●この日の阪神―巨人の観客数が、チームのオープン戦史上最高の 4万1129人と発表された。今年に入って初めての「伝統の一戦」で、100周年を迎える甲子園がファンで埋め尽くされた。左翼側の外野席、ビジター席など、わずかに残されていた当日券もプレーボール30分前の午後 0時30分に全席完売が発表された。シーズン開幕を前に異例の盛り上がりとなった。当日券は左翼席の一部が売り出され、試合開始前に全席完売が発表された。球場関係者は驚いていた。阪神は開幕カードを戦う巨人との接戦を落とし、オープン戦9戦全敗となった。岡田彰布監督(66)はレアケースの大入りにも気にかけていなかった。開幕カードを戦う巨人との対戦。甲子園では開幕前最後となる一戦で、実数発表では初めて 4万人を超える 4万1129人の観客を集めた。ミスも絡んで接戦をものにできなかった。
●試合開始に先立ち、2023年シーズンで日本一に輝いたことを記念した「チャンピオンリング贈呈式」が行われた。選手会長の中野が粟井球団社長からチャンピオンリングを受け取った。
●阪神は巨人に敗れ、オープン戦開幕から9連敗を喫した。打線は 0― 3の 7回に「4番・1塁」で出場した大山悠輔内野手(29)の適時打などで 2点を返し、 2― 5とされた 8回にも 2点を追加したが、逆転まであと 1本が遠かった。投手は先発した岡留英貴投手(24=亜細亜大學OB)から 7投手が継投するブルペンデーとなり、ドラフト5位・石黒佑弥投手(22=JR西日本)が 1回無安打無失点に抑えるなどアピール。先発投手の調整の兼ね合いもあり、この日の阪神はブルペンデー。先発は岡留英貴投手。先頭の巨人吉川尚輝内野手(29)に中前打を許すも、続くオコエ瑠偉外野手(26)を 147キロ直球で 2直に仕留め、飛び出していた吉川尚も刺して併殺を奪った。 2回は4番岡本和真内野手(27)、5番ルーグネッド・オドーア内野手(30)の主軸も危なげなく抑えて 2回 1安打無失点。今春キャンプの投手MVPが、この日もしっかりアピールした。2番手で 3回に登板した守護神候補の岩崎優投手(32)も 1回 1安打無失点に抑えたが、 4回に登板した石井大智投手(26)が連打を浴び二死 2、 3塁から大城に 2点先制の右前適時打を献上した。この日はオープン戦では実数発表となった05年以降で初の 4万人超えとなる 4万1129人が来場。大勢のファンが駆けつけたが今季初白星はならなかった。
●中野拓夢内野手(27)は 7回の第 4打席で菊地の初球を右足脛に受け、 1塁へ歩いた後、代走を送られた。試合後は問題なしを強調。
●木浪聖也内野手(29=亜細亜大學OB)と中野拓夢内野手が好連係で沸かせた。 7回無死 1塁、 2遊間の打球に木浪が追いつき、 2塁にグラブトス。高めにそれたが、中野がジャンプして素手でつかみ、すぐ 2塁ベースを踏んでアウトにした。グラブ→素手という通常と逆のアクロバティックなプレー。 1塁はセーフとなったが、曲芸のような 2人の息の合ったプレーに、 4万1129人が集まった甲子園が沸いた。
●大山悠輔内野手(29)が4番の仕事をした。 3打席凡退で迎えた 7回。制球難と敵失でもらった一死 1、 2塁から 3遊間を抜く当たりで 1点を奪った。一気呵成(かせい)のムードを作り、数少ない見せ場となった。森下翔太外野手(23)、佐藤輝明内野手(24)とともに5打席ずつ立ってフル出場。安打はこの 1本だけだったが、変わらず状態向上に専念する。適時失策を喫した佐藤輝明内野手が再特訓を誓った。 1点ビハインドの 8回二死 1塁。 5番佐々木俊輔外野手(24)が放った 3ゴロを前に出て捕球。しかし送球は 1塁手大山のグラブ側にそれ、一気に走者生還。前を向いた。沖縄キャンプでは計 515分の特守を敢行。守備を磨いてきただけに、悔しいミスとなった。馬場敏史内野守備走塁コーチ(59)は再度練習でのレベルアップをうながした。
●ブルペンデーの先発を託された岡留英貴投手が 2回 1安打無失点の好投。 2回先頭で岡本をツーシームで左飛、新外国人のオドーアを 148キロの直球で中飛に仕留めた。春季キャンプの投手MVPに選ばれ、実戦では5試合連続無失点。開幕 1軍入りをほぼ手中に収め、意気込んだ。激戦の中継ぎ陣の中で、高い評価は不動だ。
●岩崎優投手がスローボールを連発した。 3回に登板し 1安打無失点。いつも通り、どの球種も精度が高かったが、この日は 100キロ前後のスローカーブを多投。手応えについては明言を避けた。安定感を示し続ける昨季セーブ王は、甲子園の大観衆に感謝した。頼れる守護神が投じたのは、球速 100キロを切って大きな弧を描く変化球。昨季ほとんど見せなかった〝新球〟の一端を明かした。昨季は 140キロ中盤の直球と 130キロ前後のスライダー、チェンジアップを中心に投げ、最多セーブ(35S)のタイトルを獲得。実績十分の左腕は、今季の開幕カードでも対戦する巨人を相手に違う顔をのぞかせた。存在感を示した守護神がシーズンでも相手を手玉に取り、満員の甲子園で白星を届ける。

●阪神のドラフト5位・石黒佑弥投手(22=JR西日本)が 6回に登板し、 1回無失点で上々の甲子園デビューを果たした。
 小気味いいフォームから力強いボールを投げ込んだ。先頭のオコエを詰まらせて遊飛で打ち取り、続く増田陸内野手(23)はボテボテの投ゴロで仕留めた。最後は代打・萩尾匡也外野手(23)に対してこの日最速となる 150キロの直球で追い込むと、最後は 135キロのフォークで空振り三振。完璧な投球を披露し、ファンの大きな拍手に包まれた。
開幕ブルペンに滑り込む余地はある。先頭打者に四球を与えるなど 1回 2失点(自責点0)の浜地真澄投手(25)、前日 9日の東京ヤクルト戦で 3四死球と乱れた岩貞祐太投手(32)、無失点ながら調子の上がらないドラフト2位椎葉剛投手(21=四国IL・徳島インディゴソックス)は千葉ロッテ戦には同行せず、 2軍で再調整することになった。今後のアピール次第では、一気にリリーフ陣に割って入る可能性も十分だ。石黒は力を込めた。チャンスをつなげた一戦。このまま大まくりで1軍切符をつかむ。超満員の甲子園から出発進行だ。
●阪神のドラフト6位・津田淳哉投手(22=大阪経済大學)が 7回に登板し、 1回 3安打 1失点だった。 7回に5番手で登板。単打 3本を許し、粘り切れなかった。先頭のD3位・佐々木に中前にポトリと落とされる安打を許し、続く岸田行倫捕手(27)の当たりは 2遊間へ。木浪が捕球してトスし、これを中野が素手でつかむ美技でアウトをひとつ取った。守備に助けられた津田だったが、二死から泉口友汰内野手(24)に右前打を浴び、さらに秋広優人外野手(21)に左前へ運ばれ 1失点。レベルアップを誓った。

記事をまとめてみました。

 

 

 オープン戦<阪神 4― 5巨人>◇10日◇阪神甲子園球場
 この日の阪神―巨人の観客数が、チームのオープン戦史上最高の 4万1129人と発表された。今年に入って初めての「伝統の一戦」で、100周年を迎える甲子園がファンで埋め尽くされた。左翼側の外野席、ビジター席など、わずかに残されていた当日券も午後 0時30分に完売。シーズン開幕を前に異例の盛り上がりとなった。


  4万1129人を集めた甲子園球場
 開幕前最後の甲子園で、日曜日の巨人戦。オープン戦としては異例の売れ行きだった一戦は、プレーボール30分前の午後 0時30分に全席完売が発表された。
 当日券は左翼席の一部が売り出されていた。


 ベンチからグラウンドを見る岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 観衆が4万1129人と発表された。
 甲子園のオープン戦では実数発表となった05年以降で最多。初めて 4万人を超えた。
 開幕前最後の甲子園で、日曜日の巨人戦、しかも晴天と条件に恵まれた。これまでは10年 3月14日の巨人戦での 3万2741人が最多だった。当時も日曜日の巨人戦という同条件だった。
 当日券は左翼席の一部が売り出され、試合開始前に全席完売が発表された。球場関係者は「オープン戦で完売すること自体が珍しい」と驚いていた。


 満員の阪神甲子園球場
 阪神は開幕カードを戦う巨人との接戦を落とし、オープン戦9戦全敗となった。実数発表では初めて 4万人を超える 4万1129人の観客を集めたが、今季初勝利を届けられなかった。
 球団関係者は日本一の効果を実感。一方、岡田彰布監督はレアケースの大入りにも「営業の話やん。俺らになんにも返ってけえへん」と、気にかけていなかった。


  8回、交代を告げる岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 オープン戦9戦全敗となった岡田彰布監督は淡々としていた。
 「これ、 1カ月、甲子園帰ってけえへんからな。クリーンアップだけは最後残しとこうとうな。お客さん用にな」と話した。
 「済んだことは仕方ない」という質問には「別にそんな(笑い)」と気にするそぶりは見せなかった。
 開幕カードを戦う巨人との対戦。甲子園では開幕前最後となる一戦で、実数発表では初めて 4万人を超える 4万1129人の観客を集めた。ミスも絡んで接戦をものにできなかった。

 

 試合前に「チャンピオンリング贈呈式」が行われ、昨季日本一チームの阪神にチャンピオンリングが贈られた。
 日本一までのVTRがオーロラビジョンに流れ、選手会長の中野拓夢内野手(27)が粟井一夫球団社長から代表でリングを受け取った。


 試合前、粟井一夫球団社長からチャンピオンリングを贈呈される中野拓夢内野手(右)=阪神甲子園球場
 試合開始に先立ち、2023年シーズンで日本一に輝いたことを記念した「チャンピオンリング贈呈式」が行われた。昨季を振り返る約 1分間の映像がバックスクリーンに映し出され、選手会長の中野が粟井球団社長からチャンピオンリングを受け取った。チャンピオンリングの関連商品は阪神タイガース公式オンラインショップT-SHOPにて受注販売されている。

 


 満員の阪神甲子園球場で阪神はオープン戦開幕9連敗
 阪神は巨人に敗れ、オープン戦開幕から9連敗を喫した。打線は 0― 3の 7回に「4番・1塁」で出場した大山悠輔内野手の適時打などで 2点を返し、 2― 5とされた 8回にも 2点を追加したが、逆転まであと 1本が遠かった。投手は先発した岡留から 7投手が継投するブルペンデーとなり、ドラフト5位・石黒佑弥投手が 1回無安打無失点に抑えるなどアピール。それでも終盤に失策が重なって点差を広げられるなど、不安定な戦いが続いた。今季最後の甲子園でのオープン戦で 4万1129人が来場するも、白星をつかむことはできなかった。


  8回表を終えベンチで帽子を取る岡田彰布監督(右)と左は平田勝男ヘッドコーチ=阪神甲子園球場
 阪神はシーズン前の甲子園最終戦で敗れ、オープン戦開幕から9連敗となった。オープン戦での9連敗は、65年以降で球団ワーストとなった。
 先発投手の調整の兼ね合いもあり、この日の阪神はブルペンデー。先発は岡留英貴投手。先頭の巨人吉川尚に中前打を許すも、続くオコエを 147キロ直球で 2直に仕留め、飛び出していた吉川尚も刺して併殺を奪った。 2回は4番岡本、5番オドーアの主軸も危なげなく抑えて 2回 1安打無失点。今春キャンプの投手MVPが、この日もしっかりアピールした。
 2番手で 3回に登板した守護神候補の岩崎優投手も 1回 1安打無失点に抑えたが、 4回に登板した石井大智投手が連打を浴び二死 2、 3塁から大城に 2点先制の右前適時打を献上した。


  8回、交代を告げた岡田彰布監督=阪神甲子園球場
 打線も 5回に二死満塁、6回に二死 1、 2塁と好機をつくるも後続が倒れて無得点。 7回一死 1、 2塁から敵失と大山悠輔内野手の適時打で 1点差とするも、その直後の 8回にマウンドに上がった浜地真澄投手(25)が先頭に四球。二死 1塁から、佐藤輝の失策と適時打で再び 2点を失った。その直後に植田海内野手(27)の適時打から再び 1点差に詰め寄ったが、追いつくことはできなかった。
 この日はオープン戦では実数発表となった05年以降で初の 4万人超えとなる 4万1129人が来場。大勢のファンが駆けつけたが今季初白星はならなかった。

 


  7回、死球を受けた中野拓夢内野手=阪神甲子園球場
 中野拓夢内野手は 7回の第 4打席で菊地の初球を右足脛に受け、 1塁へ歩いた後、代走を送られた。試合後は「全然大丈夫です」と問題なしを強調。直前、 7回の守備では好守をみせた。無死 1塁でゴロをさばいた遊撃・木浪のグラブトスが高く浮いたがジャンプして右手でつかむと、右足で 2塁封殺。「どこにトスが来てもいいように準備していた。うまく対応できた」とうなずいた。

 


 中野拓夢内野手=阪神甲子園球場 (2024年 3月 8日撮影)
 木浪聖也内野手と中野拓夢内野手が好連係で沸かせた。
  7回無死 1塁、 2遊間の打球に木浪が追いつき、 2塁にグラブトス。高めにそれたが、中野がジャンプして素手でつかみ、すぐ 2塁ベースを踏んでアウトにした。グラブ→素手という通常と逆のアクロバティックなプレー。
 中野は「(木浪が)あまり角度がない体勢だったので。どこでも来てもいいように準備していた」。 7回に右脚に死球を受け代走を出されたが「全然大丈夫です」と笑顔だった。


 木浪聖也内野手 (2024年 2月23日撮影)
 「キナナカ」コンビが好守で観客を沸かせた。
  2点を追う 7回表の守備。左中間へ抜けそうな当たりを遊撃手の木浪聖也内野手(29=亜細亜大學OB)が飛びつき、 2塁手の中野拓夢内野手にグラブトス。送球が高めにそれたが、中野がジャンプし素手キャッチ。すぐさま 2塁ベースを踏むと 1塁へ素早く送球した。
  1塁はセーフとなったが、曲芸のような 2人の息の合ったプレーに、 4万1129人が集まった甲子園が沸いた。SNSでも「何あれ。サーカスか」「木浪と中野息ぴったり」などの声が上がっていた。

 


  7回裏阪神一死 1、 2塁、大山悠輔内野手は左前に適時打を放った=阪神甲子園球場
 大山悠輔内野手が4番の仕事をした。
  3打席凡退で迎えた 7回。制球難と敵失でもらった一死 1、 2塁から 3遊間を抜く当たりで 1点を奪った。一気呵成(かせい)のムードを作り、数少ない見せ場となった。
 森下、佐藤輝とともに5打席ずつ立ってフル出場。安打はこの 1本だけだったが「しっかり反省して、次に向けて準備したいです」と、変わらず状態向上に専念する。


  8回、佐藤輝明内野手の乱れた送球を名手・大山悠輔内野手も捕球できず=阪神甲子園球場
 阪神は 2― 3で迎えた 8回、ミスも重なって 2点を失った。また守備のほころびが失点につながった。この回マウンドに上がった浜地が先頭のオコエに四球を与えると、二死から佐々木の打球は 3塁へ。これをさばいた佐藤輝が 1塁に悪送球し、走者が生還して 1点を失った。浜地は続く岸田に右前適時打を浴びさらに 1失点。 7回に 2点を返した直後、ミスからすぐに突き放された。


  8回表巨人二死 1塁、佐々木俊輔外野手の 3ゴロで、佐藤輝明内野手(右から 2人目)の悪送球の間に一気にホームを狙う 1走オコエ瑠偉外野手(左端)=阪神甲子園球場
 適時失策を喫した佐藤輝明内野手が再特訓を誓った。 1点ビハインドの 8回二死 1塁。 5番佐々木が放った 3ゴロを前に出て捕球。しかし送球は 1塁手大山のグラブ側にそれ、一気に走者生還。「もう練習するしかないので。頑張ります」と前を向いた。
 沖縄キャンプでは計 515分の特守を敢行。守備を磨いてきただけに、悔しいミスとなった。馬場内野守備走塁コーチは「ベースより前にいった打球に対して、ちゃんと腰を切って、こっち側(外野側)に投げようとしないと真ん中に飛ばない。前に行くという勢いがあるとどうしても」と要因を分析。続けて、「やり直し。練習ではうまくいっても試合で出ないと。本人は反省していると思うので、また練習していかないと」と再度練習でのレベルアップをうながした。

 


 阪神先発の岡留英貴投手=阪神甲子園球場
 ブルペンデーの先発を託された岡留英貴投手が 2回 1安打無失点の好投。 2回先頭で岡本をツーシームで左飛、新外国人のオドーアを 148キロの直球で中飛に仕留めた。「どんどん当たって投げていくと思うので。これからも頑張ります」。春季キャンプの投手MVPに選ばれ、実戦では5試合連続無失点。開幕 1軍入りをほぼ手中に収め、「真っすぐと変化球の精度をもっと上げていきたい」と意気込んだ。

  1回、巨人・丸佳浩外野手の打球を捕球する岡留英貴投手=阪神甲子園球場
 「リリーフデー」の先発を務めた岡留英貴投手が、 2回無失点と好投した。初回先頭に安打されたが 2直併殺で切り抜け、 2回は外野フライ 3本。 6人で片付けた。
 「直球も変化球も意図したところに投げられました。(先発で)緊張しましたけど、普通に大丈夫でした。球数もそこまで多くないですし、ストライク先行で投げられた」と胸を張った。激戦の中継ぎ陣の中で、高い評価は不動だ。

 


  3回、2番手でマウンドへ向かう岩崎優投手=阪神甲子園球場
 岩崎優投手がスローボールを連発した。
  3回に登板し 1安打無失点。いつも通り、どの球種も精度が高かったが、この日は 100キロ前後のスローカーブを多投。「ちょっとまあ、試す感じでした」と話し、手応えについては明言を避けた。安定感を示し続ける昨季セーブ王は、甲子園の大観衆に「すごかったですね。気持ちの入りが変わってくる」と感謝した。


  3回、門脇誠内野手への 2球目でスローカーブを投げる岩崎優投手=阪神甲子園球場
 試合の最終盤に聞き慣れた岩崎の登場曲が、真っ昼間の 3回に響いた。頼れる守護神が投じたのは、球速 100キロを切って大きな弧を描く変化球。昨季ほとんど見せなかった〝新球〟の一端を明かした。
 「カーブみたいなものですね。昨シーズンもたまにやっていましたけど、ちょっとまあ試す感じで」
  3回に2番手で登板。先頭の門脇への 2球目に投じたスローカーブは93キロを記録。続く泉口への初球も大きく沈むカーブで、球速は計測されなかった。秋広にも 101キロと98キロのカーブを見せ、この日は 130キロ台後半だった直球との緩急を駆使。三者凡退に抑え、これでオープン戦は 2戦続けて無失点だ。


 甲子園の電光掲示板には93キロの球速が表示された=阪神甲子園球場
 昨季は 140キロ中盤の直球と 130キロ前後のスライダー、チェンジアップを中心に投げ、最多セーブ(35S)のタイトルを獲得。実績十分の左腕は、今季の開幕カードでも対戦する巨人を相手に違う顔をのぞかせた。
  2月の春季キャンプは中盤まで 2軍で過ごすなど、調整を任された立場だったが、実戦での結果は上々。岡田監督は「ゲラ、岩崎は最後の方になると思うけど、それ(順番)までは決めてない」と話した。この時期ですでに 150キロ中盤の直球を投げるゲラと、変化球を試しながら投球の幅を広げる岩崎。試合の最終盤に剛と柔を操る 2人が並び立つ。
 岩崎はオープン戦ながら 4万人を超える大観衆に「ちょっと気持ちの入りが変わってくるので、ありがとうございます」と感謝を語った。存在感を示した守護神がシーズンでも相手を手玉に取り、満員の甲子園で白星を届ける。

 

 阪神のドラフト5位・石黒佑弥投手が 6回に登板し、 1回無失点で上々の甲子園デビューを果たした。
 小気味いいフォームから力強いボールを投げ込んだ。先頭のオコエを詰まらせて遊飛で打ち取り、続く増田はボテボテの投ゴロで仕留めた。最後は代打・萩尾に対してこの日最速となる 150キロの直球で追い込むと、最後は 135キロのフォークで空振り三振。完璧な投球を披露し、ファンの大きな拍手に包まれた。


 石黒佑弥投手は上々の甲子園デビューを飾った=阪神甲子園球場
 阪神ドラフト5位石黒佑弥投手が開幕 1軍入りに急浮上だ。 6回にオープン戦初登板。超満員の甲子園デビュー戦を危なげない投球で三者凡退に締めくくった。
 「緊張で制球良く投げることはできなかったんですけど。力で押すじゃないけど、新人らしい勝負はできたと思います」
 二死からは代打萩尾に鋭く落ちる 135キロフォークで空振り三振。 1回計10球を投じ、最速は 150キロを計測した。岡田監督は「ええ、悪いもクソも明日から連れて行くよ。千葉に」と12日からの千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)の 1軍同行を明言。さらに「木浪が『エグいフォークです』言うとったわ」とナインの証言を披露した。キャンプは 2軍で過ごしただけにこのタイミングで「投げさせて良かったよ、ホンマに」と収穫アリだ。


 阪神4番手の石黒佑弥投手=阪神甲子園球場
 開幕ブルペンに滑り込む余地はある。先頭打者に四球を与えるなど 1回 2失点(自責点0)の浜地、前日 9日の東京ヤクルト戦で 3四死球と乱れた岩貞、無失点ながら調子の上がらないドラフト2位椎葉は千葉ロッテ戦には同行せず、 2軍で再調整することになった。今後のアピール次第では、一気にリリーフ陣に割って入る可能性も十分だ。石黒は「チャンスをもらえる分には、そこでいい成績を残して評価してもらえるように。準備を怠らずにやっていきたい」と力を込めた。
 超満員の中で果たした甲子園初登板。「お客さんとかを見て『わ!すごいな』という方が勝って。気楽じゃないけど、いい緊張感を持ったまま投げられました」とさわやかに振り返った。チャンスをつなげた一戦。好投を重ね、一気に開幕切符をつかむ。


  1回無失点の石黒佑弥投手=阪神甲子園球場

 あるぞ、開幕 1軍切符! 阪神は球団ワーストをさらに更新する開幕9連敗となったが、ドラフト5位・石黒佑弥投手がオープン戦初登板で 1回無安打無失点と好投。オープン戦では甲子園史上最多となる 4万1129人が詰めかけた〝お披露目登板〟でチャンスをつかみ、岡田彰布監督は 1軍帯同を明言した。
 スタンドを埋めつくした虎党の視線がマウンドに注がれる。消えるように落ちた白球に相手のバットは空を斬った。〝お披露目〟だけで終わらない。大歓声を背に小走りでベンチへ戻った石黒に待っていたのは 1軍への〝座席〟だった。
 「緊張しながら入ったんですけど、お客さんを見て、『わっ、すごいな』って。気楽じゃないですけど、いい緊張感を持ったまま投げられました」
 オープン戦では甲子園史上最多 4万1129人が詰めかけた開幕カードとなる伝統の一戦。 6回、ルーキー右腕の名前が場内にコールされる。わき起こる拍手に心地よさを感じながらマウンドへと向かった。


  6回表巨人一死、石黒佑弥投手は増田陸内野手(左)の打球を捕球する=阪神甲子園球場
 「最初 2ボールになって、焦りもあったんですけど、そこから修正して、結果抑えられたのでよかった」
 先頭のオコエはカウント 2- 1から 145キロ直球で詰まらせ遊飛。続く増田陸は「岩崎さんから『なるべく投手付近は自分でさばいた方がいい』といわれた」と先輩の助言を生かし、華麗なフィールディングで投ゴロに仕留めた。最後は代打・萩尾をフォークで空振り三振。オープン戦&甲子園初登板は虎党にその名を刻むには十分すぎる内容だ。
 圧巻の投球でその心を射貫いたのはもう一人。岡田監督は「投げさせてよかったよ。木浪が『エグいフォークです』と言うとったわ」と手放しでほめたたえた。この日の試合前には甲子園で新入団選手紹介が行われ、その流れで決まった 1軍マウンド。もともとは〝お披露目登板〟だけの予定だったが、輝く原石を見た指揮官は「明日から連れて行くよ、千葉に。そんなん当たり前やん」と12日からの千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)での 1軍帯同を明言した。
 開幕 1軍メンバー選定へ、ふるいにかける意味合いも強かった甲子園でのオープン戦 4試合。球団ワーストの9連敗が象徴するように中継ぎ陣は精彩を欠き、シーズンへの不安を露呈させた。そんな中、さっそうと現れ、ワンチャンスをつかんだ若虎は希望の光-。石黒は 2月の春季キャンプは 2軍具志川スタートも、ファーム首脳陣から高い評価を得ていた。


  6回表巨人一死、石黒佑弥投手は増田陸内野手の打球に飛びつき投ゴロに打ち取る=阪神甲子園球場
 「アドレナリンも出ていたので」と振り返ったこの日の最速は 150キロを計測。力強い直球にカットボール、そしてフォーク、カーブ、スライダーと多彩な変化球を駆使する。今春の実戦では5試合を投げて防御率1.80。主に先発だったJR西日本時代は駅員として、改札やホームの安全確保に努めた右腕。安心安定の投球が持ち味だ。
 「チャンスをもらえる分には、そこでしっかりいい成績評価をしてもらえるように、準備を怠らずにやっていきたい」
 このまま大まくりで1軍切符をつかむ。超満員の甲子園から出発進行だ。

★阪神のリリーフ陣事情
 岡田監督は今季の中継ぎ構想について、前日 9日に「 8人やからな。(現状から) 3、 4人は削らなあかんわけやからな」と話していた。石黒の 1軍昇格に伴い、 9日のヤクルト戦で 1回 3四死球 3失点の岩貞、D2位・椎葉(四国IL徳島)らが遠征帯同メンバーから外れる可能性がある。リリーフ陣の開幕ブルペンは、安定した投球を見せている岩崎、ゲラ、岡留のほか、桐敷、加治屋、島本は有力。石井、浜地らはメンバー入りに向けてアピールが必要になってくる。

 

 阪神のドラフト6位・津田淳哉投手が 7回に登板し、 1回 3安打 1失点だった。先頭のD3位・佐々木に中前にポトリと落とされる安打を許し、続く岸田の当たりは 2遊間へ。木浪が捕球してトスし、これを中野が素手でつかむ美技でアウトをひとつ取った。守備に助けられた津田だったが、二死から泉口に右前打を浴び、さらに秋広に左前へ運ばれ 1失点。なお 1、 3塁のピンチで湯浅は 3ゴロに打ち取り切り抜けた。

  7回、5番手で登板した津田淳哉投手=阪神甲子園球場
 阪神ドラフト6位の津田淳哉投手は緊張の甲子園デビューで 1回 1失点だった。
  7回に5番手で登板。単打 3本を許し、粘り切れなかった。「こんなお客さんの前で投げたことがなかったので不思議な感じでした。悔しいの一言。もっと押せる直球を身につけないと通用しない。いつも通りに投げられたので、ただ力不足」とレベルアップを誓った。


  7回、巨人・秋広優人外野手に適時打を許す津田淳哉投手=阪神甲子園球場
 阪神D6位・津田淳哉投手は 7回に甲子園初登板。 1回 3安打 1失点だった。二死 1塁から泉口、秋広に連打されての失点に「点を取られたこと、ピンチで粘り切れなかったのは悔しかった」と唇をかんだ。 4万人を超える観衆の前で投球を披露し「今までこんな人数のお客さんの中で投げたことがなかったので不思議な感じだった。とてもいい経験になった。また早くあの舞台で投げたい」と前を向いた。

 

 2024年シーズンのチームスローガン『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』

 リーグ優勝と日本一に輝き、王者として迎える2024年。
しかし王者といえど、野球に王道という道はない。ただ確かなことは、歩みを止めてはいけないということ。
 2024年も、阪神タイガースは挑戦をやめない。チャレンジャーとして、アレに向かって挑み続ける。
 そんな挑み続ける阪神タイガースの姿勢をスローガンにしたのが『A.R.E. GOES ON(えーあーるいー ごーずおん)』です。

 

 

2024年 日程表と結果(02月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(03月)

 

2024年 公式戦日程表と結果(04月)

 

 

 

 

 

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