「うめだっ子」にとってあまりに衝撃的なニュースが飛び込んできました。





茶屋町のシンボルであった「梅田ロフト」が令和7年(2025年)春をもって営業終了するとの報。

1階から8階までの8フロアで約1600坪(5283㎡)の大型店で、フラッグシップの渋谷ロフトとほぼ面積は変わりません。



同店はロフト1号店である渋谷ロフトに次ぐ西のフラッグシップとして、平成2年(1990年)4月、まだ長屋が立ち並ぶ梅田・茶屋町に開業、忽ちのうちに若者でごった返す人気店となりました。まだ当時、幼かった私も父親に連れられてジグソーパズルや車のプラモデルなどを勝ってもらった記憶があります。



茶屋町再開発の軌跡。


その後の茶屋町の変化は凄まじく、同年9月には毎日放送(MBS、TBS・ニッポン放送系)が新社屋を開設します。

平成4年には阪急不動産とコマ・スタジアム(両社とも当時)が共同開発した、ホテル・オフィス・ショッピング・グルメと2つの劇場を持った「ちゃやまちアプローズ」がオープン。

中核をなすアプローズタワー1階ガレリアには阪急百貨店が「アプローズタワーインターナショナルブティック」を、1階から6階および25階から34階には日本ではじめてのラグジュアリークラスのホテル「ホテル阪急インターナショナル」が開業しました。




平成17年(2005年)には阪急電鉄によって阪急梅田駅茶屋町口に面したロケーションにファッションビル「NU(ヌー)茶屋町」が、平成23年(2011年)にはその隣接地に高層マンション「ジオタワー梅田」「NU茶屋町プラス」をオープンさせ、一気におしゃれエリアへと変貌。



阪急電鉄が開発したファッションビル「NU茶屋町」。

ポストモダン様式のファサードが目を引く。



NUプラス開業の前年、平成22年(2010年)には大阪東急ホテル跡地に安藤忠雄さんの建築デザインが目を引く「チャスカ茶屋町」がオープン。美しいチャペルが人気のウェディングホテル「アルモニーアンブラッセ大阪」と国内最大の書店「MARUZEN&ジュンク堂書店」が入居しています。



NU茶屋町のテラスから見下ろす茶屋町のまちなみ。



時代の波に…。


もともとは狭隘な道路に所狭しと建つ長屋と、阪急百貨店の商品センターがあった場所がおおよそ20年かけて再開発され、一躍トレンドスポットとなった茶屋町。しかし平成23年(2011年)に開業したJR大阪駅前の「ノースゲートビル」を皮切りに、阪急本店の建替開業、グランフロント大阪のオープンなど、梅田エリア内における地域間競争の中で茶屋町は非常に厳しい時期を迎えます。折しもライバルであった東急ハンズ(当時)は平成23年(2011年)に大丸梅田店の増床部、10階〜12階に梅田ロフトに匹敵する1500坪クラス、10万SKUの大型店を開設、その約3週間後には今度はロフトがルクア内に「ルクア大阪ロフト」をオープンさせ、大阪駅前に「ハンズ」「ロフト」が集積することになり、梅田ロフトは一気に集客力を失うも、インテリアや家庭用品、バラエティ雑貨で他店の追従を許さない商品ラインナップを維持しつづけました。



大阪駅の北側には新たなショッピングエリアが。

(手前がJRのノースゲートビル、奥がグランフロント)



しかしロフトそのもののMD構成や出店戦略にも変化がみられていきます。大型家具、アート、趣味雑貨をやめて、ビューティー・生活雑貨・ステーショナリーなど強みにフォーカスしたMDをワンフロアで展開するという手法です。関西では神戸阪急の新館1階〜4階に入居していた「神戸ロフト」を令和4年(2022年)に4階のみに圧縮、1358坪から473坪となったほか、令和6年(2024年)には近鉄大阪阿部野橋駅至近の「あべのロフト」をあべのハルカス近鉄本店内に移転、やはりおよそ1000坪から320坪程度に圧縮展開が取られています。


ロフトとしては梅田ロフトの閉館で1000坪を超える大型店が関西からなくなることになります(関西最大の店舗は京都ロフトの776坪)。商圏を狭く捉えることで都市部に偏重した店舗展開からRSCも含めた郊外出店とのバランスを取るとともに、強みに特化したMDにより集客力を高め、より利幅が取れるロケーションへとリプレイスを試みているようです。業界内でのウワサの範疇でありますが、梅田ロフトの移転先として阪神梅田本店が有力??との情報も聞こえてきております。移転先においてはおそらく500坪程度、ワンフロア展開が図られるものと見ております。



神戸阪急新館4階に位置する「神戸ロフト」。

ワンフロアで雑貨も文具も同一フロアで展開。

(画像提供:ロフト)



まとめ〜将来の茶屋町〜。


茶屋町地区では東急不動産が新たに開発を進めるなどの動きに加えて、茶屋町地区最大の地主である阪急阪神ホールディングスグループが「梅田ビジョン」なるものを立ち上げ、2030〜40年にかけて所有ビルの建替、また隣接する阪急三番街の大規模リニューアルを含めるなどのかなり大掛かりな開発に着手するのだそう。この「梅田ロフトビル」の土地建物も実は隣に立地する毎日放送が令和3年(2021年)に取得していて、取得目的がわからないなかで社屋増設なのかなんらかの再々開発を企図しているのか、また今般の梅田ロフトのクローズが建物の所有権移転となんらかの関連性があるのかないのかも含めてさまざまな憶測を呼んでいます。



アプローズタワー地下の飲食店街も非常に厳しい…。



ただ、茶屋町は阪急梅田駅と若者に人気のエリアとして知られる中崎町に挟まれ、美しい景観をなす良い街区だと思うのですが、いかんせん、梅田の中心が西へ、北へと動くなかで、各施設ともにリーシングに苦慮しているという現実があります。茶屋町再開発のリードオフマンであったロフトのクローズが茶屋町埋没のトリガーとなってしまうのか、はたまた、これを契機に新たな茶屋町が見れるのか、今後も引き続き注視してまいります。



▶︎次回の記事は9/23(月)に公開します。



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