●阪神は4カード連続の勝ち越しで今季最多を更新する貯金7。最速でのセ・リーグ通算1万試合目を白星で飾った。この日もチャンスで一本がなかなか出ない中、岡田彰布監督(66)が必死にタクトを振るい、2試合連続の同スコアで勝利をもぎ取った。今季の虎は我慢強いで~!絶体絶命のピンチをしのぎ、9999回の歓喜と悔しさを積み上げてきた虎の歴史に、新たな1勝が加わった。岡田監督が両軍の間を行き来する流れを読み切った。ギリギリの勝負を制するためにベンチの戦力を操り続け、最速でセ・リーグ通算1万試合に到達したメモリアルな一戦を白星で飾った。経験豊富な虎将は報道陣から節目の試合と聞かされ、白い歯をこぼした。何度もチャンスをつぶし、投手陣の力投に救われたような一戦だったが、巧みなベンチワークで新井カープに最後まで主導権は渡さなかった。阪神は連夜の 1点差ゲームを制し、 4カード連続となるカード勝ち越しを決めた。 1回、中野拓夢内野手(27)が右前打で出塁し、今季 4つ目となる盗塁を決める。二死となって4番・大山悠輔内野手(29)が詰まりながらも右前にポトリと落とす適時打で、 2試合連続の先制打を放った。 7回には相手のミスからチャンスを広げて森下翔太内野手(23)の中犠飛で追加点を挙げた。投げては先発の西勇輝投手(33)が 6回無失点の好投で2連勝。わずか 3安打に抑え、自身NPB120勝を収めた。石井大智投手(26)、桐敷拓馬投手(24)とつなぎ、 9回はハビー・ゲラ投手(28)が締めて7セーブ目。 9回は一死 1、 3塁のピンチも中野が 1、 2塁間の打球を華麗にさばいて併殺とし、守り切った。 1点差勝利はこれで今季13勝目。記念すべき阪神のセ・リーグ1万試合目を勝利で飾り、貯金は今季最多の「7」とした。
●首位阪神が 1点差の薄氷勝利で、セ・リーグ通算1万試合目を白星で飾った。2連勝で4カード連続のカード勝ち越し。2位広島との直接対決を制し、ゲーム差は2.5に開いた。阪神は初回に先制に成功。二死 2塁で4番大山悠輔内野手が広島ハッチのツーシームを捉え、右翼へ先制適時打を放った。そして 1点リードのまま迎えた 7回、岡田彰布監督は先発西勇輝投手に代わり代打前川右京外野手(21)を送ったが、広島は左腕の塹江を投入。ここで岡田監督は「代打の代打」ヨハン・ミエセス外野手(28)を送った。ミエセスが四球で出塁すると、代走に植田海内野手(27)。続く近本は 3ゴロ併殺崩れとなったが、一死 1塁から中野が 1塁前方へ内野安打を放った。すると捕球した1塁手の坂倉が、誰もカバーに入っていない1塁へ悪送球。敵失で好機が一死 2、 3塁と広がり、森下の中犠飛で大きな1点を追加した。
●先発した西勇輝投手が6回無失点で降板した。抜群のテンポでコーナーに集めて 3回までは一人も走者を許さない。 4回一死から連打を浴びて走者を背負ったが、二死 1、 2塁から迎えた坂倉将吾捕手(25)は、右翼・森下の好プレーもあり右飛に抑える。 5回も二死 1、 2塁となるも秋山翔吾外野手(35)を 2ゴロに仕留め、 6回も得点を与えず。 7回先頭の打席が送られて降板となった。 6回96球で被安打はわずかに 3本。NPB通算120勝の権利を持ってマウンドを降りた。バックも頼もしく、 4回は連打で背負った二死 1、 2塁で、坂倉が放った右翼フェンス際への鋭い打球を森下が背走キャッチ。 5回二死 1、 2塁では、 1、 2塁間を襲った秋山のゴロを懸命にグラブを差し出してさばいた中野の好守に助けられ、 1回の 1点をみんなと一緒に守り抜いた。 3塁を踏ませず、先発の仕事を全うし、2勝目が届いた。これで5試合連続クオリティースタート(先発で6回以上、自責3以内)達成。規定投球回には4回 2/3が足りないが、防御率は〝セ・リーグ隠れ2位〟の1.34と安定感は証明済みだ。
33歳ながら昨季からチーム最年長。そういった見られ方も少しずつ受け入れるようになってきた。ただ、年齢的な〝立場〟は受け入れたとて、投球スタイルや価値観はいままで通り。接しやすい〝兄貴分〟のような、身近な存在として今年も輪に加わり、かわいい後輩たちとともに連覇に向けて戦っていく。勝利数よりも、自分で左右できるイニング数にこだわる。ただ、チームを勝たせて手にできる勲章が増えることは、うれしいことにちがいない。
●連投となった桐敷は、左打者が並ぶ上位打線に対して 2― 0の 8回一死から登板。秋山からは見逃し三振を奪うも、野間峻祥外野手(31)に左前打。菊池涼介内野手(34)にも左前打を浴びると、シェルドン・ノイジー外野手(29)の後逸が重なって 1点を失った(自責は0)。それでも、その後の二死 1、 2塁では中野の美技も生まれて坂倉を 2飛に。同点を許さず連夜の 1点差勝利に貢献した。
●ハビー・ゲラ投手(28=前レイズ)が冷や汗ものの7セーブ目だ。 1点リードの 9回に登板。だが連打を食らって一死 1、 3塁と絶体絶命のピンチ。ここで代打松山竜平内野手(38)を詰まらせ、 2塁中野の好守で2-遊-1の併殺でゲームを終わらせた。自身の2敗はともに広島戦だった。
●前夜のヒーロー、大山が2試合連続の先制&決勝打を放ったが、 2打席目以降、 4度の得点圏で凡退。チームは4カード連続となる勝ち越しを決めたが、試合後の4番に笑顔はなかった。 1回一死から中野が右前に運び、すかざず 2盗に成功。森下は空振り三振に倒れたが、二死 2塁で大山は広島の先発・トーマス・ハッチ投手(29)の 149キロツーシームを詰まりながらもパワーで右前へ。このあとが4番としていただけない。 1点差に迫られた 9回だ。一死満塁で森下が空振り三振に倒れ、敵地の虎党が祈る思いで背番号3を見つめていた打席だったが…。フルカウントからの8球目。ケムナ誠投手(28)の 148キロ直球にタイミングがあわず、ボテボテの遊ゴロ。 1塁への全力疾走も及ばす、悔しそうに天を仰いだ。再三のチャンスでタイムリーを打てなかった4番は、マウンドで奮闘した投手陣にわびを入れた。ただ、前日は球団最速タイとなる 8年目で通算500打点を記録するなど、これで自身が打点を挙げればチームは11勝2敗1分け。打線のキーマンであることは間違いない。
●森下翔太外野手(23)の好プレーで得点を許さなかった。 1- 0の 4回、 3回までパーフェクトに抑えていた西勇が一死から野間、菊池に連打を浴び、 1、 2塁のピンチを背負う。小園海斗内野手(23)を中飛に抑えて 2アウトとし、打席には坂倉。 2球目を強振すると、鋭い白球は右翼の頭上を襲った。上がった瞬間はあわや逆転弾かという打球だったが、右翼・森下がダッシュで後退。最後はジャンプをしてつかみ取り、体をフェンスにぶつけながらもグラブに収めた。抜ければ逆転という一打を防ぎ、西勇を救った。森下翔太外野手が攻守で勝利に貢献した。フェンスギリギリでの好捕に、マウンド上の西勇も笑顔でねぎらった。バットでは 1- 0のまま迎えた 7回一死 2、 3塁、フォークを捉えて中犠飛。 3塁走者の近本を悠々とホームにかえした。少ない好機をしっかり生かした。
●中野拓夢内野手が自慢の快足で追加点をアシストした。 1- 0で迎えた 3回。先頭の近本が四球で出塁すると、中野が初球をセーフティーバント。 3塁線へ転がした打球に快足を飛ばして 1塁を駆け抜けた。きわどいプレーに判定はアウト。それでも、岡田監督がリプレー検証を要求し、判定覆って内野安打となった。中野は続く森下の中飛で迷わず 2塁へタッチアップする好走塁。一死 2、 3塁と好機を演出し、大山の犠飛で 2- 0とリードを広げた。阪神は中野拓夢内野手のスーパープレーで窮地を脱した。 2- 0でリードして迎えた 8回。先頭の代打・二俣翔一外野手(21)を石井が見逃し三振に抑え、左打者が並ぶ上位打線で桐敷にスイッチ。秋山を見逃し三振に斬ったが、二死からだった。野間に追い込みながら 3塁後方に落ちるヒットで出塁されると、菊池にも左前打を浴びる。この打球を処理しようとした左翼・ノイジーが、バウンドが合わずに後逸。 1塁走者は一気に生還して 1点差となり、打者走者も 2塁に進まれた。小園は申告敬遠で歩かせて一打同点のピンチ。坂倉が打った当たりは 2塁後ろへ上がった。 2塁・中野は背走し、ジャンプ一番。落ちれば確実に同点という打球をつかみ取った。昨季ゴールデングラブ賞にも輝いた名手が、土壇場でチームを救った。 1点差の 9回一死 1、 3塁でも 2ゴロ併殺を完璧にさばいた。 9回の守備は自身も納得のプレー。胸を張った。
●近本光司外野手が今季初の3安打でチャンスメーク役を全うした。 3回の左中間 2塁打にはじまり、 5回に左前、 9回に右前へと打ち分けた。得点にはつながらなかったが1番に復帰後 4試合で8安打。打率2割8分8厘まで上げてきた。近本光司外野手が 9回の第 5打席で右前打を放ち、今季初の3安打猛打賞をマークした。 1点差に迫られた 9回一死 2塁の好機。ケムナの 118キロカーブを振り抜いた。鋭い打球は 1、 2塁間を破って右前へ。近本は 3回に 2塁打、 5回には左前打を放ち、45試合目で今季初の猛打賞と固め打ちだ。打率はリーグ5位の0.288まで上昇。守備でも 3回にスライディングキャッチを見せるなど、頼れるリードオフマンが攻守で猛虎を引っ張る。
●及川雅貴投手(23)が24日巨人戦で甲子園でのプロ初先発に挑む。昨年チームがリーグ優勝を決めた翌日の 9月15日広島戦(マツダスタジアム)以来、プロ2度目の先発。初となるホームの先発マウンドには心待ちにしていた。

記事をまとめてみました。

 

 

 <広島 1- 2阪神>◇10回戦◇阪神 4勝 5敗 1分◇23日◇MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(略称=マツダスタジアム)
 阪神は4カード連続の勝ち越しで今季最多を更新する貯金7。最速でのセ・リーグ通算1万試合目を白星で飾った。この日もチャンスで一本がなかなか出ない中、岡田彰布監督(66)が必死にタクトを振るい、2試合連続の同スコアで勝利をもぎ取った。今季の虎は我慢強いで~!
 絶体絶命のピンチをしのぎ、9999回の歓喜と悔しさを積み上げてきた虎の歴史に、新たな1勝が加わった。岡田監督が両軍の間を行き来する流れを読み切った。ギリギリの勝負を制するためにベンチの戦力を操り続け、最速でセ・リーグ通算1万試合に到達したメモリアルな一戦を白星で飾った。
 「あーそう、そんなん知らんわ。いつも後から聞くだけやで」


 広島に勝利した西勇輝投手は岡田彰布監督と笑顔でハイタッチ=マツダスタジアム
 経験豊富な虎将は報道陣から節目の試合と聞かされ、白い歯をこぼした。何度もチャンスをつぶし、投手陣の力投に救われたような一戦だったが、巧みなベンチワークで新井カープに最後まで主導権は渡さなかった。
  2- 1の 9回、4番手のゲラが一死から連打を許し、 1、 3塁とされた。打席には代打・松山。長打もあるが、うまくいけば一気に 2つのアウトが取れる-。岡田監督は内野の前進守備を選択しなかった。「まあ、松山やったからな。ゲッツー態勢、あれや。外野フライで同点はしゃあない。同点まではオッケーと思ってたからな」。結果は最高の 2ゴロ併殺。この瞬間、今季 4度目の挑戦で初となる虎の貯金7が決まった。
 攻撃では必死に 1点を奪いにいった。 1- 0の 7回、左腕・塹江に対して代打の代打でミエセスを送り出して四球をもぎ取ると、一死 1塁からエンドランを仕掛け、中野の 1塁側への打球を処理した坂倉の悪送球も誘って 2、 3塁とチャンスを拡大。スイッチした右腕の矢崎のフォークを森下が外野までかっ飛ばし、貴重な中犠飛につなげた。


 試合後、選手たちを迎える岡田彰布監督=マツダスタジアム
 指揮官は僅差の試合を制するためのベンチワークに「エンドランでもかまさんとなかなかな。(広島の中継ぎは)左ええからな。左打者はしんどいよな。なんとかバット当ててくれと思ったけど。それでうまいことな、 2塁進めとったらピッチャー代わると思っとったからな」と、してやったりだ。
 選手も裏方もチームを支える大事な戦力だからこそ、きめ細やかな気配りを欠かさない。 5月中旬の横浜遠征中には、トレーナー陣とともに市内で会食。前回、阪神を率いたときと同様にチーム一丸の重みを知るからこそのチームマネジメントだ。現役時代は阪神のセ・リーグ通算4000試合、5000試合にも出場した岡田監督。虎の指揮官として502勝目を挙げ、1位の藤本定義監督の514勝まであと12勝。節目の一戦で4カード連続勝ち越しを決めたのも、タテジマと強く結ばれた宿命なのかもしれない。
 「もうちょっと楽になあ、やっぱりのう。ゲームせんと、 1点差ばっかりやんか」
 2位広島とはゲーム差を2.5に広げ、24日からは甲子園で3位巨人との 3連戦に臨む。1万1試合目も、その先も、岡田虎は勝ち続ける。


 大山悠輔内野手を迎えるハビー・ゲラ投手=マツダスタジアム
 阪神は連夜の 1点差ゲームを制し、 4カード連続となるカード勝ち越しを決めた。
  1回、中野拓夢内野手が右前打で出塁し、今季 4つ目となる盗塁を決める。二死となって4番・大山悠輔内野手が詰まりながらも右前にポトリと落とす適時打で、 2試合連続の先制打を放った。 7回には相手のミスからチャンスを広げて森下翔太内野手の中犠飛で追加点を挙げた。
 投げては先発の西勇輝投手が 6回無失点の好投で2連勝。わずか 3安打に抑え、自身NPB120勝を収めた。石井大智投手、桐敷拓馬投手とつなぎ、 9回はハビー・ゲラ投手が締めて7セーブ目。 9回は一死 1、 3塁のピンチも中野が 1、 2塁間の打球を華麗にさばいて併殺とし、守り切った。 1点差勝利はこれで今季13勝目。記念すべき阪神のセ・リーグ1万試合目を勝利で飾り、貯金は今季最多の「7」とした。


 打撃練習に臨む森下翔太外野手=マツダスタジアム
 阪神が大きな追加点を挙げた。 7回、先頭の西勇に代わって代打・前川がコールされると、広島は左腕の塹江をマウンドへ。岡田監督はすかさず代打の代打・ミエセスを打席に送った。そのミエセスが四球で出塁すると、代走・植田が送られる。近本は 3ゴロで走者が入れ替わって一死 1塁。中野の打席でカウント 2- 1として 4球目、 1走・近本がスタートを切った。中野はしぶとく食らいついて、打球は投手と一塁手の間に転がるボテボテのゴロ。捕球した 1塁・坂倉だが、ベースカバーのいない 1塁へボールを投げてしまい、結果、阪神は一死 2、 3塁の好機を作った(記録は中野の内野安打と 1塁手の失策)。森下が代わった投手の矢崎から中犠飛を放って待望の2点目をたたき出した。

 


  6回裏を終えベンチへ引き揚げる西勇輝投手に笑顔で声を掛ける岡田彰布監督=マツダスタジアム
 首位阪神が 1点差の薄氷勝利で、セ・リーグ通算1万試合目を白星で飾った。2連勝で4カード連続のカード勝ち越し。2位広島との直接対決を制し、ゲーム差は2.5に開いた。
 阪神は初回に先制に成功。二死 2塁で4番大山悠輔内野手が広島ハッチのツーシームを捉え、右翼へ先制適時打を放った。
 そして 1点リードのまま迎えた 7回、岡田彰布監督は先発西勇輝投手に代わり代打前川右京外野手を送ったが、広島は左腕の塹江を投入。ここで岡田監督は「代打の代打」ヨハン・ミエセス外野手を送った。


  7回表阪神一死 2、 3塁、中犠飛を放った森下翔太外野手は笑顔でナインとハイタッチ。右は生還した森下翔太外野手=マツダスタジアム
 ミエセスが四球で出塁すると、代走に植田。続く近本は 3ゴロ併殺崩れとなったが、一死 1塁から中野が 1塁前方へ内野安打を放った。すると捕球した1塁手の坂倉が、誰もカバーに入っていない1塁へ悪送球。敵失で好機が一死 2、 3塁と広がり、森下の中犠飛で大きな1点を追加した。
 先発の西勇は3回まで無安打に抑える好投で、6回3安打無失点で今季2勝目となった。中継ぎ陣は 7回に登板した石井が 8回先頭の二俣までを抑え、秋山を迎える場面で左腕桐敷にスイッチ。二死 1塁からノイジーの失策もからんで 1点差に迫られるも、なんとか踏ん張った。 9回は守護神ゲラがマウンドへ。一死 1、 3塁のピンチを招くも、最後は 2ゴロ併殺で白星を守り抜いた。

 


 阪神先発の西勇輝投手=マツダスタジアム
 先発した西勇輝投手が6回無失点で降板した。
 抜群のテンポでコーナーに集めて 3回までは一人も走者を許さない。 4回一死から連打を浴びて走者を背負ったが、二死 1、 2塁から迎えた坂倉は、右翼・森下の好プレーもあり右飛に抑える。 5回も二死 1、 2塁となるも秋山を 2ゴロに仕留め、 6回も得点を与えず。 7回先頭の打席が送られて降板となった。 6回96球で被安打はわずかに 3本。NPB通算120勝の権利を持ってマウンドを降りた。

◆西勇の談話 「野手のみんながいい守りをしてくれて自分も乗っていくことができました。梅野と話しながらランナーを出しても落ち着いて投げていけたと思います」


 西勇輝投手=マツダスタジアム
 ボールに力を込め、仲間の守備にも助けられ、要所を締めて勝利への道筋を切り開いた。 6回3安打無失点と好投した西勇が、広島での連勝に大貢献だ。
 「前回の登板が、ちょっと打たれてからテンポが速かったので、間を置くように意識して投げていました」
 緩急をコーナーへ正確に制球する〝らしさ〟満点の投球で、 4回一死まで完全投球。中盤はピンチも迎えるも、抑えたい欲を自制し、目の前の打者に立ち向かった。


  4回、坂倉将吾捕手の打球を好捕した森下翔太外野手に、帽子をとって感謝する西勇輝投手=マツダスタジアム
 バックも頼もしく、 4回は連打で背負った二死 1、 2塁で、坂倉が放った右翼フェンス際への鋭い打球を森下が背走キャッチ。 5回二死 1、 2塁では、 1、 2塁間を襲った秋山のゴロを懸命にグラブを差し出してさばいた中野の好守に助けられ、 1回の 1点をみんなと一緒に守り抜いた。 3塁を踏ませず、先発の仕事を全うし、2勝目が届いた。
 これで5試合連続クオリティースタート(先発で6回以上、自責3以内)達成。規定投球回には4回 2/3が足りないが、防御率は〝セ・リーグ隠れ2位〟の1.34と安定感は証明済みだ。


 ヒーローインタビューを終えた西勇輝投手はファンの歓声に応える=マツダスタジアム

 33歳ながら昨季からチーム最年長。そういった見られ方も「嫌でも年を重ねるごとに、その意識は強くなってくる」と少しずつ受け入れるようになってきた。ただ、年齢的な〝立場〟は受け入れたとて、投球スタイルや価値観はいままで通り。仲間との距離感も「年を重ねても変わらないかな。近いままだし、楽しいままだし」。接しやすい〝兄貴分〟のような、身近な存在として今年も輪に加わり、かわいい後輩たちとともに連覇に向けて戦っていく。
 キャリアは16年目に突入し、NPB通算勝利数は田中将(楽天)らを超えて120勝に到達。これもまだまだ通過点だ。


 セ・リーグ現6球団のリーグ通算試合数=マツダスタジアム
 「まだまだ勝ちたいですし、ダルさん(ダルビッシュ、パドレス)とかは200勝までいっている。年齢があまり変わらないのにそれだけ離れるって、やっぱりすごい。野球選手が終わったときに一個でも多く勝ちがついていたらいいかな」
 勝利数よりも、自分で左右できるイニング数にこだわる。ただ、チームを勝たせて手にできる勲章が増えることは、うれしいことにちがいない。

 


  8回、投球する桐敷拓馬投手=マツダスタジアム
 連投となった桐敷は、左打者が並ぶ上位打線に対して 2― 0の 8回一死から登板。秋山からは見逃し三振を奪うも、野間に左前打。菊池にも左前打を浴びると、ノイジーの後逸が重なって 1点を失った(自責は0)。それでも、その後の二死 1、 2塁では中野の美技も生まれて坂倉を 2飛に。同点を許さず連夜の 1点差勝利に貢献したが、「野間選手のところがもったいなかったので反省点。次回は修正したい」と振り返った。

 


  9回裏広島一死 1、 3塁、松山竜平内野手を併殺打に打ち取り、ガッツポーズの阪神4番手のゲラ投手=マツダスタジアム
 ハビー・ゲラ投手が冷や汗ものの7セーブ目だ。 1点リードの 9回に登板。だが連打を食らって一死 1、 3塁と絶体絶命のピンチ。ここで代打松山を詰まらせ、 2塁中野の好守で2-遊-1の併殺でゲームを終わらせた。自身の2敗はともに広島戦だった。「チームが勝ったことが一番大きい。中野選手、木浪選手の素晴らしいプレーだった。いつも彼らには助けてもらっているよ」と感謝しきりだった。
▽桐敷拓馬投手( 8回一死から登板し2安打1失点)
 「野間選手のところがもったいなかった。あそこでちゃんと切っておけば、と。反省点なので、次回に生かしたい」
▽石井大智投手( 7回から 8回先頭までイニングまたぎで1安打無失点)
 「( 5回に)左の代打が出て、 1人使い切ってってところだったので予定通り」

 

 反省の言葉しか出てこなかった。前夜のヒーロー、大山が2試合連続の先制&決勝打を放ったが、 2打席目以降、 4度の得点圏で凡退。チームは4カード連続となる勝ち越しを決めたが、試合後の4番に笑顔はなかった。
 「追加点を取れるチャンスはいっぱいあったので。それは反省しないと」
  1回一死から中野が右前に運び、すかざず 2盗に成功。森下は空振り三振に倒れたが、二死 2塁で大山は広島の先発・ハッチの 149キロツーシームを詰まりながらもパワーで右前へ。「しっかり振り切ることができた」と振り返ったが、このあとが4番としていただけない。


  1回、先制打を放った大山悠輔内野手。 2試合連続の打点を挙げたが、その後の 4打席は凡退した=マツダスタジアム
  1- 0の 3回無死満塁の好機では 1飛。続くノイジーも 3ゴロ併殺打に倒れて追加点を奪えず。大山は 5回二死 1、 2塁の打席でも浅い左飛に打ち取られると、森下の犠飛で 2点を入れた 7回、なおも二死 2塁では右飛。そして、 1点差に迫られた 9回だ。一死満塁で森下が空振り三振に倒れ、敵地の虎党が祈る思いで背番号3を見つめていた打席だったが…。フルカウントからの8球目。ケムナの 148キロ直球にタイミングがあわず、ボテボテの遊ゴロ。 1塁への全力疾走も及ばす、悔しそうに天を仰いだ。
 「粘ってもらったチームメートに感謝しかないです」
 再三のチャンスでタイムリーを打てなかった4番は、マウンドで奮闘した投手陣にわびを入れた。ただ、前日は球団最速タイとなる 8年目で通算500打点を記録するなど、これで自身が打点を挙げればチームは11勝2敗1分け。打線のキーマンであることは間違いない。

 


  4回裏広島二死 1、 2塁、森下翔太外野手は坂倉将吾捕手の右飛を好捕=マツダスタジアム
 森下翔太外野手の好プレーで得点を許さなかった。
  1- 0の 4回、 3回までパーフェクトに抑えていた西勇が一死から野間、菊池に連打を浴び、 1、 2塁のピンチを背負う。小園を中飛に抑えて 2アウトとし、打席には坂倉。 2球目を強振すると、鋭い白球は右翼の頭上を襲った。上がった瞬間はあわや逆転弾かという打球だったが、右翼・森下がダッシュで後退。最後はジャンプをしてつかみ取り、体をフェンスにぶつけながらもグラブに収めた。抜ければ逆転という一打を防ぎ、西勇を救った。


  4回、坂倉将吾捕手の打球を捕球した森下翔太外野手=マツダスタジアム
 森下は 1― 0の 7回、一死 2、 3塁から中堅へ貴重な犠飛を放った。「外野フライでも 1点取れるケースだったので、ゾーンを上げて打ちにいった」と狙い通りに今季19打点目を挙げた。守備では 4回二死 1、 2塁のピンチで坂倉の大飛球を好捕。フェンスに体をぶつけながらもつかみ取り「ボールとフェンスの両方を見ながら追えた。守備で僅差のところで貢献できたことは、これからも継続していきたい」とうなずいた。


  4回裏広島二死 1、 2塁、森下翔太外野手は坂倉将吾捕手の右飛を背走キャッチした=マツダスタジアム
 森下翔太外野手が攻守で勝利に貢献した。
 まずは 1- 0で迎えた 4回の守備だ。二死 1、 3塁、広島坂倉の右翼後方への大飛球にフェンス手前でジャンピングキャッチ。「ボールとフェンスの両方を見ながら追えたので、大丈夫でした。守備でああいうところで、僅差のところで貢献できた」。フェンスギリギリでの好捕に、マウンド上の西勇も笑顔でねぎらった。
 バットでは 1- 0のまま迎えた 7回一死 2、 3塁、フォークを捉えて中犠飛。 3塁走者の近本を悠々とホームにかえした。「大山さんに基本的に全部つなぐという意識で、ここ最近のゲームはずっとやってます」。少ない好機をしっかり生かした。

 


  3回、セーフティーバントで内野安打を決めた中野拓夢内野手=マツダスタジアム
 中野拓夢内野手が自慢の快足で追加点をアシストした。 1- 0で迎えた 3回。先頭の近本が四球で出塁すると、中野が初球をセーフティーバント。 3塁線へ転がした打球に快足を飛ばして 1塁を駆け抜けた。
 きわどいプレーに判定はアウト。それでも、岡田監督がリプレー検証を要求し、判定覆って内野安打となった。中野は続く森下の中飛で迷わず 2塁へタッチアップする好走塁。一死 2、 3塁と好機を演出し、大山の犠飛で 2- 0とリードを広げた。


  7回表阪神一死 1塁、内野安打を放った中野拓夢内野手は坂倉将吾捕手のエラーで2塁へ進塁する坂倉将吾捕手
 阪神にとっては幸運な珍プレーが起きた。
  7回一死 1塁。中野拓夢内野手が打ったボテボテの打球は 1、 2塁間へ。勢いがなかったため1塁手の坂倉将吾(25)がつかみにいった。だが、振り向きざま、誰もカバーに入っていない1塁ベースにトスしてしまい、ボールがファウルグラウンドを転々。その間に1塁走者も打者走者も進塁。一死 2、 3塁とチャンスを広げた。
 続く森下翔太外野手が中堅に犠飛を打ち上げ、ほしかった2点目を手にした。


  8回のピンチで、坂倉将吾捕手の打球を好捕する中野拓夢内野手=マツダスタジアム
 阪神は中野拓夢内野手のスーパープレーで窮地を脱した。
  2- 0でリードして迎えた 8回。先頭の代打・二俣を石井が見逃し三振に抑え、左打者が並ぶ上位打線で桐敷にスイッチ。秋山を見逃し三振に斬ったが、二死からだった。野間に追い込みながら 3塁後方に落ちるヒットで出塁されると、菊池にも左前打を浴びる。この打球を処理しようとした左翼・ノイジーが、バウンドが合わずに後逸。 1塁走者は一気に生還して 1点差となり、打者走者も 2塁に進まれた。小園は申告敬遠で歩かせて一打同点のピンチ。坂倉が打った当たりは 2塁後ろへ上がった。 2塁・中野は背走し、ジャンプ一番。落ちれば確実に同点という打球をつかみ取った。昨季ゴールデングラブ賞にも輝いた名手が、土壇場でチームを救った。


  8回のピンチで、坂倉将吾捕手の打球を好捕した中野拓夢内野手=マツダスタジアム
 中野が再三の好守でチームを救った。 2- 1で迎えた 9回一死 1、 3塁では代打・松山の打球を華麗に処理し 2ゴロ併殺を完成。「遊撃が投げやすい送球もできたので、あそこはすごく集中力を持ってできた」と胸を張った。 5回二死 1、 2塁では秋山の打球にバウンドを合わせて捕球。 1点差の 8回二死 1、 2塁では坂倉の放ったフライを背走してジャンピングキャッチ。打っては2安打1盗塁と躍動した。


  8回裏終了時、好守の中野拓夢内野手を迎える西勇輝投手=マツダスタジアム
 中野拓夢内野手が決勝点へつないだ。
  7回一死 1塁で内野安打を放つと、捕球した 1塁手の坂倉が誰もカバーに入っていない 1塁にトス。敵失から一死 2、 3塁となり、森下の中犠飛で大きな 1点が追加された。守備でも 5回二死 1、 2塁で秋山の痛烈な 1、 2塁間ゴロに追いつき、 1回転して1塁送球。 1点差に迫られた 8回二死 1、 2塁では坂倉の後方への飛球をジャンピングキャッチ。 1点差の 9回一死 1、 3塁でも 2ゴロ併殺を完璧にさばいた。
  9回の守備は「ショートが投げやすい送球もできたので、あそこはすごく集中力を持ってできた」と自身も納得のプレー。「いつも監督がおっしゃっている守りの野球というのが一番。守ればこういう接戦もものにできる試合がどんどん増えてくる」と胸を張った。

 


  3回、石原貴規捕手の打球を好捕する近本光司外野手=マツダスタジアム
 近本光司外野手が今季初の3安打でチャンスメーク役を全うした。
  3回の左中間 2塁打にはじまり、 5回に左前、 9回に右前へと打ち分けた。得点にはつながらなかったが1番に復帰後 4試合で8安打。打率2割8分8厘まで上げてきた。「自分のやりたいことができているかどうかなので、結果は別に。積極的というより、打てるボールをしっかり打ちにいっているだけ」とクールに振り返った。


  5回表阪神無死 1塁、近本光司外野手は左前打を放った=マツダスタジアム
 近本光司外野手が 9回の第 5打席で右前打を放ち、今季初の3安打猛打賞をマークした。 1点差に迫られた 9回一死 2塁の好機。ケムナの 118キロカーブを振り抜いた。鋭い打球は 1、 2塁間を破って右前へ。近本は 3回に 2塁打、 5回には左前打を放ち、45試合目で今季初の猛打賞と固め打ちだ。一死 1、 3塁とした阪神打線は中野が四球でつないで満塁。しかし森下が三振、大山が遊ゴロに倒れて無得点。 3回無死満塁では大山が 1飛、ノイジーが 3ゴロ併殺で無得点に終わったが、またも絶好機で得点を奪うことができなかった。

  9回、安打を放った近本光司外野手=マツダスタジアム
 近本は今季初の3安打。3試合連続の複数安打と好調だ。 3回は初対戦のハッチから左中間への 2塁打を放つと、 5回に左前打、 9回に右前打と打ち分けた。「自分のやりたいことができているかどうかだと思う。結果は別に」。打率はリーグ5位の0.288まで上昇。守備でも 3回にスライディングキャッチを見せるなど、頼れるリードオフマンが攻守で猛虎を引っ張る。

 


 及川雅貴投手=マツダスタジアム
 及川雅貴投手が24日巨人戦で甲子園でのプロ初先発に挑む。
 昨年チームがリーグ優勝を決めた翌日の 9月15日広島戦(マツダスタジアム)以来、プロ2度目の先発。「ずっとテーマにしているストライク先行。意識してやってるので、そこだけです」と力を込めた。初となるホームの先発マウンドには「もちろん本拠地で投げるのが一番うれしいですし、それを緊張じゃなく味方にしていけたら」と心待ちにしていた。

 

※ 5月24日の予告先発は、阪神・及川雅貴投手(22)―巨人・戸郷翔征投手(23)です。どちらに軍配が上がるか、楽しみですね。

 

 2024年シーズンのチームスローガン『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』

 リーグ優勝と日本一に輝き、王者として迎える2024年。
しかし王者といえど、野球に王道という道はない。ただ確かなことは、歩みを止めてはいけないということ。
 2024年も、阪神タイガースは挑戦をやめない。チャレンジャーとして、アレに向かって挑み続ける。
 そんな挑み続ける阪神タイガースの姿勢をスローガンにしたのが『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』です。

 

 

2024年 オープン戦順位表

 

 

2024年 公式戦順位表

 

2024年 公式戦日程表と結果(04月)

 

 

2024年 公式戦日程表と結果(05月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(06月)

 

 

 

 

 

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