●師匠に並んだ!! 岡田彰布監督(66)が、中日戦に勝利し、阪神監督として球団歴代2位の吉田義男氏に並ぶ通算484勝目をマークした。吉田氏は1985年の日本一監督。当時、岡田監督は選手会長でディフェンス重視の吉田野球をたたき込まれた一員だった。この日は〝吉田の教え〟の一つでもある「挟殺」が、試合の流れを変えるワンプレーとなった。阪神は中日に逆転勝ちで引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。大幅に打線を組み替えて臨み、クリーンアップを近本光司外野手(29)、佐藤輝明内野手(25)、大山悠輔内野手(29)で形成。大山は 2年ぶりに4番を外れた。 0― 1の 3回、 3年ぶりに8番に入った中野拓夢内野手(27)が左前打で出塁し、二死 2塁で「2番・捕手」の梅野隆太郎捕手(32)が中前に同点の適時打。 7回には二死 2塁から中野が右前に適時打を放って勝ち越した。投げては先発の才木浩人投手(25)が 7回4安打1失点と好投。序盤は直球が高めに浮く場面も見られたが、カーブやスライダーを駆使して凡打の山を築いた。 116球の力投で今季初白星をつかんだ。この1勝で岡田彰布監督は阪神での通算勝利数を484に伸ばし、吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)と並ぶ球団歴代2位の記録となった。守備練習で阪神の外野手がホームにダイレクトに送球することはない。必ず内野手がカットに入るのが岡田野球の決めごと。その手本になった人物こそが吉田氏だった。中野を 2塁にコンバートするなど動き、守備の基本を徹底した。セ 5球団との対戦が一巡して6勝8敗1分けのリーグ4位。昨季の王者が壁にぶち当たっていることは間違いない。だが、虎のベンチには百戦錬磨の指揮官がいる。基本に忠実に、時に大胆に。岡田野球でここから上昇をはかる。

●阪神は 0― 1の 2回、梅野隆太郎捕手の適時打で同点に追いついた。〝新2番〟が結果を残した。一死から、8番に入った中野が左前打で出塁し、才木の犠打、木浪の四球で二死 1、 2塁の好機。梅野は梅津の低め直球を捉え、 1、 2塁間を破る中前適時打とした。昨年 4月26日の巨人戦(甲子園)以来となる2番起用に応え、リードする才木を援護した。4連敗を阻止し言葉に実感を込めた。守っては先発才木を粘り強くリード。経験豊富な男は、簡単にはブレない。
●佐藤輝明内野手 「4番・3塁」で先発する。4番は2022年 9月 4日の巨人戦(甲子園)以来。昨季は5番と6番のみでの先発出場だった。13日の同戦では 1回に先制の 2点 2塁打を放っており、この日の活躍にも期待が懸かる。木浪聖也内野手(29=亜細亜大學OB)はルーキーイヤーの2019年 9月22日の横浜DeNA戦(甲子園)以来となる1番での出場となる。昨季全試合で「4番・1塁」だった大山悠輔内野手は5番に入った。岡田監督の指揮官復帰以降初で、大きな決断となった。佐藤輝明内野手が大山悠輔内野手に代わって2022年 9月 4日の巨人戦(甲子園)以来の4番に座った。 588日ぶりの4番出場にも平常心。4打数無安打に終わり守備では 7回にピンチを広げる送球ミスもあったが、同学年の先発・才木の粘投に救われた。休養日を挟んで迎える甲子園6連戦は、バットで上昇気流に乗せる。木浪聖也が 5年ぶりの「1番」に入り、得点へのつなぎ役を果たした。安打で出なかったが、2回二死 2塁から四球を選び、梅野の同点打を呼び込んだ。ホッとした表情だった。
● 2試合ぶりの先発で「6番・左翼」に入った前川右京外野手(20)が連敗脱出への扉をこじ開けた。 1― 1の 7回一死から、好投を続けていた梅津の初球をはじき返して右翼線 2塁打。 4日の横浜DeNA戦(京セラ)での左中間 2塁打以来となる長打を記録し、中野の右前適時打で決勝のホームイン。 2試合ぶりの出場で結果を残した。
●森下翔太外野手(23)は 2試合連続のノーヒットで、打率.157(51打数8安打)と状態が上がってこない。必死で前を向く。開幕は3番で迎えたが、昨年 6月 1日の埼玉西武戦(ベルーナ)以来プロ 2度目の7番でのスタメン出場となった。気持ちをリセットし、ホームで復活の快音を放つ。
●阪神は 1― 1の 7回、中野拓夢内野手の適時打で勝ち越した。一死から前川が右翼へ 2塁打を放つも、森下が捕邪飛に倒れて二死 2塁。ここで中野が役割を果たした。中日の先発・梅津晃大投手(27)が初球に投じた変化球を捉え、ふらふらと上がった打球は右翼手の目の前でポトリ。 2塁から前川が生還した。この日 3年ぶりに8番で出場した中野は 3回にも梅野の同点打の起点となる適時打を放っており、マルチ安打で奮起した。同点打をお膳立てしたのも背番号51だった。 1点を先制された直後の 3回。一死で迎えた第 1打席、中日梅津の 2球目スライダーを左前に運んだ。11日広島戦(甲子園)の第 3打席以来、11打席ぶりの安打はこの日のチーム初安打。反撃の口火を切った。9番才木が送り、1番木浪が四球で二死 1、 2塁。2番梅野の中前打で 2塁から全力疾走し、同点のホームを踏んだ。頼れる選手会長の 2安打 1打点で連敗がストップした。15日からは甲子園での伝統の一戦。虎の安打製造機が今度は連勝街道へとけん引する。
●阪神の先発・才木浩人投手が 2回に先制を許した。連日の「恩返し」を食らった。 2本の安打で二死 1、 2塁とされ、昨季まで阪神に在籍した山本泰寛内野手(30)が打席へ。追い込んだ後のフォークを狙い打たれ、先制の左前適時打となった。戦力外通告を受けて阪神から中日への加入となった山本は、13日の同戦でも 3安打 1打点と活躍。この日も結果を残された。先制の適時打を許した山本を 149キロの直球で空振り三振に仕留めてリベンジ。大きなガッツポーズを見せた。 7回まで 116球の熱投で4安打1失点。リードを守った。 7回 1失点で投手戦を制し、三度目の正直で今季初白星。打線が不調でなかなか勝てない阪神に、 5試合ぶりの勝利をもたらした。 7回のピンチは二死 2塁から佐藤輝の悪送球で広がったもの。直前にはようやく勝ち越しの 1点をつかんだいた。仲間のミスを消し、チームの危機も救う、迫力満点のマウンドだった。 2人の投手戦は、後輩の希望になるはずだ。ドラフト1位下村海翔投手(21=青山学院大學)がトミー・ジョン手術を受けたばかり。先輩たちがアドバイスを送る中、才木の活躍も下村の決断を後押しした。
●岡田采配は、継投でも変幻自在だ。リードした場面での「セットアッパー岩崎優投手(32)-守護神ハビー・ゲラ投手(28=前レイズ)」のつなぎが初お披露目された。両投手ともきっちりと仕事を果たし、助っ人右腕は声を弾ませた。 2- 1の 9回に登場。先頭の中田翔内野手(34)を 153キロ直球で中飛に打ち取った。その後も冷静に熱く投げていった。細川成也外野手(25)は 155キロの高め直球で、上林誠知外野手(28)はスライダーで2連続三振に仕留め、延長10回に投げた 5日の東京ヤクルト戦(神宮)以来となる来日2セーブ目をマークした。岩崎は 1点リードの 8回に登板し、見事に今季2ホールド目。岡田監督は守護神について、開幕前から語ってきた。岩崎に左の大島洋平外野手(38)や高橋周平内野手(30)を、ゲラに右の中田、細川らを斬らせる策が、ここでズバリはまった。岩崎も涼しげだ。虎ブルペンの〝2枚看板〟は、相手打線を柔軟に封じ込めていく。
●左肘と左前腕部の手術から復活を期す髙橋遥人投手(28=亜細亜大學OB)が14日、鳴尾浜のブルペンで485球を投じた。すでにシート打撃に 2度登板しており、次回登板は実戦復帰となる見込みだ。和田豊 2軍監督(61)は16日からのウエスタン・オリックス 3連戦で登板する予定であることを明かした。

記事をまとめてみました。

 

 

 <中日 1- 2阪神>◇ 3回戦◇阪神 1勝 1敗 1分◇14日◇バンテリンドームナゴヤ
 阪神は中日に逆転勝ちで引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。大幅に打線を組み替えて臨み、クリーンアップを近本、佐藤輝、大山で形成。大山は 2年ぶりに4番を外れた。 0― 1の 3回、 3年ぶりに8番に入った中野が左前打で出塁し、二死 2塁で「2番・捕手」の梅野が中前に同点の適時打。 7回には二死 2塁から中野が右前に適時打を放って勝ち越した。投げては先発の才木が 7回4安打1失点と好投。序盤は直球が高めに浮く場面も見られたが、カーブやスライダーを駆使して凡打の山を築いた。 116球の力投で今季初白星をつかんだ。この1勝で岡田監督は阪神での通算勝利数を484に伸ばし、吉田義男氏と並ぶ球団歴代2位の記録となった。


 選手交代を告げる岡田彰布監督=バンテリンドームナゴヤ
 師匠に並んだ!! 岡田彰布監督が、中日戦に勝利し、阪神監督として球団歴代2位の吉田義男氏に並ぶ通算484勝目をマークした。吉田氏は1985年の日本一監督。当時、岡田監督は選手会長でディフェンス重視の吉田野球をたたき込まれた一員だった。この日は〝吉田の教え〟の一つでもある「挟殺」が、試合の流れを変えるワンプレーとなった。
 ベンチでほくそ笑んだはずだ。 0- 0の 2回二死 1、 2塁で中日・山本が左前へ。先制点を献上し、さらにピンチ拡大となるところだったが、左翼・前川がカットの 3塁・佐藤輝に正確に送球。そして、 1塁から 3塁を狙った木下を 2、 3塁間で挟んだ。あのワンプレーこそが、岡田監督自身もたたき込まれてきたものだった。
 「 1点は仕方ない。 2点、 3点と取られることが一番アカンことやからな」


 勝利後、ナインを迎える岡田彰布監督と勝利投手の才木浩人投手。競り勝って連敗ストップだ=バンテリンドームナゴヤ
 守備練習で阪神の外野手がホームにダイレクトに送球することはない。必ず内野手がカットに入るのが岡田野球の決めごと。その手本になった人物こそが吉田氏だった。
 「現役時代に『牛若丸』と呼ばれた守備の名人。85年は、打力のイメージが強いけど、吉田さんは守備に厳しかった。俺もカットプレーで外野まで走ったり…。チーム全体に守備の意識がものすごく高かったよ」
 日本一となった85年はバース、掛布雅之、岡田の〝伝説のバックスクリーン3連発〟など強力打線のイメージが強い。「俺も含めてゴールデングラブ(当時ダイヤモンドグラブ賞)をいっぱいとったんやで」。その言葉通り、 2塁の岡田、遊撃の平田勝男(現ヘッドコーチ)、 3塁の掛布、捕手の木戸克彦(現阪神プロスカウト部長)の 4人が同時受賞した。


 阪神監督で球団歴代2位タイとなる484勝目を上げた岡田彰布監督=バンテリンドームナゴヤ
 岡田彰布監督が、全打順入れ替えで 5試合ぶりの白星をたぐり寄せた。昨年全試合で4番を務めた大山悠輔内野手を5番に下げるなど1~8番まで全打順をシャッフル。オリックス時代、第1次政権でもなかった大胆な打順変更で引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。球団の監督通算勝利数は吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)に並ぶ2位タイの484勝目となった。
          ◇     ◇     ◇
 試合前のアナウンスにバンテリンドームが騒然となった。1番ショート木浪、2番キャッチャー梅野、3番センター近本、4番サード佐藤輝…。投手を除く全打順が前日までとまるで違うオーダー。38年ぶりに日本一に輝いたオーダーを「解体」。6戦連続で 2得点以下と、苦境を抜け出せない打線の大幅組み替え。開幕15試合目に待っていた打順はサプライズとも言える並びだった。


阪神の 4月13日と14日のスタメン
 岡田監督にとってオリックス指揮官時代も含め、スタメンの全打順入れ替えは初めての出来事。なかでも驚きは4番の変更だった。指揮官が「みんなが認めとる」と話す不動の4番を5番に下げた。昨年全試合で4番を務めた大山は打率1割台と苦しんでいたことは間違いない。ただ、岡田監督はこれまでの第1次政権では金本、第2次政権では大山を全試合で4番に起用してきた。それだけに大きな決断だったに違いない。
 21年 7月14日横浜DeNA戦以来となる「8番」に座った中野は「監督も何かを変えないといけないと思って、打順を入れ替えたわけなので、みんな打順が変わっても、やるべきことは変わらないと思っていた」とチームの思いを代弁した。その選手会長が 7回の決勝打を含むマルチ安打。梅野も、約 1年ぶりの2番で同点打をマークした。


 阪神監督勝利数10傑
 試合は 2- 1の辛勝。4安打2得点とまだ大爆発とはいかないが、執念でつかんだ 1点差の勝利だ。岡田監督にとっては、吉田義男氏に並ぶ球団監督歴代2位タイの484勝目だった。阪神初の日本一に85年、指揮官と選手としてともに戦った間柄。恩師が掲げた「守りで攻める」を受け継ぐからこそ、接戦をものにできる。
 一昨年までの評論家時代も、スタンドから選手たちの守備をじっと見ていた。「ちょっとやり方を変えるとね、改善できるんじゃないかというのは思っていた」。中野を 2塁にコンバートするなど動き、守備の基本を徹底した。セ 5球団との対戦が一巡して6勝8敗1分けのリーグ4位。昨季の王者が壁にぶち当たっていることは間違いない。だが、虎のベンチには百戦錬磨の指揮官がいる。基本に忠実に、時に大胆に。岡田野球でここから上昇をはかる。

▼阪神は前日13日と全打順を入れ替えた。岡田監督が全打順を入れ替えるのは、阪神での1次政権時とオリックス監督時も含めて1299試合目で初めて。また、4番に佐藤輝を抜てき。岡田監督が阪神監督時に4番を変更したのは初めて。04~08年は金本知憲が、23年と24年の前試合までは大山悠輔がすべての試合で4番に固定されていた。

 


  3回二死 1、 2塁、中前適時打を放った梅野隆太郎捕手=バンテリンドームナゴヤ
 阪神は 0― 1の 2回、梅野隆太郎捕手の適時打で同点に追いついた。〝新2番〟が結果を残した。一死から、8番に入った中野が左前打で出塁し、才木の犠打、木浪の四球で二死 1、 2塁の好機。梅野は梅津の低め直球を捉え、 1、 2塁間を破る中前適時打とした。昨年 4月26日の巨人戦(甲子園)以来となる2番起用に応え、リードする才木を援護した。「打ったのはストレート。相手が勢いのあるチームなので、取られたあとすぐに追いつくことができてよかったです。この球場は粘り強く守っていくことも大事なのでここからも頑張ります」とコメントした。


  3回二死 1、 2塁、同点打を放った梅野隆太郎捕手=バンテリンドームナゴヤ
 梅野隆太郎捕手が2番起用で快音を響かせた。昨年 4月26日の巨人戦以来、約 1年ぶりとなる「2番捕手」で先発。「監督が言ったことにしっかり従って自分たちは期待に応えられるような準備をして、結果を出していくしかない」と気合が入っていた。 1点ビハインドの 3回二死 1、 2塁で梅津から中前への適時打。「しっかり甘い球を捉えられた」とうなずいた。大改造された打線の中で、しっかり結果を残してみせた。
 4連敗を阻止し「今日は本当に肌で感じました。勝つ時って、こういうくらい守り勝つ、追いつかれないように逃げ切る、というビジターでの大変さを感じました」と言葉に実感を込めた。守っては先発才木を粘り強くリード。「チームの流れは、辛抱していたら絶対、いい方向に向いてくると思う。辛抱強くシーズンを戦っていく中で、こういう1勝を大切にしていきたい」。経験豊富な男は、簡単にはブレない。

 

 


 ウォーミングアップする佐藤輝明内野手=バンテリンドームナゴヤ
 佐藤輝明内野手 「4番・3塁」で先発する。4番は2022年 9月 4日の巨人戦(甲子園)以来。昨季は5番と6番のみでの先発出場だった。13日の同戦では 1回に先制の 2点 2塁打を放っており、この日の活躍にも期待が懸かる。
 木浪聖也内野手はルーキーイヤーの2019年 9月22日の横浜DeNA戦(甲子園)以来となる1番での出場となる。昨季全試合で「4番・1塁」だった大山悠輔内野手は5番に入った。岡田監督の指揮官復帰以降初で、大きな決断となった。


  6回、空振り三振に倒れる佐藤輝明内野手=バンテリンドームナゴヤ
 佐藤輝明内野手が大山悠輔内野手に代わって2022年 9月 4日の巨人戦(甲子園)以来の4番に座った。 588日ぶりの4番出場にも「別にいつもと変わらないんじゃないですか」と平常心。4打数無安打に終わり守備では 7回にピンチを広げる送球ミスもあったが、同学年の先発・才木の粘投に救われた。休養日を挟んで迎える甲子園6連戦は、バットで上昇気流に乗せる。


 大幅な打順入れ替えを行った阪神。木浪聖也内野手(右)、梅野隆太郎捕手が1,2番コンビを組む=バンテリンドームナゴヤ
 木浪聖也内野手がルーキーイヤーの2019年 9月22日の横浜DeNA戦(甲子園)以来の「1番」で出場。3打数無安打だったが、 0― 1の 3回には二死 1塁から四球を選び、梅野の同点打につないだ。「やることは変わらないので、1番だからというのはなかった。つなぐことはずっと意識しているので、つないで点を取れたのがよかった」と連敗ストップに胸を張った。

 1番で出場した木浪聖也内野手=バンテリンドームナゴヤ
 木浪聖也が 5年ぶりの「1番」に入り、得点へのつなぎ役を果たした。
 安打で出なかったが、2回二死 2塁から四球を選び、梅野の同点打を呼び込んだ。「別に、やることは変わらないと思っていたので、あまり1番だからという思いはなかったです。つなぐことはずっと意識してること。つないで点を取れたことはよかったです」と、ホッとした表情だった。

 


  7回、 2塁打を放った前川右京外野手=バンテリンドームナゴヤ
  2試合ぶりの先発で「6番・左翼」に入った前川右京外野手が連敗脱出への扉をこじ開けた。 1― 1の 7回一死から、好投を続けていた梅津の初球をはじき返して右翼線 2塁打。「 1打席目が終わって水口さん(打撃コーチ)に始動が遅れているといってもらって、早めにタイミングを取った」。 4日の横浜DeNA戦(京セラ)での左中間 2塁打以来となる長打を記録し、中野の右前適時打で決勝のホームイン。「チャンスメークができてよかった」と喜んだ。

  7回表阪神一死、前川右京外野手は右翼線 2塁打を放った=バンテリンドームナゴヤ
 前川右京外野手がスタメン起用に応え、決勝点に結びつく一打を放った。
 同点の 7回一死、梅津から右翼への 2塁打で出塁。その後、中野の適時打でホーム生還した。試合中には水口 1軍打撃コーチに「始動が遅れている」と指摘され、すぐさま修正。「早め早めに準備ができた。チャンスメークできたのでよかったと思います」。 2試合ぶりの出場で結果を残した。

 


  4回、見逃し三振に倒れた森下翔太外野手=バンテリンドームナゴヤ
 森下翔太外野手は 2試合連続のノーヒットで、打率.157(51打数8安打)と状態が上がってこない。「チームが勝てば次につながるのでよかった。もう切り替えてやるしかない。明日はゆっくり休んでまた甲子園でやりたい」と必死で前を向く。開幕は3番で迎えたが、昨年 6月 1日の埼玉西武戦(ベルーナ)以来プロ 2度目の7番でのスタメン出場となった。気持ちをリセットし、ホームで復活の快音を放つ。

 


 3回表阪神一死、中野拓夢内野手は左前打を放った=バンテリンドームナゴヤ
 阪神は 1― 1の 7回、中野拓夢内野手の適時打で勝ち越した。一死から前川が右翼へ 2塁打を放つも、森下が捕邪飛に倒れて二死 2塁。ここで中野が役割を果たした。中日の先発・梅津が初球に投じた変化球を捉え、ふらふらと上がった打球は右翼手の目の前でポトリ。 2塁から前川が生還した。この日 3年ぶりに8番で出場した中野は 3回にも梅野の同点打の起点となる適時打を放っており、マルチ安打で奮起した。「打ったのはフォークかな。才木が頑張ってくれていたので、どんな形でもいいので勝ち越したいという気持ちでした。積極的にスイングした結果、いいところに飛んでくれてよかったです」とコメントした。


 3回表阪神一死、左前安打を放った中野拓夢内野手(右)=バンテリンドームナゴヤ
  3季ぶりに8番でスタメン出場した中野拓夢内野手が、決勝打を含むマルチ安打で5試合ぶり勝利を呼び込んだ。
   1- 1の 7回、2死二塁では梅津の初球、フォークをすくい上げ、打球は二塁手と中堅、右翼の間にポトリ。ラッキーな右前打が決勝打となった。「才木が粘りながら、頑張って投げていたので、何とか点を取ってあげたい気持ちがあった。当たりとしては良くなかったですけど、初球を積極的に振りにいけた結果」とうなずいた。


  7回、勝ち越しの適時打を放った中野拓夢内野手=バンテリンドームナゴヤ
 同点打をお膳立てしたのも背番号51だった。 1点を先制された直後の 3回。一死で迎えた第 1打席、中日梅津の 2球目スライダーを左前に運んだ。11日広島戦(甲子園)の第 3打席以来、11打席ぶりの安打はこの日のチーム初安打。反撃の口火を切った。9番才木が送り、1番木浪が四球で二死 1、 2塁。2番梅野の中前打で 2塁から全力疾走し、同点のホームを踏んだ。
 8番での出場は21年 7月14日の横浜DeNA戦(甲子園)以来。 3年ぶりの打順を聞くも「あんまりなんとも思わなかったです」と冷静だった。「打順がどうであれ、自分のやるべきことは変わらないですし、ちょっとうまくいかなかった打席が続いていたので、気分転換になったと思います」とプラスにとらえた。


  7回、勝ち越しの適時打を放った中野拓夢内野手=バンテリンドームナゴヤ
 頼れる選手会長の 2安打 1打点で連敗がストップした。「接戦をものにできたところからチームの雰囲気もよくなってくると思いますし、何とか打撃陣がピッチャーを楽にして投げさせてあげられる展開を作っていきたい」。15日からは甲子園での伝統の一戦。虎の安打製造機が今度は連勝街道へとけん引する。


 阪神の先発・才木浩人投手が 2回に先制を許した。連日の「恩返し」を食らった。 2本の安打で二死 1、 2塁とされ、昨季まで阪神に在籍した山本泰寛内野手が打席へ。追い込んだ後のフォークを狙い打たれ、先制の左前適時打となった。戦力外通告を受けて阪神から中日への加入となった山本は、13日の同戦でも 3安打 1打点と活躍。この日も結果を残された。

 力投する阪神先発の才木浩人投手=バンテリンドームナゴヤ

 阪神は 2― 1と勝ち越した直後の 7回にピンチを背負ったが、才木浩人投手が力投で切り抜けた。
 先頭の中田に右翼へ 2塁打を浴び、細川を左飛、上林を左邪飛に打ち取って二死 2塁で迎えた木下との対戦。 3ゴロに打ち取ったものの佐藤輝の送球がワンバウンドとなり、大山のミットからわずかに飛び出した間に打者が 1塁へ到達。リクエストを経てもセーフとなり(記録は 3塁の失策)、 1、 3塁とされた。
 それでも才木は負けなかった。先制の適時打を許した山本を 149キロの直球で空振り三振に仕留めてリベンジ。大きなガッツポーズを見せた。 7回まで 116球の熱投で4安打1失点。リードを守った。


  2回二死 1、 2塁、山本泰寛内野手に適時打を許した才木浩人投手=バンテリンドームナゴヤ
 右こぶしを振り、思い切り吠(ほ)えた。
 才木浩人投手は、最大のヤマ場で最高の1球を投げきった。 7回二死 1、 3塁。リードはわずか 1点。好調の元阪神山本を追い込むと、気持ちを乗せた 149キロで空振り三振を奪った。 7回 1失点で投手戦を制し、三度目の正直で今季初白星。打線が不調でなかなか勝てない阪神に、 5試合ぶりの勝利をもたらした。


  5回裏、汗を飛ばし力投する阪神先発の才木浩人投手=バンテリンドームナゴヤ
 「先頭の中田さんに 2塁打を打たれてから気持ちが入った。久々のピンチで、ここでなんとか、と。点が入ったあとだったので気持ちで負けないように投げました」。山本には 2回に先制適時打を許していた。 7回のピンチは二死 2塁から佐藤輝の悪送球で広がったもの。直前にはようやく勝ち越しの 1点をつかんだいた。仲間のミスを消し、チームの危機も救う、迫力満点のマウンドだった。


  7回二死 1、 3塁の窮地を空振り三振で脱し、雄たけびを上げる才木浩人投手=バンテリンドームナゴヤ
 負けるわけにいかなかった。投げ合う相手は梅津だ。同じく右肘のトミー・ジョン手術から復活を果たした。「めちゃくちゃいい投手。点が入りづらい展開になると思っていた。梅津さんもすごい投球をしていたので、自分も負けずに、気持ちで押していけるようにと投げました」。バンテリンドームは約 2年前、自身が手術から1159日ぶりの復帰星をつかんだ場所だ。当時、うれし涙を流したが、それももう過去のこと。今は「特に思い入れはないです。普通に投げやすい球場」ときっぱり。とっくに、新しい野球人生を力強く歩んでいる。


 中日に勝利し岡田彰布監督とハイタッチをする才木浩人投手=バンテリンドームナゴヤ
  2人の投手戦は、後輩の希望になるはずだ。ドラフト1位下村がトミー・ジョン手術を受けたばかり。先輩たちがアドバイスを送る中、才木の活躍も下村の決断を後押しした。「ドラ1とか関係なく、もう早いうちにやった方がいい。絶対に」と大賛成した。
 今は苦しくても、必ず笑える日が来る。「ここからいい雰囲気で甲子園に行ってくれたらいいかなと思います」。バンテリンドームの虎党に、才木は満面の笑みで手を振った。

 

 岡田采配は、継投でも変幻自在だ。リードした場面での「セットアッパー岩崎-守護神ゲラ」のつなぎが初お披露目された。両投手ともきっちりと仕事を果たし、助っ人右腕は声を弾ませた。
 「最後、役割が変わったのは監督が決めることですし、いい結果につながったので。自分がやることは、どんな打者であれアウトを取ること」


  8回のマウンドに上がった岩崎優投手=バンテリンドームナゴヤ
  2- 1の 9回に登場。先頭の中田を 153キロ直球で中飛に打ち取った場面は「ちょっといい当たりをされて、ヒヤッとした」と振り返ったが、その後も冷静に熱く投げていった。細川は 155キロの高め直球で、上林はスライダーで2連続三振に仕留め、延長10回に投げた 5日の東京ヤクルト戦(神宮)以来となる来日2セーブ目をマークした。


 阪神3番手のハビー・ゲラ投手=バンテリンドームナゴヤ
 岩崎は 1点リードの 8回に登板し、見事に今季2ホールド目。岡田監督は守護神について、開幕前から「シーズン入っても右左の関係でもええわけやから別にな。形いうのは、開幕からピタッと形なんか作られへんよ」と語ってきた。岩崎に左の大島や高橋周を、ゲラに右の中田、細川らを斬らせる策が、ここでズバリはまった。
 岩崎も「また次、頑張ります」と涼しげだ。虎ブルペンの〝2枚看板〟は、相手打線を柔軟に封じ込めていく。


  9回、上林誠知外野手から三振を奪い試合に勝利したハビー・ゲラ投手=バンテリンドームナゴヤ
 ハビアー・ゲラ投手が 1点リードを守り、2セーブ目を挙げた。
  9回に登板し4番中田翔から始まるタフな流れで3者凡退無失点。細川、上林を連続で 3球三振に仕留め、試合を締めた。岩崎とのダブルストッパー構想は継続しており、この日は岩崎からのバトンを受け取る「IGリレー」だった。
 「自分がやることはとにかく、どんなバッターであれアウトを取ること」とどんな持ち場でもフル回転する覚悟だ。

 


 髙橋遥人投手=阪神鳴尾浜球場(愛称=タイガース・デン)
 左肘と左前腕部の手術から復活を期す髙橋遥人投手が14日、鳴尾浜のブルペンで485球を投じた。すでにシート打撃に 2度登板しており、次回登板は実戦復帰となる見込みだ。和田 2軍監督は「(週明けの) 3つのうちでいければ」と16日からのウエスタン・オリックス 3連戦で登板する予定であることを明かした。16日は雨予報のため、17日登板となることが濃厚。髙橋は「緊張すると思う。少しずつ上がってきているので、今できる範囲の力を出せたら」と意気込んだ。

 

 2024年シーズンのチームスローガン『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』

 リーグ優勝と日本一に輝き、王者として迎える2024年。
しかし王者といえど、野球に王道という道はない。ただ確かなことは、歩みを止めてはいけないということ。
 2024年も、阪神タイガースは挑戦をやめない。チャレンジャーとして、アレに向かって挑み続ける。
 そんな挑み続ける阪神タイガースの姿勢をスローガンにしたのが『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』です。

 

 

2024年 オープン戦順位表

 

2024年 公式戦順位表

 

2024年 公式戦日程表と結果(03月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(04月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(05月)

 

 

 

 

 

 ペタしてね