●俳優の山崎育三郎(38)が試合前に君が代独唱と始球式を行った。両チームの監督、選手、マスコットがライン沿いに整列する中、スタイリッシュなダークスーツ姿でホームベース後方に立ち、気持ちを込めた歌声を披露。歌い終えると深々と一礼して、ベンチ裏へと戻った。その後、阪神ナインが守備位置につくと、今度は背番号19のタテジマのユニホーム姿で再び登場してマウンドへ。ゆったりとしたフォームからノーバウンドで捕手のミットに投げ込み、スタンドから大きな拍手が上がった。最後に阪神にエールを送った。阪神は 9日、甲子園開幕となる広島戦を前に球団公式Xで「観戦マナーに関するお願い」を掲出した。球団OBの能見篤史氏(44)が動画で登場。動画の最後に直筆メッセージをつづった。
●虎ナインが甲子園に帰ってきた。阪神は午後 1時30分頃からグラウンド入り。各自アップを行うと、午後 2時ごろから全体練習が始まった。阪神はこの試合が今季の本拠地甲子園開幕戦。今年 8月に開場100周年を迎える甲子園のメモリアルイヤー、その初戦を勝利で飾る。近本光司外野手(29)がいきなりのビッグプレーを披露した。今季初の甲子園。その初回先頭、野間峻祥外野手(31)の左中間への詰まった飛球に全力チャージ。ダイビングキャッチして、転がりながらもボールを離さなかった。右ひざなどを地面に打ったもようで、一瞬、うずくまり甲子園をざわつかせたが、駆けつけた遊撃木浪聖也内野手(29=亜細亜大學OB)がベンチに向かって両手でマルを作ると、大きな拍手が起きた。甲子園開場100周年のメモリアルイヤーが始まり、最初のプレーを超美技で飾った。二死からは小園海斗内野手(23)のファウルフライを坂本誠志郎捕手(30)がスライディングしながらキャッチ。初回から好守が続いた。
●岡田彰布監督(66)が阪神の監督通算勝利数を483まで積み上げ、球団歴代2位の吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)の勝利数484にあと1勝に迫った。先発の村上頌樹投手(25)の力投に応えるため、打線がワンチャンスをものにして得点し、ハビー・ゲラ投手(28=前レイズ)、岩崎優投手(32)のリレーも盤石だ。投手力と個々の選手が自身の役割を果たす岡田野球で、甲子園での開幕戦を制した。チームの〝操縦法〟で参考にしたという師の勝利数に本拠地甲子園で並ぶべく力を込めた。昨季日本一に輝いた「岡田野球」を象徴するような一戦だった。 5回の先制は8番木浪から。広島床田寛樹投手(29)のスライダーを右翼へ運ぶと、村上頌樹投手(25)が初球で犠打を決めて近本の決勝打につなげた。昨年打率2割6分7厘、41打点を挙げ「恐怖の8番」として躍動した男からチャンスメーク。これまで何度も得点を奪った攻撃の形を甲子園の初戦で体現した。だが、満足はしていない。 9安打で1得点の打線に注文を忘れなかった。甲子園でよっさん超えの3連勝を果たせば、単独2位に躍り出る。まずは10日、恩師に並んで貯金生活に入る。
●阪神が投手戦をものにして勝率を5割に戻した。甲子園開場100周年イヤーの初戦をしっかりと勝ち切り、甲子園開幕を待ちわびたファンを喜ばせた。村上頌樹投手と床田寛樹投手の投げ合い。先制点は阪神だった。 5回、一死 2塁から近本光司外野手が右翼線に快打を放ち、 1点をもぎ取った。甲子園での広島戦に限ると、昨年 5月20日から 1引き分けを挟んで8連勝となった。CSファイナルステージでも3連勝しているため計11連勝。打線に元気がない広島を、データ通りに封じ込めた。
●新たなチャンステーマが甲子園に鳴り響いた。 1回、一死から中野が 2塁打を放つと、森下の遊ゴロで二死 3塁。4番・大山悠輔内野手(29)が打席に向かった。スタンドから、この日解禁となった大山の新チャンステーマが響く。 2球で追い込まれたが、ボール球を見極めて四球。4番が好機をつないだ阪神打線だったが、続くシェルドン・ノイジー外野手(29)が見逃し三振に倒れ、先制とはならなかった。阪神が接戦を制し、今季甲子園初戦を勝利で飾った。先発の村上は 7回2安打無失点の力投。8奪三振を奪うなど広島打線を寄せ付けなかった。本拠地開幕戦に詰めかけた 4万2601人のファンに勝利を届け、勝率5割に戻した。
●中野拓夢内野手(27)は 1回に左中間へ 2塁打を放つと、 8回にも左前打を放って 3試合ぶりの複数安打。打率.306とした。今季の本拠地初戦に新選手会長は改めてファンに感謝。 2回一死 1、 2塁のピンチでは坂倉の打球をしっかりと 2ゴロ併殺に仕留めた。平田勝男ヘッドコーチ(64)が守備での貢献を評価。
●佐藤輝明内野手(25)が意地の激走で内野安打をもぎ取った。4回二死 1塁の第 2打席。カウント 2- 1から床田の 138キロカットボールにバットを合わせた。打球は 3塁線へ。ヘルメットを飛ばして激走すると判定はセーフ。広島ベンチがリクエストを要求も判定は覆らず、二死 1、 2塁と好機を作った。 1回以来の得点圏に走者を進めた打線だったが、坂本が空振り三振で先制とはならなかった。佐藤輝明内野手が反省を生かした。 7回一死での 3塁守備。堂林翔太内野手(32)の強い打球にバウンドが合わなかったが、体をしっかりと入れ、ボールを 1度こぼしながらも冷静に 1塁に送球してアウトにした。甲子園のファンからも大きな拍手が起こった。この日の練習中には、平田ヘッドコーチと守備について話し込む場面もあった。佐藤輝明内野手が今季初、プロ通算100度目のマルチ安打を決めた。まずは 0- 0の 4回二死 1塁。広島床田の 138キロを 3塁線へと転がしてヘルメットを飛ばすほどの激走で沸かせた。 7回には再び床田から右前へはじき返した。床田にはここ 2年で10打数6安打の好相性だ。打率は1割8分9厘まで上昇。輝も波に乗る。
●木浪聖也内野手は 5回先頭で右前打を放ち決勝点につながる攻撃の起点となった。出塁後に村上のバントで 2塁に進み、近本の適時打で生還。下位打線からの得点に胸を張った。 7回にも中前に運び、 5日の東京ヤクルト戦(神宮)以来となる今季 2度目のマルチ安打。さらなる上昇を目指す。開幕 6試合で 1安打だったが、4試合連続安打と乗ってきた。
●100周年を迎えた阪神甲子園球場に、セ・リーグ連覇を目指す阪神が帰ってきた。歴史の今を突き進むチームに欠かせない象徴が、投手戦の均衡を打ち破った。近本が芯で捉えた当たりは右翼線へ転がり、先制の適時打となった。甲子園100周年イヤーの初得点は近本光司外野手がたたき出した。 0- 0の 5回一死 2塁から右翼線にライナーではじき返し、先制の 1点を奪った。ノンストップで狙った 2塁は惜しくもアウトの判定。リクエストでも覆らなかったが、快足ぶりで沸かせた。近本は初回の守備で先頭打者の左中間への飛球をダイビングで好捕。ただその際に足などを強く打ちつけ、しばらく起き上がれなかったがプレー続行していた。貴重な適時打で、痛めた足も問題のないところを示した。この日の先発は同郷・淡路島出身の村上頌樹。 5回までスコアボードにゼロを並べる後輩右腕の力投にバットで応えた。近本は昨季のレギュラーシーズンでも、村上が登板した試合は打率.304(79打数24安打)、9打点、1本塁打と好成績。〝アレ〟に貢献した淡路島コンビは今年も頼もしい。1924年 3月に起工式が行われ、同年 8月 1日に竣工(しゅんこう)式を実施。「甲子園大運動場」と命名された球場が、球団よりも長い歴史を紡いできた。そんな甲子園100周年のレギュラーシーズン初戦。試合前日から当日のチケット販売なしがアナウンスされ、席を埋め尽くしたファンが選手に声援を送った。頼もしい村上の姿に、近本光司外野手の気持ちも突き動かされた。勝負は迷いなく初球で決める―。振り抜いたバットから放たれた打球が右翼線へ転がる。誓いは果たされた。〝淡路島コンビ〟の先輩が後輩を勝たせる美技&決勝打で、試合前の会話通りにそろってお立ち台に上がった。
●節目を迎える甲子園での戦いの幕開けも、この男に託された。温かい拍手に背中を押され、阪神・村上頌樹投手が美しく整備されたマウンドへ。笑顔が消えた今季初登板から中 6日、その右腕で100周年イヤーの時計を動かした。登板前日の 8日は充満する熱気を想像し、意気込んでいた。序盤から直球でグイグイと攻め、ときには87キロも計測した超スローカーブも織り交ぜるなど、緩急を駆使しながら赤ヘル打線と相対した。まずは 1回を3者凡退で好発進。 2回は先頭・堂林を四球で歩かせたが、笑顔も見せるなど落ち着いていた。一死から田村俊介外野手(20)に左前に運ばれ 1、 2塁とされても、坂倉将吾捕手(25)はカットボールで 2ゴロ併殺に仕留めて無失点で切り抜けた。 3回以降はペースを握り、 5回二死 2塁のピンチも菊池涼介内野手(34)をフォークで三振に斬り、先制点を与えなかった。床田との投手戦で一歩も引かず、打席では 5回に近本のV打につなぐ犠打を決めた。
●阪神は24年の虎が誇るダブル守護神「GI」コンビのお披露目に甲子園が沸いた。阪神の新外国人、ハビー・ゲラ投手(28)が 8回に登板し、 3人で片づけた。今季登板 5試合連続無失点。4ホールド目を挙げた。 160キロ超の速球が武器の右腕。メジャー 55年間で通算61試合に登板しており、春季キャンプから岡田監督ら首脳陣の評判は高かった。球団関係者は日本野球にすぐに溶け込めた理由にゲラの考え方にあるという。米球界時代は2018年までは内野手としてプレーしていたが、頭の回転も速く、器用さを兼ね備えた助っ人といえる。 9回を抑えた岩崎も二死から 1安打を許したが、危なげなく3セーブ目。岡田監督も左腕の姿に頼もしげだった。
●阪神の甲子園開幕星の背景でハプニングが起きていた。先発した村上が 7回無失点で降板。 8回からゲラ、岩崎で零封リレーを完成させたが、なぜか救援コンビはリリーフカーに乗らず、自力でマウンドに向かっていた。試合後、球場関係者は試合前から故障したことを明かした。10日には復旧するというが、球団初のセ・リーグ連覇を目指すため、虎投は〝通常運転〟ができたようだ。 1点差のまま 9回のマウンドに向かったのは岩崎優だ。こちらもゲラ同様、 1塁内野席とアルプス席の間にある通路から走ってマウンドへ。またも、リリーフカーに乗っていない…。実は、阪神サイドのリリーフカーはこの日、試合前の準備段階で車両故障が発覚。原因は不明だが、まさかのアクシデントに見舞われていた。ただ、ポーカーフェースの左腕も一切動じない。先頭の代打・上本崇司内野手(33=実兄は元阪神タイガースの上本博紀)を直球で空振り三振。二死から代打・會澤翼捕手(35)に左前打を浴びたが、最後は小園を 1球で 2ゴロに仕留めて今季3セーブ目。
● 2試合ぶりスタメンマスクの坂本誠志郎捕手(30)は、相手の打ち気をそらすスローカーブを交えて緩急をつけながら村上を巧みにリード。自身も邪飛をスライディングキャッチするなど好守で盛り立てての無失点ゲームに接戦の勝利を喜んだ。会心の 1- 0勝利をかみしめた。
●阪神は10日の広島戦の入場券が完売したと発表した。甲子園開幕となったこの日は 4万2601人の観衆が詰めかけた中、勝率5割に戻した。

記事をまとめてみました。

 

 

 <阪神 1- 0広島>◇ 1回戦◇阪神 1勝 0敗 0分◇ 9日◇阪神甲子園球場
 俳優の山崎育三郎が試合前に君が代独唱と始球式を行った。両チームの監督、選手、マスコットがライン沿いに整列する中、スタイリッシュなダークスーツ姿でホームベース後方に立ち、気持ちを込めた歌声を披露。歌い終えると深々と一礼して、ベンチ裏へと戻った。
 その後、阪神ナインが守備位置につくと、今度は背番号19のタテジマのユニホーム姿で再び登場してマウンドへ。ゆったりとしたフォームからノーバウンドで捕手のミットに投げ込み、スタンドから大きな拍手が上がった。


 国歌独唱の山崎育三郎氏=阪神甲子園球場
 君が代独唱ではブラウンにチェック柄の入ったスーツに身を包み、本塁後ろから美声を響き渡らせた。
 その後、始球式では背番号19を着け、「IKUSABURO」と名前が刻まれた特製の阪神のユニホームに着替えて登場。ストライクゾーンに投げこむと球場はドッと沸き、阪神岡田彰布監督(66)からも笑顔で拍手が送られた。


 阪神甲子園球場開幕戦で始球式を務めた山崎育三郎氏=阪神甲子園球場
 始球式を終えて「久しぶりにちょっと震えましたね」と興奮を抑えられないようす。「120点。今日できるすべてをかけて投げられたので良かった。ミュージカル俳優になるときに野球への夢をあきらめてミュージカルの道に行ったので、こういう形でマウンドに立てるのはグッとくるものがあった。割といいボールがいって安心しました」とやりきった表情を見せた。
 最後に「記念すべき100周年という節目の年に参加させていただいて本当に光栄に思いますし、ここから本拠地からスタートするということで、もう 1回流れが変わって、タイガースが連勝していくことを僕も祈ってますし応援しています」と阪神にエールを送った。


 阪神甲子園球場開幕戦で始球式を務めた山崎育三郎氏=阪神甲子園球場
 本拠地開幕戦で大きな役目を果たし「久しぶりにちょっと震えた。(始球式は)100点、120点記念すべき甲子園100周年という節目の年に僕も参加させていただいたことは本当に光栄に思う」と声を弾ませた。連覇を狙う阪神に「ここから本拠地でのスタートということで、もう1回流れが変わって連勝していくことを僕も祈っている」とエールを送った。


 阪神甲子園球場
 阪神は 9日、甲子園開幕となる広島戦を前に球団公式Xで「観戦マナーに関するお願い」を掲出した。
 「今シーズンもご来場のお客さまひとりひとりが観戦マナーを遵守し、すべての皆様が楽しく快適に観戦できる環境を作り上げ、健全な応援でチーム・選手を鼓舞していただきますよう、心よりお願いいたします」
 球団OBの能見篤史氏が動画で登場。「くたばれ」という声に「その言葉、アナタが言われたらどんな気持ちですか?」と話し「忘れないでほしい。選手もチームも野球も好きで応援していることを」とコメント。動画の最後に「全ての選手に愛のある声援を」と直筆メッセージをつづった。

 


 阪神甲子園球場
 虎ナインが甲子園に帰ってきた。阪神は午後 1時30分頃からグラウンド入り。各自アップを行うと、午後 2時ごろから全体練習が始まった。森下、前川、小野寺は右翼付近で入念にフライ捕球を繰り返し、中野ら内野陣も久々の本拠地のグラウンドでノックを行い、黒土を確認した。
 阪神はこの試合が今季の本拠地甲子園開幕戦。今年 8月に開場100周年を迎える甲子園のメモリアルイヤー、その初戦を勝利で飾る。


  1回表広島無死、近本光司外野手は野間峻祥外野手の中飛を好捕する=阪神甲子園球場
 近本光司外野手がいきなりのビッグプレーを披露した。
 今季初の甲子園。その初回先頭、野間峻祥外野手の左中間への詰まった飛球に全力チャージ。ダイビングキャッチして、転がりながらもボールを離さなかった。
 右ひざなどを地面に打ったもようで、一瞬、うずくまり甲子園をざわつかせたが、駆けつけた遊撃木浪聖也内野手がベンチに向かって両手でマルを作ると、大きな拍手が起きた。
 甲子園開場100周年のメモリアルイヤーが始まり、最初のプレーを超美技で飾った。

 二死からは小園のファウルフライを坂本がスライディングしながらキャッチ。初回から好守が続いた。

 


  5回裏阪神一死 2塁、近本光司外野手の適時打で生還した木浪聖也内野手を迎える岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 岡田彰布監督が阪神の監督通算勝利数を483まで積み上げ、球団歴代2位の吉田義男氏の勝利数484にあと1勝に迫った。
 「ちょっと、まだまだ先発に勝ってないピッチャーいてるんでね。どんどん勝てるように。まだ打つ方も、なかなかタイムリーとかつながりもないんだけど。そんなよくないんだけど、何とかみんなでしのいで」
 先発の村上の力投に応えるため、打線がワンチャンスをものにして得点し、ゲラ、岩崎のリレーも盤石だ。投手力と個々の選手が自身の役割を果たす岡田野球で、甲子園での開幕戦を制した。
 チームの〝操縦法〟で参考にしたという師の勝利数に本拠地甲子園で並ぶべく「初戦とったので、勝ち越せるようにやっていきたい」と力を込めた。


 試合に勝利しサムズアップをする岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 岡田彰布監督が、虎の監督通算勝利でよっさんに王手だ。今季の甲子園初戦を制し、阪神監督通算勝利数は483。10日にも、初代日本一監督の吉田義男氏が挙げた歴代2位の484勝に並ぶ。「本当、久しぶりでね。やっぱり、やっと帰ってきたなあって感じですね」。戦い慣れた聖地での24年の1勝目をかみしめた。
 昨季日本一に輝いた「岡田野球」を象徴するような一戦だった。 5回の先制は8番木浪から。広島床田のスライダーを右翼へ運ぶと、村上が初球で犠打を決めて近本の決勝打につなげた。「8番からの打順で、村上も 1球でバント決めて、やっぱり流れが良かったですよね。ほんとワンチャンスですね、やっぱりね」。昨年打率2割6分7厘、41打点を挙げ「恐怖の8番」として躍動した男からチャンスメーク。これまで何度も得点を奪った攻撃の形を甲子園の初戦で体現した。


 広島に勝利し、笑顔で安藤優也投手コーチ(右)らと握手する岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 先発村上も粘り、回を追うごとに安定感を増して今季初勝利をつかんだ。「6連戦の頭ということでね、当然相手も、いいピッチャー当たると思うんですけど、そこでね、勝ちきるというのはすごい大きいですね」。床田との投げ合いを制した昨季のMVPを頼もしげに見つめた。
 この日は、甲子園を訪れた吉田氏から激励を受けた。現役時代に選手と監督として戦い、初の日本一を分かち合った間柄。ベンチ内で話し込むなど、力を授かっての広島戦だった。
 だが、満足はしていない。 9安打で1得点の打線に注文を忘れなかった。「まだ打つ方もなかなかタイムリーとか、つながりもないんだけど、なんとかみんなでしのいで。初戦を取ったので、勝ち越せるようにやっていきたいですね」。甲子園でよっさん超えの3連勝を果たせば、単独2位に躍り出る。まずは10日、恩師に並んで貯金生活に入る。

 


  5回裏阪神一死 2塁、右翼線へ先制適時打を放った近本光司外野手=阪神甲子園球場
 阪神が投手戦をものにして勝率を5割に戻した。甲子園開場100周年イヤーの初戦をしっかりと勝ち切り、甲子園開幕を待ちわびたファンを喜ばせた。
 村上頌樹投手と床田寛樹投手の投げ合い。先制点は阪神だった。 5回、一死 2塁から近本光司外野手が右翼線に快打を放ち、 1点をもぎ取った。


  5回裏阪神一死 2塁、右翼線へ先制適時打を放ち 2塁を狙うもアウトとなる近本光司外野手。遊撃手矢野雅哉内野手=阪神甲子園球場
 前回は初回 4失点と乱調だった村上は要所を締めた。直球の走り、フォークの制球がよく、 2回、 5回と得点圏の走者を帰さなかった。昨季MVPに輝いた右腕はリズムよく 7回を投げて2安打無失点と本領を発揮。今季初勝利を挙げた。 8回はハビー・ゲラ(28)、 9回は岩崎優(32)とダブル守護神が抑えた。
 甲子園での広島戦に限ると、昨年 5月20日から 1引き分けを挟んで8連勝となった。CSファイナルステージでも3連勝しているため計11連勝。打線に元気がない広島を、データ通りに封じ込めた。

 

 新たなチャンステーマが甲子園に鳴り響いた。 1回、一死から中野が 2塁打を放つと、森下の遊ゴロで二死 3塁。4番・大山悠輔内野手が打席に向かった。スタンドから、この日解禁となった大山の新チャンステーマが響く。 2球で追い込まれたが、ボール球を見極めて四球。4番が好機をつないだ阪神打線だったが、続くノイジーが見逃し三振に倒れ、先制とはならなかった。

  1回、見逃し三振に倒れた阪神のシェルドン・ノイジー外野手=阪神甲子園球場
 阪神が接戦を制し、今季甲子園初戦を勝利で飾った。先発の村上は 7回2安打無失点の力投。シーズン初登板だった 2日の横浜DeNA戦(京セラ)は 3回7安打5失点で敗戦投手となっていたが、見事に修正し、8奪三振を奪うなど広島打線を寄せ付けなかった。

  1回 広島・野間峻祥外野手の打球を好捕する近本光司外野手=阪神甲子園球場
 打線は 5回一死 2塁の好機で近本が決勝の右前適時打。8番・木浪の出塁を足がかりに得点する、昨年の王道パターンで 1点をもぎ取った。 8回からはゲラ、岩崎とつないで、無失点リレー。本拠地開幕戦に詰めかけた 4万2601人のファンに勝利を届け、勝率5割に戻した。

 


  1回、 2塁打を放った中野拓夢内野手=阪神甲子園球場
 中野拓夢は 1回に左中間へ 2塁打を放つと、 8回にも左前打を放って 3試合ぶりの複数安打。打率.306とした。今季の本拠地初戦に新選手会長は「声援をすごく感じました」と改めてファンに感謝。 2回一死 1、 2塁のピンチでは坂倉の打球をしっかりと 2ゴロ併殺に仕留め、「守りからリズムを作って勝てたというのはチームとしても大きなこと」とうなずいた。

  2回表広島一死 1、 2塁、中野拓夢内野手は坂倉将吾捕手の 2ゴロを 2塁へ送球する=阪神甲子園球場
 中野拓夢内野手が守備で村上の背中を押した。 2回一死 1、 2塁で、 2-遊- 1の併殺を完成。平田ヘッドコーチが「あれがよかった。村上が 3回以降立ち直ってくれた」と守備での貢献を評価。
 初回の 2塁打など2安打も放った2番打者は「エラーしちゃいけない、点が絡む場面。まず捕ってからと意識して、しっかり併殺でしのげた。明日からも投手を助ける守備をしたい」と振り返った。

 

 佐藤輝明内野手が意地の激走で内野安打をもぎ取った。4回二死 1塁の第 2打席。カウント 2- 1から床田の 138キロカットボールにバットを合わせた。打球は 3塁線へ。ヘルメットを飛ばして激走すると判定はセーフ。広島ベンチがリクエストを要求も判定は覆らず、二死 1、 2塁と好機を作った。 1回以来の得点圏に走者を進めた打線だったが、坂本が空振り三振で先制とはならなかった。

  4回、内野安打で 1塁に激走する佐藤輝明内野手=阪神甲子園球場
 佐藤輝明内野手が反省を生かした。
  7回一死での 3塁守備。堂林翔太内野手の強い打球にバウンドが合わなかったが、体をしっかりと入れ、ボールを 1度こぼしながらも冷静に 1塁に送球してアウトにした。甲子園のファンからも大きな拍手が起こった。
   7日の東京ヤクルト戦(神宮)で手痛い適時失策をおかしていた。速い打球に対して体を横向きにして、後ろにそらしていた。馬場内野守備走塁コーチも「必死さがないというか、どうにかしてという姿がなかったなと思う」と苦言を呈していた。
 この日の練習中には、平田ヘッドコーチと守備について話し込む場面もあった。


  7回表広島一死、佐藤輝明内野手は堂林翔太内野手の打球をはじくも素早い送球でアウトにする=阪神甲子園球場
 佐藤輝明内野手は 7回に右前打で出塁した直後に床田の 1塁けん制で刺される場面もあったが、今季初のマルチ安打をマーク。 4回の安打はボテボテの 3塁内野安打だっただけに「もっといい当たり出せるように頑張ります」と力を込めた。試合前は全体練習後にブルペンへ向かって素振りを敢行。入念な準備を結果につなげ「満員のファンの前で勝てたのでよかったです」と笑顔だった。


  7回裏阪神無死、佐藤輝は右前打を放った=阪神甲子園球場
 佐藤輝明内野手が今季初、プロ通算100度目のマルチ安打を決めた。
 まずは 0- 0の 4回二死 1塁。広島床田の 138キロを 3塁線へと転がしてヘルメットを飛ばすほどの激走で沸かせた。「同時くらいだったので祈っていました」と 1塁セーフ判定に広島ベンチからのリクエスト要求も覆らず笑顔だ。 7回には再び床田から右前へはじき返した。床田にはここ 2年で10打数6安打の好相性だ。「もっといい当たり出せるように頑張ります。満員のファンの前で勝てたのでよかった」。打率は1割8分9厘まで上昇。輝も波に乗る。

 


  5回、安打を放った木浪聖也内野手=阪神甲子園球場
 木浪聖也内野手は 5回先頭で右前打を放ち決勝点につながる攻撃の起点となった。出塁後に村上のバントで 2塁に進み、近本の適時打で生還。「自分が二塁にいると近本がすごく打ってくれるので、『出るぞ』という気持ちをもっている」と下位打線からの得点に胸を張った。 7回にも中前に運び、 5日の東京ヤクルト戦(神宮)以来となる今季 2度目のマルチ安打。「ここからもっと上げていって、上位につなげられる打者になりたい」とさらなる上昇を目指す。

  5回裏阪神無死、木浪聖也内野手は右前打を放った=阪神甲子園球場
 阪神「恐怖の8番」がチャンスメークした。
 木浪が 5回の先頭で 1、 2塁を抜き、村上の犠打を経て近本の決勝打を呼び込んだ。
 岡田監督は「8番からの打順で、村上も 1球でバント決めて、やっぱり流れが良かったですよね」と笑顔で振り返った。木浪は 7回にも中前にはじき返して 2度目のマルチ安打。開幕 6試合で 1安打だったが、4試合連続安打と乗ってきた。

 

 甲子園100周年イヤーの初得点は近本光司外野手がたたき出した。
  0- 0の 5回一死 2塁から右翼線にライナーではじき返し、先制の 1点を奪った。ノンストップで狙った 2塁は惜しくもアウトの判定。リクエストでも覆らなかったが、快足ぶりで沸かせた。
 近本は初回の守備で先頭打者の左中間への飛球をダイビングで好捕。ただその際に足などを強く打ちつけ、しばらく起き上がれなかったがプレー続行していた。貴重な適時打で、痛めた足も問題のないところを示した。


  5回、適時打を放った近本光司外野手=阪神甲子園球場
 近本光司外野手が 5回一死 2塁の好機で右前への先制打を放った。「打ったのはストレート。いい流れで回ってきた打席だったので、初球から積極的に打ちにいきました。(村上)頌樹も頑張って投げてくれていたので、先に点を取ることができてよかったです」。床田の初球、 142キロ直球をはじき返した。この日の先発は同郷・淡路島出身の村上頌樹。 5回までスコアボードにゼロを並べる後輩右腕の力投にバットで応えた。近本は昨季のレギュラーシーズンでも、村上が登板した試合は打率.304(79打数24安打)、9打点、1本塁打と好成績。〝アレ〟に貢献した淡路島コンビは今年も頼もしい。


  5回、先制打を放った木浪聖也内野手=阪神甲子園球場
 阪神が先制した。 0- 0の 5回。先頭の8番・木浪が 1、 2二塁間をしぶとく破る右前打で出塁すると、9番の村上が 1球で犠打を決めて一死 2塁の好機。勝負強い1番・近本が打席に向かった。その初球。床田の 142キロ直球を引っ張ると、打球は右翼線に弾む適時打。恐怖の8番・木浪が出塁し、好機で1番・近本がかえす。昨季、何度もチームを勝利に導いた王道パターンで阪神が先手を奪った。 2塁を狙った近本だが、右翼からの好返球もあって判定はアウト。岡田監督はリプレー検証を要求も判定は変わらなかった。近本は 1回の中堅守備でも野間の打球にダイビングキャッチ。体が 3回転半しながらも、グラブから白球をこぼさないスーパープレーを魅せた。


  1回表広島無死、近本光司外野手は野間峻祥外野手の中飛を好捕する=阪神甲子園球場
 近本光司外野手が超ファインプレーでプレーボール直後の甲子園を沸かせた。 1回、先頭の野間の打球は打球は詰まりながらも左中間方向へ。中堅手・近本は猛ダッシュで追いかけ、ダイビングキャッチ。体を回転させて倒れ込んだが、白球はつかんで離さなかった。すぐさま立ち上がって、ファンの歓声に応えた。超ファインプレーで同郷・淡路島の後輩・村上を救った。今季の甲子園開幕戦、その最初のプレーでスタンドを沸かせた。村上は続く矢野を 2ゴロ、そして小園を捕邪飛に仕留め、立ち上がりを無得点で抑えた。


  1回表広島無死、近本光司外野手は野間峻祥外野手の中飛を好捕する=阪神甲子園球場
 100周年を迎えた阪神甲子園球場に、セ・リーグ連覇を目指す阪神が帰ってきた。歴史の今を突き進むチームに欠かせない象徴が、投手戦の均衡を打ち破った。近本が芯で捉えた当たりは右翼線へ転がり、先制の適時打となった。
 「いい流れで回ってきた打席だったので、初球から積極的に打ちにいきました」
  5回に岡田阪神の〝黄金パターン〟がばっちり機能した。先頭の8番・木浪が先発の床田から右前打を放って出塁。続く投手の村上は 1球で犠打を成功させ、一死 2塁として近本がこの日の第 3打席を迎えた。


  5回、右翼へ先制適時打を放った近本光司外野手=阪神甲子園球場
 床田が初球に投じた直球を迷わず狙い打ち、鋭いライナーが右翼線を襲った。木浪は悠々生還。 2塁を狙った近本はリプレー検証の末にアウトとなったが、スコアボードに貴重な「1」を刻んだ。 4回まで 2度得点圏に走者を置くも無得点と、停滞した雰囲気をひと振りで脱出。下位でチャンスを作り、上位で得点を加える攻撃で今季も相手を苦しめた。
 1924年 3月に起工式が行われ、同年 8月 1日に竣工(しゅんこう)式を実施。「甲子園大運動場」と命名された球場が、球団よりも長い歴史を紡いできた。そんな甲子園100周年のレギュラーシーズン初戦。試合前日から当日のチケット販売なしがアナウンスされ、席を埋め尽くしたファンが選手に声援を送った。


  5回裏阪神一死 2塁、近本光司外野手は右適時打を放った=阪神甲子園球場
 メモリアルな聖地の芝の上に立ち、近本は 1回のファーストプレーからエンジン全開だった。先頭の野間の打球は詰まりながらも左中間方向へ。中堅手の近本が猛ダッシュで追いかけ、ダイビングキャッチ。右足が芝生に引っかかったような形で体を回転させて倒れ込んだが、白球はつかんで離さなかった。駆け寄った木浪が両手でベンチに無事のサインを送り、心配した虎党から大歓声。ファインプレーで同郷・淡路島の後輩である村上を救った。守備にとどまらず、バットでもきっちり役割を果たした。
 「(村上)頌樹も頑張って投げてくれていたので、先に点を取ることができてよかったです」
 〝淡路島コンビ〟が投打で甲子園を沸かせた。


 ヒーローインタビューで「淡路島ポーズ」を決める近本光司外野手と村上頌樹投手=阪神甲子園球場
 頼もしい村上の姿に、近本光司外野手の気持ちも突き動かされた。勝負は迷いなく初球で決める―。振り抜いたバットから放たれた打球が右翼線へ転がる。誓いは果たされた。〝淡路島コンビ〟の先輩が後輩を勝たせる美技&決勝打で、試合前の会話通りにそろってお立ち台に上がった。
 「あいつが本当にいいピッチングしてくれていたので、なんとか1点を早めにというか、すぐ決めないとな、と」
 スコアボードに「0」が並ぶ投手戦を 5回に動かした。先頭の木浪が中前打で出塁し、村上が 1球で犠打を決める。後は任せますと、言葉は交わさずとも伝わった。先発・床田が初球に投じた直球を狙い打った。 1塁を回ると加速し 2塁を狙ったが判定はアウト。リプレー検証を経ても判定は覆らなかったが、ひと振りでこの日唯一の得点「1」を生みだした。
 「試合前にロッカーで『2人でお立ち台に立とうか』という話をしていたので、実現できてよかったです」

 


  5回、広島・菊池涼介内野手を空振り三振に抑えて叫ぶ、村上頌樹投手=阪神甲子園球場
 節目を迎える甲子園での戦いの幕開けも、この男に託された。温かい拍手に背中を押され、阪神・村上頌樹投手が美しく整備されたマウンドへ。笑顔が消えた今季初登板から中 6日、その右腕で100周年イヤーの時計を動かした。
 「声援はすごいので、それをしっかりと力に変えられるように、頑張っていきたい」
 登板前日の 8日は充満する熱気を想像し、意気込んでいた。序盤から直球でグイグイと攻め、ときには87キロも計測した超スローカーブも織り交ぜるなど、緩急を駆使しながら赤ヘル打線と相対した。まずは 1回を3者凡退で好発進。 2回は先頭・堂林を四球で歩かせたが、笑顔も見せるなど落ち着いていた。一死から田村に左前に運ばれ 1、 2塁とされても、坂倉はカットボールで 2ゴロ併殺に仕留めて無失点で切り抜けた。 3回以降はペースを握り、 5回二死 2塁のピンチも菊池をフォークで三振に斬り、先制点を与えなかった。


 甲子園のメモリアルイヤ-初戦で快投を見せた村上頌樹投手=阪神甲子園球場

 メモリアルイヤー、快幕! 阪神は 1- 0で広島に勝利し、 8月 1日に100周年を迎える甲子園の今季開幕戦を白星で飾った。先発した村上頌樹投手は、 7回をわずか 2安打に封じ今季初勝利。昨季、最優秀新人賞と最優秀選手賞を同時受賞して大ブレークを果たした右腕が本拠地で本領を発揮し、最高の形で勝率5割に戻した。
 大声援に背中を押されてマウンドに上がり、できあがっていた熱気をその右腕で膨らませた。MVP右腕の村上が貫禄を示す 7回2安打零封での今季初勝利。100周年のメモリアルイヤーを迎える甲子園の開幕戦で、祝福代わりの1勝だ。
 「前回の投球があったので、序盤は硬さもあったんですけど、 3回からは落ちついてしっかりと投げられたのは良かったかなと思います」
  1回先頭で野間に左中間方向へはじき返された打球は、近本が身を投げ出すようにしてダイビングキャッチしてくれた。同郷・淡路島の先輩の大ファインプレーに「あそこが 2塁打なのとアウトなのは全然違う。本当に助けられた」と奮い立った。 5回二死 2塁では菊池からフォークで三振を奪い、ピンチ脱出。床田との投手戦で一歩も引かず、打席では 5回に近本のV打につなぐ犠打を決めた。

 

 阪神の新外国人、ハビー・ゲラ投手(28)が 8回に登板し、 3人で片づけた。今季登板 5試合連続無失点。4ホールド目を挙げた。
  160キロ超の速球が武器の右腕。メジャー 55年間で通算61試合に登板しており、春季キャンプから岡田監督ら首脳陣の評判は高かった。
 球団関係者は日本野球にすぐに溶け込めた理由にゲラの考え方にあるという。「学ぼうという姿勢がすごい」。たとえばクラブハウスからグラウンドに向かうとき、報道陣が「グッドモーニング」と英語で言えば、必ずといっていいほど「オハヨウゴザイマス」と日本語で返す。逆に「おはようございます」と報道陣が言えば「グッドモーニング」-。
 米球界時代は2018年までは内野手としてプレーしていたが、頭の回転も速く、器用さを兼ね備えた助っ人といえる。


  8回に登板したハビー・ゲラ投手=阪神甲子園球場
 阪神は24年の虎が誇るダブル守護神「GI」コンビのお披露目に甲子園が沸いた。
 まずはゲラだ。 1- 0のしびれる展開で先発村上から 8回にバトンを受けた助っ人右腕。田村にワンバウンドのカットボールを振らせ、坂倉は 2ゴロ、菊池は詰まらせて遊ゴロと圧倒した。公式戦初見参の甲子園で大歓声を浴び「気持ち良かった。いい投球で、いい試合ができて勝ったので本当に最高」とクールに笑った。 9回を抑えた岩崎も二死から 1安打を許したが、危なげなく3セーブ目。岡田監督も左腕の姿に「もう普段通り」と頼もしげだった。

 

 阪神の甲子園開幕星の背景でハプニングが起きていた。先発した村上が 7回無失点で降板。 8回からゲラ、岩崎で零封リレーを完成させたが、なぜか救援コンビはリリーフカーに乗らず、自力でマウンドに向かっていた。
 試合後、球場関係者は試合前から故障したことを明かした。10日には復旧するというが、球団初のセ・リーグ連覇を目指すため、虎投は〝通常運転〟ができたようだ。

  9回、リリーフカーに乗らず走ってマウンドに行く岩崎優投手=阪神甲子園球場
 緊迫した場面で助っ人の名前がコールされる。満員の虎党が見つめるグラウンドに、新外国人のハビー・ゲラ投手が小走りで駆け出した。あれ、リリーフカーは?! まさかのアクシデントにも動じず、甲子園初登板を笑顔で振り返った。
 「気持ちよかったよ。いい投球もできたし、いい勝ち方、いい試合ができて最高だね」
  1点リードの 8回に登板。田村をスライダーで空振り三振に斬ると、坂倉も切れ味鋭いスライダーで 2ゴロ。菊池は 155キロ直球で遊ゴロに仕留めて、危なげなく広島打線をゼロに封じた。


 勝利し握手を交わす岩崎優投手と坂本誠志郎捕手=阪神甲子園球場
  1点差のまま 9回のマウンドに向かったのは岩崎優だ。こちらもゲラ同様、 1塁内野席とアルプス席の間にある通路から走ってマウンドへ。またも、リリーフカーに乗っていない…。実は、阪神サイドのリリーフカーはこの日、試合前の準備段階で車両故障が発覚。原因は不明だが、まさかのアクシデントに見舞われていた。
 ただ、ポーカーフェースの左腕も一切動じない。先頭の代打・上本を直球で空振り三振。二死から代打・會澤に左前打を浴びたが、最後は小園を 1球で 2ゴロに仕留めて今季3セーブ目。「抑えられてよかったです。ゼロならなんでもいい」と締めた。

 


  1回表広島二死、坂本誠志郎捕手は小園海斗内野手の捕邪飛を好捕する=阪神甲子園球場
  2試合ぶりスタメンマスクの坂本誠志郎捕手は、相手の打ち気をそらすスローカーブを交えて緩急をつけながら村上を巧みにリード。「投げられる器用さがあるから僕もサインを出せる。いろんなことをやって抑えるのはこれからも大事」とうなずいた。自身も邪飛をスライディングキャッチするなど好守で盛り立てての無失点ゲームに「みんなでカバーして 1- 0で勝ち切れたのはチームにとっても大きい」と接戦の勝利を喜んだ。


 広島に勝利し坂本誠志郎捕手と握手を交わす岩崎優投手=阪神甲子園球場
 坂本誠志郎捕手が村上の復調をサポートした。立ち上がりやや不安定だった右腕に、89キロのスローカーブを要求するなど工夫。 3回以降は安定感を取り戻した。
 「最初は逆球とかもあったけど、だんだんいつもの村上になったというか。いろいろなことをやって相手を抑えるのはこれからも大事。 1- 0で勝ち切れたのはチームとして大きい」。会心の 1- 0勝利をかみしめた。

 


 甲子園は超満員。ラッキーセブンの応援も盛り上がった=阪神甲子園球場
 阪神は10日の広島戦の入場券が完売したと発表した。甲子園開幕となったこの日は 4万2601人の観衆が詰めかけた中、近本の先制打で挙げた 1点を村上、ゲラ、岩崎のリレーで守り切り、勝率5割に戻した。

 

※ 4月10日の予告先発は、阪神・伊藤将司投手(27)―広島・アドゥワ誠投手(25)です。どちらに軍配が上がるか、楽しみですね。

 

 2024年シーズンのチームスローガン『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』

 リーグ優勝と日本一に輝き、王者として迎える2024年。
しかし王者といえど、野球に王道という道はない。ただ確かなことは、歩みを止めてはいけないということ。
 2024年も、阪神タイガースは挑戦をやめない。チャレンジャーとして、アレに向かって挑み続ける。
 そんな挑み続ける阪神タイガースの姿勢をスローガンにしたのが『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』です。

 

 

2024年 オープン戦順位表

 

2024年 公式戦順位表

 

2024年 日程表と結果(02月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(03月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(04月)

 

 

 

 

 

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