●岡田彰布監督(66)が初回から積極的に動いた。近本光司外野手(29)に代えて「1番・中堅」で起用した島田海吏外野手(28)が 1回先頭で四球をもぎ取る。続く中野拓夢内野手(27)の初球。 1走・島田が果敢にスタート。梅津晃大投手(27)の 150キロ直球を中野がはじき返すと、打球は遊撃へ。ベースカバーに走った遊撃・(土田)龍空内野手(21)は逆を突かれた形となり、打球はグラブをはじいて中堅へと転々とした。島田は悠々、 3塁へ。初回からエンドランを仕掛け、無死 1、 3塁の好機を演出した。しかし、3番・森下翔太外野手(23)は空振り三振。4番・大山悠輔内野手(29)は痛恨の遊ゴロ併殺打に終わり、先制点を奪うことはできなかった。
阪神は終盤に打線が爆発し、逃げ切った。 0- 0で迎えた 7回無死 1、 3塁で大山が左前打を放って先制。続く前川右京外野手(21)が適時2塁打、佐藤輝明内野手(25)が2点打と3者連続適時打で突き放した。 8回には森下にも適時打、前川が2打席連続の適時打を放つなど4得点。 先発の村上は 1回無死 1、 2塁のピンチをしのぐと、回を重ねるごとに安定感を増し 9回途中8安打1失点。 4月30日の広島戦(マツダ)以来となる今季3勝目(5敗)をマークした。(成績=34勝32敗5分け=観衆 4万2618人)岡田監督はこれで史上20人目となる監督通算700勝に到達。チームは連敗を2で止めた。久しぶりの猛打での快勝にも、岡田監督はすぐに勝負師の目つきを取り戻した。次戦はシーズン折り返し地点の72試合目。ここからも平然と勝利を積み重ねていくだけだ。
●岡田彰布監督がまた主力外しの断を下した。近本光司外野手が今季初めてスタメンを外れた。ベンチスタートは昨年 9月30日の広島戦以来。もし欠場となれば同24日中日戦以来。 6月15日に本来の1番に戻ったが、 7試合でわずか3安打と逆にどん底に。前日26日の中日戦は6打数無安打。延長12回でわずか 1得点と苦しんだ打線に貢献できなかった。打率は2割5分2厘まで悪化した。代役で2安打した島田海吏外野手を称賛した。28日の東京ヤクルト戦(神宮)以降については、島田のスタメン続行の可能性についても触れた。
●近本に代わって「1番・中堅」に入った島田海吏外野手が躍動した。 1回に四球で出塁し、 3回に 2塁内野安打、 8回に中前打で計 3出塁。気迫を示した。 5月31日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、約 1カ月ぶりのスタメン。気を引き締めた。岡田監督は28日の東京ヤクルト戦(神宮)以降のスタメンについて継続を示唆した。
●中野拓夢内野手が誕生日前夜に3安打をマークした。中野拓夢内野手は 5日の東北楽天戦(甲子園)以来、今季5度目の猛打賞で勝利に貢献した。 0- 0の 7回先頭で左中間への 2塁打を放って口火を切ると、この回一挙4得点。 1、 8回にも安打で好機を演出し意気込んだ。
●気迫の〝暴走〟も、前夜の〝サインミス〟も、 1回の凡打も、まとめて帳消しにした。猛虎打線復活の中心にこの男たちがいる。打って、打って、打った3者連続タイムリー。最後を締めた佐藤輝明内野手が胸を張った。大山、前川の連続タイムリーで 2- 0として迎えた 7回無死 2、 3塁の好機。左腕・齋藤綱記投手(27)の 140キロ直球を逆らわずはじき返した。左前に運ぶ2点打は汚名返上の一打でもあった。 5回一死の第 2打席。左前打に迷わず 2進した。アウトのタイミングだったが、身をよじりながらのヘッドスライディングで右手を懸命に伸ばした。サトテルのアピールに、岡田監督は苦笑いしながらリプレー検証を要求も判定は変わらなかった。一度は空回りしてしまった勝利への執念を今度はバットに乗せた。ミスを取り返したのは佐藤輝だけではない。 7回に先制打を放った大山は、 1回一死 1、 3塁の好機で痛恨の遊ゴロ併殺に終わっていた。大山に続いた前川だってそうだ。前夜26日の一戦で 9回一死 1塁で 2塁打を放ったが、待球を指示していた岡田監督からは〝罰金ジョーク〟も飛び出した。この日、お立ち台に上がった前川は 7回の舞台裏を明かす。それぞれの思いが生み出した大山、前川、佐藤輝の3者連続適時打。チームとして3者連続タイムリーは 4月20日の中日戦(甲子園)以来で、このときも 7回にこの 3人が放っている。やはり、打つべき選手が打てば、猛虎打線は目覚める。中軸を代表し、佐藤輝が誓った。これまでの貧打は終わり。ここからは取れなかった点も、白星もどんどん重ねていく。猛虎打線、逆襲ののろしが上がった。
●阪神の3番森下翔太外野手も乗り遅れなかった。3打席無安打で迎えた 8回無死 1、 2塁、あと少しで本塁打の左越え2塁打。初回無死 1、 3塁。転がせば 1点という場面で空振り三振に倒れた反省も忘れなかった。打撃は上昇中のようで気を引き締めた。岡田監督の指導もあり打撃練習に変化を加える中、13日のオリックス戦(京セラ)以来の適時打で勝利に貢献した。
● 1イニング複数得点を呼ぶ男だ。前川右京外野手が長打2本で3打点と暴れた。 0- 0で迎えた 7回。大山の左前適時打で先制し、なおも無死 1、 2塁。代わった2番手左腕、中日齋藤の 139キロ高めの直球を振り抜き、右翼線へ適時2塁打。満員の虎党の大歓声に包まれながら塁上で大きく手をたたき、喜びを爆発させた。 1イニング複数得点は 6月16日福岡ソフトバンク戦の 1回以来、65イニングぶり。自身がプロ初の満塁弾を放ったイニング以来のビッグイニングを呼び込んだ。お立ち台で共演した智弁学園の先輩、村上頌樹投手(26)を笑顔でいじった。若き5番打者が打線を勢いづけている。
●未勝利トンネルの出口は、雨降る甲子園にあった。村上頌樹投手が8回 1/3を8安打1失点。 2カ月ぶりの勝利は自身への最高のプレゼントになった。 1回は先頭からの連打で無死 1、 2塁を背負ったが、クリーンアップを斬ってゼロ発進。その後はカーブでカウントを取りながら直球やフォークを交え、竜打線に立ちはだかった。 9回先頭で板山祐太郎内野手(30=亜細亜大學OB)のバットの空を切らせ、毎回で奪った三振は自己最多の11個に到達。ここから3連打で 1点を返されて完封&完投は逃したが、 4月30日の広島戦(マツダ)以来となる3勝目を手にした。村上頌樹投手に笑顔はない。約 2カ月ぶりの3勝目。それでもお立ち台では完封を逃した悔しさをにじませた。 9回一死から細川成也外野手(25)、石川昂弥内野手(22)、福永裕基内野手(27)に3連打を許し、 1点を失ったところで降板。8得点に守られ、完封を期待されて送り出された最終回だっただけに、表情がくもった。 8回 1/3を8安打1失点で、毎回となる11奪三振は自己最多。こちらも自己最多となる 133球の熱投にも昨季のリーグMVP右腕は納得できなかった。指揮官からはたたえられた。お立ち台では智弁学園(奈良)の後輩前川にイジられ笑顔。25日に誕生日を迎え、26歳初勝利。ここから逆襲する。
●富田蓮投手(22)が“緊急リリーフ”で最後を締めた。村上が完封、完投コースだったが 9回に崩れ、一死 1、 2塁で出番が来た。宇佐見真吾捕手(31)は 3ボールから持ち直して空振り三振。龍空も 2ゴロに。ホッとした表情だった。

記事をまとめてみました。

 

 

 <阪神 8- 1中日>◇12回戦◇阪神 7勝 3敗 2分◇27日◇阪神甲子園球場
 岡田彰布監督が初回から積極的に動いた。近本に代えて「1番・中堅」で起用した島田が 1回先頭で四球をもぎ取る。続く中野の初球。 1走・島田が果敢にスタート。梅津の 150キロ直球を中野がはじき返すと、打球は遊撃へ。ベースカバーに走った遊撃・龍空は逆を突かれた形となり、打球はグラブをはじいて中堅へと転々とした。島田は悠々、 3塁へ。初回からエンドランを仕掛け、無死 1、 3塁の好機を演出した。しかし、3番・森下は空振り三振。4番・大山は痛恨の遊ゴロ併殺打に終わり、先制点を奪うことはできなかった。


  1回、三振に倒れた森下翔太外野手=阪神甲子園球場
 阪神は終盤に打線が爆発し、逃げ切った。 0- 0で迎えた 7回無死 1、 3塁で大山が左前打を放って先制。続く前川が適時2塁打、佐藤輝が2点打と3者連続適時打で突き放した。 8回には森下にも適時打、前川が2打席連続の適時打を放つなど4得点。 9日の埼玉西武戦(甲子園)以来の2桁安打、 5月16日の中日戦(バンテリンドーム)以来の8得点以上と久々に打線が目覚めた。先発の村上は 1回無死 1、 2塁のピンチをしのぐと、回を重ねるごとに安定感を増し 9回途中8安打1失点。完封こそならず、 9回一死で降板したが、プロ最多11奪三振、こちらもプロ最多の 133球の力投で 4月30日の広島戦(マツダ)以来となる今季3勝目(5敗)をマークした。(成績=34勝32敗5分け=観衆 4万2618人)岡田監督は貧打に苦しむ打線を変えるべく、近本に代えて「1番・中堅」に島田を起用。その島田が2安打3出塁と応えた。岡田監督はこれで史上20人目となる監督通算700勝に到達。チームは連敗を2で止めた。


  7回、大山悠輔内野手の先制打で盛り上がるベンチの選手ら=阪神甲子園球場
 これやんか!! 阪神は 7回に今季2度目の3者連続タイムリーが飛び出すなど、12試合ぶりの2桁安打で中日に 8― 1で快勝。 1分けを挟んだ連敗を2で止めた。岡田彰布監督は今季初めて近本光司外野手を先発から外したオーダーを組み、史上20人目となる監督通算700勝を達成した。指揮官の節目に花を添えた猛打をもっともっと見たい。


 中日に勝利し、監督通算700勝を達成した岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 これまでの鬱憤を晴らすかのように打線がつながった。久々の猛打で8得点。監督通算700勝の記念ボードを頭上に掲げた岡田監督に、歓喜のウオーターシャワーのような雨と虎党からの拍手が降り注ぐ。百戦錬磨の将がプロ野球の歴史に新たな1ページを加えた。

 プロ野球歴代監督 700勝以上達成者
 「こんなん久しぶりでしょ。(3―6番の)4人に(打点が)つくということは、4点以上取らなあかんからね」
 覇気のない打線に度々苦言を呈してきた虎将が目を細めた。 6回まで両チームゼロ行進も、 7回に打線が目覚めて4得点。 8回にも4点を加え、12試合ぶりの2桁安打となる12安打で快勝した。


 中日に勝利し、笑顔で拍手する岡田彰布監督ら=阪神甲子園球場
 ついに打線がお目覚め!? 阪神が終盤に猛攻を決め、4試合ぶりの勝利を奪取した。近本光司外野手を今季初めてスタメンから外した一戦。打線は 7回裏、4番大山悠輔内野手の先制打から3者連続適時打で一挙4得点 。8回にも4点を奪い、 5月16日の中日戦で9得点を挙げて以来の8得点を記録した。岡田彰布監督はNPV史上20人目の監督通算700勝を達成。阪神の監督通算勝利数も512勝とし、藤本定義監督が持つ球団記録の514勝まで2勝に迫った。
            ◇   ◇   ◇
 4試合ぶりの勝利が決まると、岡田監督は平田ヘッドコーチらと次々にねぎらいの握手を交わした。本拠地で到達した監督通算700勝。「ああ、全然忘れてましたけどね。長いことやってたらね、増えていくと思います」。節目を意にも介さぬ指揮官は、記念のボードを掲げると、照れくさそうに拍手を浴びた。


 中日に勝利しナインを迎える岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 主力外しの決断が野手陣の奮起を呼んだ。 0- 0のまま迎えた 7回無死 1、 3塁。4番大山が中日梅津から左前適時打を放ち、やっと先制点が生まれた。「なんとか村上のために、どんな形でもと思っていた。それがいい結果になってよかった」。チームファーストの主砲に導かれるように、3連続適時打で一挙4得点。65イニングぶりとなる1イニング複数得点をマークすると、ついに打線が爆発した。 8回にも3連続安打から4点を奪い、 5月16日中日戦で9得点して以来の8得点。岡田監督も「ほんとに久しぶりなんでね」と振り返った。


 岡田彰布監督は中日に勝利し監督通算700勝を達成しスタンドのファンにあいさつする=阪神甲子園球場
 この日のスタメンに「1番近本」の文字はなかった。「ずっと悪かったからや。まあいい機会やったからな。今日 1日休ませようかなと思って」。前夜6打数無安打に終わるなど不調の近本を、昨年 9月30日広島戦以来のベンチスタートに決めた。代わって1番に入った島田は2安打1四球と貢献。機を見る目に狂いはなかった。
 大山の好調も、ずっと感じ取っていた。「フリーバッティング見ても、良くなってるいうの分かるやんか、はっきり」。試合前練習では、すみずみまで目を凝らす。いつも手にしているノックバットも大事な相棒。グラウンドをコツンコツンとつつきながら、コンディションを把握する。強く固められた土はイレギュラーするのでは? 前夜の雨を含めば、いつもとは違うはね方をするかもしれない。積み重ねてきた感覚が勝利への布石となる。


 ヒーローインタビュー後、笑顔で記念撮影する、左から前川右京外野手、村上頌樹投手、佐藤輝明内野手=阪神甲子園球場
 久しぶりの猛打での快勝にも、岡田監督はすぐに勝負師の目つきを取り戻した。「そんなん今日 1日で終わったら一緒やからな、おーん。もう今日勝ったことは終わってるんやから」。次戦はシーズン折り返し地点の72試合目。ここからも平然と勝利を積み重ねていくだけだ。
▼監督通算700勝=岡田彰布監督(阪神)
 27日の中日12回戦(甲子園)で今季34勝目を挙げて達成。プロ野球20人目。初勝利は04年 4月 2日の巨人 1回戦(東京ドーム)。勝利数の内訳は阪神で512勝、オリックスで188勝。

 


 スタメンから外れた近本光司外野手=阪神甲子園球場
 岡田彰布監督がまた主力外しの断を下した。近本光司外野手が今季初めてスタメンを外れた。
 ベンチスタートは昨年 9月30日の広島戦以来。もし欠場となれば同24日中日戦以来。
 不動の1番打者として今年もスタート。6本塁打を放つなど勝負強い打撃が光ったが、主軸の不振や離脱が相次ぎ、3番や4番に回ることもあった。


 スタメンから外れた近本光司外野手=阪神甲子園球場
  6月15日に本来の1番に戻ったが、 7試合でわずか3安打と逆にどん底に。前日26日の中日戦は6打数無安打。延長12回でわずか 1得点と苦しんだ打線に貢献できなかった。打率は2割5分2厘まで悪化した。
 島田海吏外野手が「1番中堅」で今季2度目のスタメン。
 先発は村上頌樹投手。雨天中止の影響もあって、開幕から務めてきた火曜日を初めて外れての登板。好投もありながら 6試合、約 2カ月も白星から遠ざかっている。気分一新で3勝目を狙う。


 守備を終えた野手陣を迎える近本光司外野手=阪神甲子園球場

 今季フルイニング出場を続けていた近本光司外野手がスタメンを外れ、そのまま欠場した。4番も務めた 6月は月間打率0.167(78打数13安打)と低調だった。昨年 9月24日の中日戦(バンテリンドーム)以来となる欠場で、試合後は「チームが勝ったのがうれしかった」と口にした。自身については「次出たときにしっかり準備したところを出すだけだと思うので」と語った。

 近本光司外野手は 3回表の投球を終えた村上頌樹投手をベンチ前で出迎える=阪神甲子園球場
 岡田彰布監督が近本光司外野手を今年初めてスタメンから外した理由を語った。
 「いや、ずっと悪かったからや。まあいい機会やったからな」と試合後に明かした。
 「昨日もあまり内容良くなかったから、 1日休ませようかなと思って。(代わりの)島田がいい仕事をしましたね。1、2番に走ったりというのが出てくると、つながりというのが出てくると思いますよ」と代役で2安打した島田海吏外野手を称賛した。


  2回表の守備を終えたナインを出迎える近本光司外野手=阪神甲子園球場
 28日の東京ヤクルト戦(神宮)以降については「そんなん分からへんよ。これで外したら島田怒りよるやろ。そんなん当たり前やろ。だってこれはお前、みんなプロなんやからさ。試合出てなんぼなわけやで。そこをおびやかそうと思って、みんな練習してるわけやからさ。そんな簡単にな」と、島田のスタメン続行の可能性についても触れた。

 中日に勝利しナインを出迎える近本光司外野手ら=阪神甲子園球場
 近本のベンチスタートは昨年 9月30日の広島戦以来。欠場は同24日中日戦以来。今季も不動の1番打者としてスタート。6本塁打を放つなど勝負強い打撃が光ったが、主軸の不振や離脱が相次ぎ、3番や4番に回ることもあった。今月15日に本来の1番に戻ったが、 7試合でわずか3安打と逆にどん底に陥り、前日26日の中日戦は6打数無安打。打率は2割5分2厘まで悪化していた。

 


  3回裏阪神二死、島田海吏外野手は内野安打を放った。投手は梅津晃大投手=阪神甲子園球場
 近本に代わって「1番・中堅」に入った島田海吏外野手が躍動した。 1回に四球で出塁し、 3回に 2塁内野安打、 8回に中前打で計 3出塁。「駄目ならファームやと思って、思い切ってやりました」と気迫を示した。 5月31日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、約 1カ月ぶりのスタメン。「いつチャンスがもらえるかわからない中で、すごく準備ができていた。引き続き準備面でも怠らずに、しっかりやりたい」と気を引き締めた。
 岡田監督は28日の東京ヤクルト戦(神宮)以降のスタメンについて「これで外したら島田怒りよるやろ。そんなん当たり前やろ。みんなプロなんやからさ、試合出てナンボなわけやで」と継続を示唆した。


  8回、安打を放った島田海吏外野手=阪神甲子園球場
 近本に代わる「1番中堅」で先発した、島田海吏外野手が輝いた。
 初回は 2ストライクからボールを見極めて四球。3回は内野安打。8回には猛攻の口火を切る中前打で役割を果たした。1軍昇格後も出番は少なく、2軍戦との“親子ゲーム”を何度もこなして状態を維持した。「ダメならファームと思って、思い切ってやりました。必死に食らいついて結果的に勝利につながったのはうれしい」と笑顔だった。

 


  7回、 2塁打を放った中野拓夢内野手=阪神甲子園球場
 中野拓夢内野手が誕生日前夜に3安打をマークした。
 初回無死 1塁ではランエンドヒットで初球を振り抜き、中前打で 1、 3塁に好機を拡大。 7回は先頭で左中間 2塁打を決め、この回一挙4得点を呼び込んだ。 8回は無死 1塁から右前打を放ち、再び一挙4得点をお膳立て。「昨日は『1、2番が出ない』と(指揮官に)言われてしまったので。今日はチャンスメークができて良かった」。4試合連続安打となり「いい状態をキープできるように」と言葉に力を込めた。


  7回裏阪神無死 2塁、森下翔太外野手の投手野選で 3塁へ進塁した中野拓夢内野手=阪神甲子園球場
 中野拓夢内野手は 5日の東北楽天戦(甲子園)以来、今季5度目の猛打賞で勝利に貢献した。「逆方向に(安打が)出ていますし、(調子が)徐々に上がっていきそうな感覚はある」。 0- 0の 7回先頭で左中間への 2塁打を放って口火を切ると、この回一挙4得点。 1、 8回にも安打で好機を演出し「1、2番の出塁が得点の鍵になると思う。 2人でチャンスメークして、チームにいい勢いを与えられるように」と意気込んだ。

 

 気迫の〝暴走〟も、前夜の〝サインミス〟も、 1回の凡打も、まとめて帳消しにした。猛虎打線復活の中心にこの男たちがいる。打って、打って、打った3者連続タイムリー。最後を締めた佐藤輝明内野手が胸を張った。
 「つないでもらった好機だったので『絶対打ってランナーをかえすぞ』という気持ちでいきました!」
 大山、前川の連続タイムリーで 2- 0として迎えた 7回無死 2、 3塁の好機。左腕・齋藤の 140キロ直球を逆らわずはじき返した。「 3遊間空いていたので狙い通りでした」。左前に運ぶ2点打は汚名返上の一打でもあった。
  5回一死の第 2打席。左前打に迷わず 2進した。アウトのタイミングだったが、身をよじりながらのヘッドスライディングで右手を懸命に伸ばした。サトテルのアピールに、岡田監督は苦笑いしながらリプレー検証を要求も判定は変わらなかった。「アウトになっちゃったので次はもっといい判断ができるようにしたい」。一度は空回りしてしまった勝利への執念を今度はバットに乗せた。


  7回、2点打を放った佐藤輝明内野手=阪神甲子園球場
 ミスを取り返したのは佐藤輝だけではない。 7回に先制打を放った大山は、 1回一死 1、 3塁の好機で痛恨の遊ゴロ併殺に終わっていた。
 「初回に最低限やっていたらもっと違う展開になったと思います。そこの反省しかないです」
 大山に続いた前川だってそうだ。前夜26日の一戦で 9回一死 1塁で 2塁打を放ったが、待球を指示していた岡田監督からは〝罰金ジョーク〟も飛び出した。この日、お立ち台に上がった前川は 7回の舞台裏を明かす。
 「監督に『引っ張ってこい』と言われたので引っ張れてよかった。指示通りいけました!」
 それぞれの思いが生み出した大山、前川、佐藤輝の3者連続適時打。チームとして3者連続タイムリーは 4月20日の中日戦(甲子園)以来で、このときも 7回にこの 3人が放っている。やはり、打つべき選手が打てば、猛虎打線は目覚める。中軸を代表し、佐藤輝が誓った。


 リリーフカーで場内1周しファンに手を振る佐藤輝明内野手=阪神甲子園球場
 「きょうみたいにしっかり打って勝ちたい。もっと中軸でかえして、勝ちたいと思います」
 これまでの貧打は終わり。ここからは取れなかった点も、白星もどんどん重ねていく。猛虎打線、逆襲ののろしが上がった。

★前川右京は兄にも勝利をプレゼント
 2安打3打点と躍動した前川には、もう一つ期する思いがあった。27日は兄・夏輝さんの23歳の誕生日。大山から譲ってもらったというお立ち台では「兄ちゃん、おめでとー」と祝福し、球場の虎党を笑顔にした。

■データBOX
◉…阪神は12安打を放ち、 9日の埼玉西武戦(甲子園)以来12試合ぶりの2桁安打。今季14度目
◉…8得点は 5月16日の中日戦(○ 9― 4、バンテリンドーム)以来。今季最多は 4月20日の中日戦(甲子園)での15得点

 


  8回、適時2塁打を放った森下翔太外野手=阪神甲子園球場
 阪神の3番森下翔太外野手も乗り遅れなかった。
 3打席無安打で迎えた 8回無死 1、 2塁、あと少しで本塁打の左越え2塁打。「大量得点はできたけど、序盤でもっと点を取れれば楽な展開でいけたと思う」。初回無死 1、 3塁。転がせば 1点という場面で空振り三振に倒れた反省も忘れなかった。打撃は上昇中のようで「あまり欲は出さずにやっていきたいです」と気を引き締めた。


 8回裏阪神無死 1、 2塁、森下翔太外野手は左適時2塁打を放った=阪神甲子園球場
 森下翔太外野手が 2週間ぶりの適時打を放った。 4― 0の 8回無死 1、 2塁で、もう少しでスタンドインという左翼フェンス直撃の適時2塁打。 5点目を加えた。「それまでの反省を生かしながら打席に立ちました。芯だったんですけど、ちょっとドライブ気味になってしまった」。岡田監督の指導もあり打撃練習に変化を加える中、13日のオリックス戦(京セラ)以来の適時打で勝利に貢献した。

 


 8回裏阪神無死満塁、前川右京外野手は適時2点 2塁打を放った。投手は田島慎二投手=阪神甲子園球場
  1イニング複数得点を呼ぶ男だ。前川右京外野手が長打2本で3打点と暴れた。 0- 0で迎えた 7回。大山の左前適時打で先制し、なおも無死 1、 2塁。代わった2番手左腕、中日齋藤の 139キロ高めの直球を振り抜き、右翼線へ適時2塁打。満員の虎党の大歓声に包まれながら塁上で大きく手をたたき、喜びを爆発させた。
 「スライダー1本で待っていて、真っすぐが来たので反応で打った感じです。あの打席は良かった」


  8回裏阪神無死満塁、中越え2点適時 2塁打を放った前川右京外野手=阪神甲子園球場
 岡田監督の助言が効いた。打席に入る前にベンチで「引っ張ってこい」と指示された。指揮官のアドバイスを見事に体現し、この回4得点に貢献した。 1イニング複数得点は 6月16日福岡ソフトバンク戦の 1回以来、65イニングぶり。自身がプロ初の満塁弾を放ったイニング以来のビッグイニングを呼び込んだ。

 リリーフカーで場内1周しファンに手を振る前川右京外野手=阪神甲子園球場
 お立ち台では兄夏輝さんの23歳の誕生日を祝った。試合前にメッセージを送ったが、バックネット裏で観戦していた兄へ、お立ち台から直接「おめでとう」と祝福。尊敬する兄へ最高のプレゼントを送った。
  8回にも中越えの2点適時 2塁打。「頌樹さんが点取られるかなと思ったので、もうちょっと(点を)取りたいと思いました」。お立ち台で共演した智弁学園の先輩、村上を笑顔でいじった。若き5番打者が打線を勢いづけている。

 


 阪神先発の村上頌樹投手=阪神甲子園球場
 未勝利トンネルの出口は、雨降る甲子園にあった。村上頌樹投手が8回 1/3を8安打1失点。 2カ月ぶりの勝利は自身への最高のプレゼントになった。
 「なかなか勝てなかったので、ファンのみなさんやチームに迷惑をかけていた。やっと勝ててよかったなと思いました」
  1回は先頭からの連打で無死 1、 2塁を背負ったが、クリーンアップを斬ってゼロ発進。その後はカーブでカウントを取りながら直球やフォークを交え、竜打線に立ちはだかった。 9回先頭で板山のバットの空を切らせ、毎回で奪った三振は自己最多の11個に到達。ここから3連打で 1点を返されて完封&完投は逃したが、 4月30日の広島戦(マツダ)以来となる3勝目を手にした。


  1回表中日一死 1、 2塁、村上頌樹投手は細川成也外野手を空振り三振に仕留める=阪神甲子園球場
 村上頌樹投手に笑顔はない。約 2カ月ぶりの3勝目。それでもお立ち台では完封を逃した悔しさをにじませた。
 「ちょっとヒーローに呼ばれているのが恥ずかしいです」
  9回一死から細川、石川昂、福永に3連打を許し、 1点を失ったところで降板。8得点に守られ、完封を期待されて送り出された最終回だっただけに、表情がくもった。 8回 1/3を8安打1失点で、毎回となる11奪三振は自己最多。こちらも自己最多となる 133球の熱投にも「ほんとに悔しい登板になりました」。昨季のリーグMVP右腕は納得できなかった。


  9回途中1失点で3勝目を挙げた村上頌樹投手=阪神甲子園球場
 高みを目指しているから、そう思える。昨年の日本シリーズの第6戦で、当時オリックスの山本由伸(現ドジャース)に投げ負けた。オフの表彰式では隣同士になることもあった。圧倒的なオーラに「MVPにはなれたけど、僕なんてまだまだ…」と痛感。すでに8勝の才木に週頭火曜日のマウンドを譲ったが「まだまだ巻き返せる」と前を向く。木曜日の先発で 4月30日広島戦以来、自身7試合ぶりの白星をつかんだ。
 勝てなかった約 2カ月間、岡田監督の言葉が励みになった。負けが込んでも、投手コーチを通じて「そこまで悪いと思ってないから。また投げさせる」と背中を押してもらえた。「自信を持てました。結果で返していけるようにしないと」。そう胸に刻んだ。岡田監督のもとで才能を開花させた男が、監督通算700勝をプレゼントしてみせた。


  9回表中日一死 1、 2塁、村上頌樹投手は福永裕基内野手に左前適時打を浴び降板となる=阪神甲子園球場
 指揮官からは「去年の良い時に戻ってるよ、はっきり言うて。今日の0-0は全然心配してなかった」とたたえられた。お立ち台では智弁学園(奈良)の後輩前川に「頌樹さんが点を取られるかなと思ったので、もうちょっと取りたいと思いました」とイジられ笑顔。先輩は「打ってくれればなんでもいいです」と寛大だ。25日に誕生日を迎え、26歳初勝利。ここから逆襲する。
▼阪神村上はプロ入り初の毎回奪三振をマークした。阪神投手の毎回奪三振は15年5月20日巨人戦の藤浪晋太郎以来で8人目(12度目)。このうち完投せずに記録したのは、81年6月8日巨人戦の江本孟紀(8回1/3)以来43年ぶりになる。また、村上の11奪三振は自己最多。これまでの1試合最多は23年4月22日中日戦(バンテリンドーム)、24年4月16日巨人戦(甲子園)での10奪三振だった。さらに、球数も24年5月14日中日戦(豊橋)での130球を上回り、自己最多の133球を投じた。
▽安藤優也投手コーチ (村上に)
 「これまでの投球と比べても今日は全部が良かった。最後は少しバテましたね。130超えて」

 


  9回途中に登板し、試合を締めた富田蓮投手=阪神甲子園球場
 富田蓮投手が“緊急リリーフ”で最後を締めた。
 村上が完封、完投コースだったが 9回に崩れ、一死 1、 2塁で出番が来た。宇佐見は 3ボールから持ち直して空振り三振。龍空も 2ゴロに。「あの場面で来るのは言われていたので、しっかり準備できていました。今年、雨の中で投げるのが初めてだったけどしっかり抑えられてよかったです」とホッとした表情だった。


 力投する阪神2番手の富田蓮投手=阪神甲子園球場
  8- 1の 9回一死 1、 2塁からマウンドに上がった富田蓮投手は打者 2人をピシャリと抑えてゲームを締めた。「あそこの場面で(出番が)くると言われていたので、しっかりと準備をしていった」。先発の村上が 9回に 1点を奪われた場面で登板。宇佐見を空振り三振、龍空の打球は投手強襲となったが、中野がさばいて無失点に切り抜けた。患部については「大丈夫です」と話して引き揚げた。

 

※ 6月28日の予告先発は、東京ヤクルト・吉村貢司郎投手(26)―阪神・西勇輝投手(33)です。どちらに軍配が上がるか、楽しみですね。

 

 2024年シーズンのチームスローガン『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』

 リーグ優勝と日本一に輝き、王者として迎える2024年。
しかし王者といえど、野球に王道という道はない。ただ確かなことは、歩みを止めてはいけないということ。
 2024年も、阪神タイガースは挑戦をやめない。チャレンジャーとして、アレに向かって挑み続ける。
 そんな挑み続ける阪神タイガースの姿勢をスローガンにしたのが『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』です。

 

 

2024年 オープン戦順位表

 

2024年 公式戦順位表

 

2024年 交流戦最終順位表

 

2024年 公式戦日程表と結果(05月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(06月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(07月)

 

 

 

 

 

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