しており、岡田監督も「対策してないからそうなるやんか。対策してたら、初球ボール球とかでちょっと入るやろ」と苦言を呈していたが、またも同じ過ちを繰り返した。続く矢野の初球で、秋山がスタート。梅野が悪送球でわずか 2球で無死三塁とされた。矢野に右前打を許して、あっさり先制点を献上。課題の立ち上がりで村上が苦しんでいる。

  4回、坂倉将吾捕手に安打を打たれ顔をしかめる村上頌樹投手=マツダスタジアム
 村上頌樹投手がまさかの形で失点した。 4回、先頭の坂倉、続く野間の連打で 1、 2塁とされると、石原の犠打で一死 2、 3塁。菊池に対し、フルカウントからの 7球目。フォークを投じた右腕だが、引っ掛けてベース手前で大きくバウンド。ブロッキングの得意な梅野もさすがに止められず、暴投で 1点を失った。制球力が自慢の村上にとっては珍しい形での失点だった。 3- 2と 1点差に迫られた右腕はなおも一死 1、 3塁のピンチで堂林を 2飛、代打・松山を空振り三振に斬り、同点は許さなかった。

  5回、小園海斗内野手に 2塁打を許した村上頌樹投手=マツダスタジアム
 先発した村上頌樹投手は 7回7安打3失点(自責2)と粘投。しかし、「毎回のように走者を出していたので、リズムを作れなかったですし、そこが反省点」と、表情は暗かった。 4回一死 2、 3塁で暴投によって 1点差に詰め寄られたシーンも「暴投なので申し訳ない」と猛省。ただ、 2回には一時勝ち越しの適時打でプロ初打点をマークし、投打での奮闘は目立った。

 


 投球する島本浩也投手=マツダスタジアム
 阪神の2番手島本浩也投手が今季初黒星を喫した。
  3- 3同点の 8回に登板。先頭小園に右前打を浴びると、一死 1塁から 2盗を許した。5番野間を四球で歩かせると、一死 1、 2塁で石井に交代。その後、チームは4点を失い、島本に2失点がついた。「先頭をしっかりと抑えておけば、また(展開も)変わったかなと思います」と反省。3番手石井も自らの暴投、堂林に適時打を浴びるなど流れを止められなかった。


  8回裏広島一死 1、 3塁、石井大智投手が投球しすかさず 2塁盗塁を決める一塁走者野間峻祥外野手(左)、手前は 3塁走者代走羽月隆太郎内野手=マツダスタジアム
 島本浩也投手は 8回から登板するも、 1/3回を投げて1安打1四球2失点で今季初黒星を喫した。先頭の小園に右前打を浴びると、一死後に代走・羽月が 2盗に成功。続く野間を敬遠気味で歩かせたところで交代を告げられ、代わった石井が後続に打たれた。試合後は「先頭をしっかりと抑えておけば、(展開も)また変わったかなと思います」と悔しさをにじませた。

 


  1回、 2ゴロに倒れた大山悠輔内野手=マツダスタジアム
 阪神が 1回の先制機を逃した。二死から前川が 1塁線を破る 2塁打を放つと、4番・大山が打席へ。カウント 1- 2からアドゥワの直球を捉えた打球は 1、 2塁間深くを襲った。しかし、これを広島の2塁手・菊池が好捕しアウトに。 3日の同戦では遊撃手・矢野の好守に阻まれるなど、この3連戦は広島が誇る鉄壁の2遊間にやられている。


  9回表阪神二死、大山悠輔内野手は左中間越え本塁打を放った=マツダスタジアム
 4番が意地を見せた。大山悠輔内野手が捉えた打球は、左中間スタンドへ吸い込まれた。 3- 3の 8回に救援陣が4失点。その直後の 9回表に 1点をかえし、主砲の6号ソロで 2点差まで迫った。まだ諦めない-。渾身(こんしん)の 1発だった。
  3- 7、完全な敗色ムードで最終回を迎えた。だが先頭の近本が中越え 3塁打を放ち、3番前川の 2ゴロ間に 1点をかえした。そして大山だ。広島6番手黒原に対したフルカウントからの 6球目、 140キロの外角高めの変化球を振り抜いた。左中間へ高々と上がった打球を見つめたが、表情は変えることなくダイヤモンドを周回した。「反省する部分も多いので、しっかり反省して明日の準備をします」。敗戦に笑顔はなかったが、虎の爪痕を残した。


  9回表阪神二死、大山悠輔内野手は左越えソロ本塁打を放った=マツダスタジアム
 ベクトルは上向きだ。2軍再調整を経て 6月21日に1軍復帰すると、翌22日のホーム横浜DeNA戦で左翼へ4号ソロ。30日は敵地神宮の右中間に5号ソロを運び、左、右、左と10試合で3本塁打をマーク。昇格後の打率も2割7分5厘とし、復調を印象づけている。
 鳴尾浜での時間を無駄にしなかった。不振で 6月 5日に出場選手登録を抹消。即日2軍残留練習に合流し、精力的に汗を流した。11日に2軍オリックス戦で実戦復帰。試合後も居残りで22歳の遠藤と打球補を繰り返した。左右に振られ、飛び込んで起き上がるとタテジマは真っ黒。それでも笑顔で声を出して後輩を引っ張り、小麦色に焼けた額から大粒の汗を流した。


  9回表阪神二死、左中間に本塁打を放った大山悠輔内野手を迎える岡田彰布監督=マツダスタジアム
 「責任感はすごく感じています。(1軍に)戻った時に戦力として、チームのためにできるように、今この時間を大切にやっていきたい」。朝早く来て筋力トレーニングに励み、その後もノックや打撃練習、試合、再びノックや室内打撃と、朝から晩まで手を抜かなかった。「僕が 1年目、 2年目、鳴尾浜で野球した時のことを思い出します。初心に戻るじゃないですけど、そういった時の気持ちを思い出すのも大切なのかな」。ひた向きに練習する主砲の姿は後輩の目にも焼き付いていた。
 今日 5日からは甲子園に戻って2位横浜DeNAと3連戦。虎将史上単独トップとなる岡田監督の通算515勝を、そのバットで飾る。

 


  2回、小幡竜平内野手は同点打を放った=マツダスタジアム
 小幡竜平内野手がスーパープレーで虎を救った。 3- 2の 5回、先発の村上が一死 2、 3塁のピンチを背負った。打席には4番・坂倉。痛烈な打球が 2遊間を襲う。遊撃・小幡がダイビングキャッチ。体勢が悪い中、 1塁へと送球した。白球はワンバウンドで 1塁・大山のミットに吸い込まれたが、判定はセーフ。岡田監督はリプレー検証を要求した。長い協議を経て、審判団がグラウンドへ。判定が覆り、アウト! この一打で同点に追いつかれた阪神だが、二死 3塁となり、村上が野間を投ゴロに仕留めて勝ち越しは許さなかった。


  5回、坂倉将吾捕手の打球で好守をみせる小幡竜平内野手=マツダスタジアム
 悔しい逆転負けを喫した一戦で、小幡が走攻守の三拍子そろった活躍をみせた。
「打てる球を(打ちに)いこうと思って、結果的にヒットで打点もついた。そこは良かったかなと思います」
  1点を先制された直後の 2回、一死 2、 3塁で最初の打席へ。アドゥワの初球を振り抜き、打球はふらふらと上がって左翼手の前へポトリ。サヨナラ安打を放った 6月21日の横浜DeNA戦(甲子園)以来となる打点で同点に追いつくと、続く村上の打席で今季初盗塁も決めて、近本の犠飛で3点目のホームを踏んだ。


  5回、坂倉将吾捕手の遊ゴロを好捕した小幡竜平内野手=マツダスタジアム
 守っては 3― 2の 5回一死 2、 3塁。坂倉の中前に抜けそうな打球に飛びついて好捕し、すぐさま 1塁へ送球。一度はセーフの判定もリプレー検証でアウトに覆った。同点こそ許したが、さらなるピンチを防ぐプレーで村上を助けた。前日 3日は2度の犠打失敗があったが、 1日でミスを取り返した。
 「また明日から全員で頑張っていきたいと思います」
 木浪の死球骨折以降、遊撃で出場を続ける若虎の奮闘が、チームに活力を与えている。

 


 中野拓夢内野手=マツダスタジアム
 中野拓夢内野手が 2回に中前打を放ち、9試合連続安打とした。「ヒットが続いていることはいいことですけど…」と振り返った選手会長は 3三振を反省。「もっと粘りのある打撃ができる。三振をあまりしないように持ち味のヒットが出たらいい」。チームは 8回にミスが絡んで敗戦。 5日の横浜DeNA戦(甲子園)に向け「切り替えて頑張ります」と意気込んだ。

  5回、空振り三振に倒れた中野拓夢内野手=マツダスタジアム
 中野拓夢内野手が今季自己最長の9試合連続安打を放った。
  2点を勝ち越した直後の 2回二死 1塁。広島アドゥワの 142キロ直球を中前にはじき返した。それでも「ヒットが続いていること自体はいいですけど、もっと粘りのある打撃ができるんじゃないかなと…。簡単に三振せず、粘りながらヒットが出れば」と満足はしていなかった。

 

 新進気鋭の若武者が頼もしさを増している。もはや、相手が左投手など関係ない。右に左に打球を運び、前川右京外野手が確固たる地位にまた近づいた。
 「ある程度ちゃんと軸を持って振れているので、いい結果が出ているかなと思います」
  2試合連続で「3番・左翼」に座り、まずは 1回の第 1打席。アドゥワの 133キロチェンジアップを振り切った。 1塁線を破る 2塁打で好機演出。4試合連続で快音を響かせた。
 急成長が垣間見えたのは 7回二死 1塁の第 4打席。左腕・塹江と対峙(たいじ)した。今季は初の開幕スタメンも、左投手相手だと先発を外れることや、代打を出されることもしばしばあった。でも、今は違う。外角高めの 151キロ直球に逆らわずバットを合わせ、左中間に運ぶ技ありの一打を放った。


  7回、安打を放った前川右京外野手=マツダスタジアム
 これで、この試合を含め直近 7試合で5度目のマルチ安打。対左投手との対戦打率も0.304(23打数7安打)に上昇した。対右投手が同0.285(137打数39安打)と遜色ないどころかむしろ強い。 6月16日の福岡ソフトバンク戦(みずほペイペイ)で満塁弾を放った際、岡田監督は「左(投手)の時でも先発したりな。左ピッチャーとか対応したり、ある程度できたら自信もつくやろうし」と話していたが、もはや〝左キラー〟と言ってもいい。
 勝負の一年と位置づけた高卒 3年目のシーズン。 6月25日の中日戦(倉敷)から8試合連続先発出場を果たし、打率0.288まで上げた。安定感抜群の若虎だが、「好調って言うと駄目だと思う。これが普通だと思ってもう少し(状態を)上げていけるようにしないといけない」と油断や慢心は一切ない。
 「やっぱりもっと工夫はしないといけないと思うので、これからも大事な一試合一試合になってくるかなと思いますね。試合に出ている以上は勝利に貢献できるようにやっていくだけです」
 21歳が口にする言葉の節々から〝主軸〟としての自覚がにじむ。輝きを放つ若虎は勝利のために快音を響かせ続ける。

 


  7回表阪神二死満塁、佐藤輝明内野手は左飛に倒れる。投手は森浦大輔投手=マツダスタジアム
 佐藤輝明内野手が 7回二死満塁の好機で打席に立った。マウンドには同じ1998年世代の左腕・森浦。初球から 148キロ直球で押してくる左腕に対し、佐藤輝はフルカウントまで整える。 6球目、最後も 147キロ直球。はじき返した大砲だったが、打球は左翼フェンス手前で失速した。 6球すべて直球の真っ向勝負。軍配は左飛に抑えた森浦に上がった。


  7回、二死満塁で左飛に倒れた佐藤輝明内野手=マツダスタジアム
 佐藤輝明内野手は4打数無安打1四球だった。 3― 3の 7回は二死満塁で打席を迎え、森浦の直球を捉えるも左飛で勝ち越しならず。 5― 7の 9回二死は空振り三振で最後の打者になった。 3日は2本塁打を放って勝利の立役者となるも、この日は好機で凡退し「次は打てるように頑張ります」と挽回を期した。

  9回、三振に倒れ、最後の打者となった佐藤輝明内野手=マツダスタジアム
 前日 3日に2本塁打を放った佐藤輝明内野手は、4打数無安打に終わった。
  3- 3の 7回は二死満塁で打席が回ったが、森浦に左飛に仕留められて勝ち越しならず。 2回の第 1打席は先頭で四球出塁し、一時同点のホームを踏んだが、 2試合ぶりの無安打で快音は響かなかった。「次は打てるように頑張ります」と 5日からの横浜DeNA3連戦に目を向けた。

 


  9回表阪神無死、近本光司外野手は中 3塁打を放った。投手は黒原拓未投手=マツダスタジアム
  4点を勝ち越された直後の 9回、近本光司外野手が先頭で 3塁打を放ち意地を見せた。「ヒットになったので良かったです」。 2回に小幡、村上の適時打で逆転に成功し、なおも一死 1、 3塁から中犠飛で追加点を奪った。 2日の広島戦で18打席ぶりに安打を記録してから、3試合連続安打と調子は上向き。この日、選手間投票でも球宴に選出されたリードオフマンが、本来の力を取り戻しつつある。

  9回表阪神無死、近本光司外野手は中3塁打を放ち3塁へ向かう=マツダスタジアム
 近本光司外野手が、ネバーギブアップを体現した。 4点を追う 9回先頭、広島黒原の 149キロ直球を振り抜いた。中堅手の頭を越える一打で快足を飛ばし、一気に 3塁を陥れた。「ヒットが出てよかったです」。関学大の 5学年下にあたる後輩左腕から、 6月 7日埼玉西武戦(甲子園)以来、17試合ぶりの 3塁打。その後、3番前川の 2ゴロでホームにかえってきた。


  9回、 3塁打を放った近本光司外野手=マツダスタジアム
 御礼の一撃だった。この日、球宴の選手間投票結果が発表。セ・リーグ最多の376票を集め、外野手1位で選出された。「いろんな選手がいて、その中で選んでもらえている。また頑張っていきたいです」。ファン投票でも外野手部門でリーグ1位で選出済み。昨年は死球による「右肋骨(ろっこつ)骨折」で出場辞退を余儀なくされたが、ファン投票、選手間投票ともに2年連続での選出を果たした。ファンからも選手からもリスペクトを集める虎のリードオフマン。劣勢の中でもタダでは終わらない姿勢に、貫禄が表れた。

 オールスター選手間投票結果
 18打席ぶりに安打が生まれた 2日から3試合連続の安打。 1点を勝ち越した直後の 2回一死 1、 3塁では中犠飛で打点1も挙げた。「ヒットではなかったけど最低限。追加点を取ることができてよかった」。快音も戻ってきた。次は勝利につなげる。

 


 ジェレミー・ビーズリー投手=ナゴヤ球場
 ジェレミー・ビーズリー投手が 5日の横浜DeNA戦(甲子園)で約 1カ月ぶりの4勝目を目指す。
 雨天中止の影響で1軍登板は 6月15日の敵地福岡ソフトバンク戦以来。この間、25日のウエスタン・リーグ中日戦で 2回無失点、30日にはブルペンで打者を立たせて54球を投じるなど調整を続けてきた。今季初の横浜DeNA戦に向け「特別なことはなく、いつも通りピッチングできれば」と平常心で臨む。今季の甲子園先発は3戦3勝、防御率0.45と超抜の安定感。再び聖地を沸かせる準備は万全だ。

 

※ 7月 5日の予告先発は、阪神・ジェレミー・ビーズリー投手(28)―横浜DeNA戦・アンドレ・ジャクソン投手(28)です。どちらに軍配が上がるか、楽しみですね。

 

 2024年シーズンのチームスローガン『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』

 リーグ優勝と日本一に輝き、王者として迎える2024年。
しかし王者といえど、野球に王道という道はない。ただ確かなことは、歩みを止めてはいけないということ。
 2024年も、阪神タイガースは挑戦をやめない。チャレンジャーとして、アレに向かって挑み続ける。
 そんな挑み続ける阪神タイガースの姿勢をスローガンにしたのが『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』です。

 

 

2024年 オープン戦順位表

 

2024年 公式戦順位表

 

2024年 交流戦最終順位表

 

2024年 公式戦日程表と結果(06月)

 

 

2024年 公式戦日程表と結果(07月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(08月)

 

 

 

 

 

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