友人であり、ゼミの仲間である原君。彼は、友活というイベントを企画して実行し、大成功を収めた。そんな彼は「市民」と「まちづくり」をキーワードに卒業論文の執筆を行うそうだ。言わずもがな、私も「まちづくり」やいわゆる「都市計画」などにも関心がある。といっても、多くの人が想像する「自治体」の枠にとどまらない広義の「コミュニティ」にも関心がある。
さて、今回は一本の論文を紹介したい。以下に示した論文は公園都市、各務原市について書かれている。たまたま各務原市について調べていた時に見つけたものだ。執筆者は中部大学の教授と学生である。
横山民斗,岡本肇「“公園都市”各務原市における住み手の身近な公園の利用実態と緑空間の評価- 世代別の比較に着目して -」『日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集』第33巻,2022,pp.15-18https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpijchubu/33/0/33_15/_pdf/-char/ja
この論文では、各務原市那加雄飛ヶ丘町、つつじが丘が研究対象地となった。研究結果については横山・岡本(2022)を読んだいただきたいが、中でも注目したいのが「若者」の「緑空間」への評価が低いことである。
横山・岡本(2022)では「若者」の明確な定義は無いもののグラフ作成の際、40歳未満との表記が見られる。そのため40歳未満を「若者」と定義していると推察できる。また、有効回答サンプル146のうち、10代は1(人)、20代は3(人)、30代は7(人)、40代は15(人)となっている。未満とはその数に達しないことであるため、40歳未満の回答者数は11(人)である。
では「緑空間」とは何か。三浦(1998)では「公園緑地等の樹木・樹林を主体とする空間を、以下、『緑空間』と呼ぶこととする。ただし、グランド,水面等の樹木・樹林の存在しないオープ ンスペースは、線空間とは別のものであり、研究の対象から除外する。」としているため、今回はこの定義を採用したい。簡単に言い換えれば、樹木・樹林の存在する公園といえよう。
さて以上を確認して、「若者の緑空間への評価が低い」とはどういうことか。これは横山・岡本(2022)が指摘するように、緑空間が若者にとって魅力的で無いことを表している。しかしながら、これは上記論文が調査した公園という限定付きだ。というのも、各務原市の中心的な公園といえる「各務原市民公園」は若者の集い場となっている。事実、「各務原市民公園」は図書館が併設され館内では老若男女が読書や学習をしている。また、公園内では子どもと親が共に余暇を楽しんでいる。ゆえに、公園によって緑空間への評価は変動しそうだ。
しかしながら、緑空間が若者のニーズに応えられていないのではないかという指摘は的を射ている。今後はさらに、緑空間が若者にとってどのような役割を果たすのか検討が必要である。また、各務原市民公園では各種イベントが多く開催されているため「緑空間」という「安らぎ」の場所というより「催し事」の場所として機能し、認識されていそうだ。それとは対象的に「学びの森」はその名の通り、広大な芝生と竹林、木々が生い茂る。この公園ごとの特色も魅力の1つになり得るかもしれない。
個人的には、自治会・町内会単位の公園数は適切であるのかと質的調査が必要であると思う。それと同時に、「大きな公園」と「小さな公園」の役割の違いがあれば、それはどのようなものかについても考察したいた思う。また、「公園」が我々「ヒト」、ホモ・サピエンスにどのような影響を及ぼすのか気になるところである。
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