米シリコンバレーでコンサルティング会社を営んでおられるグレッグ・マキューンさんは「エッセンシャル思考」を提唱、書籍の出版もされていて、国内でも2014年に初版出版、一昨年に50万部を突破するロングセラーとなっています。


「エッセンシャル思考」とは?

そもそも「エッセンシャル思考」は99%の無駄を排して1%に集中するためのシステマティックな方法論だとしています。

本書においては、「エッセンシャル思考」と「非エッセンシャル思考」の差異を、大きく〈考え方〉〈行動〉〈結果〉と分けて考察しています。


「エッセンシャル思考」はプライオリティが決まっていて、かなりの部分を捨てる〈考え方〉、だから自分にとって大事なもの以外は断るし、やるにしても障害を見据えて予め取り除く〈行動〉、そして質の高い仕事、仕事内容をうまくコントロールしているために自分で正しい仕事をしている自負が生まれて毎日を楽しむ〈結果〉、というものだそうです。


一方で「エッセンシャル思考」はプライオリティが決まっていなくて来たものすべてを受け入れる〈考え方〉、そのため期限が迫ると根性でがんばり、何もかもが中途半端〈行動〉、自分が振り回されている感に陥り、何かがおかしいと思うがその理由すら見えず、人生に疲れ切ってしまう〈結果〉、となると記されています。


無駄を排するもうひとつの考え方。

エッセンシャル思考をひとことで無駄を嫌う合理主義と置き換えると、私もよく「定数」と「変数」という喩えを用いて無駄を排するように勧めることがあります。「定数」とは変えられないもの、あるいは変えるべきでないもの、「変数」は変えられるもの、あるいは変えるべきものとの考え方です。そこをしっかり切り分けること。たとえば「きょうは雨である」、これは変えられないこと(※私は「ビジネスにおける初期的条件」と呼称する)なので、雨の日でも売上を立てられるための努力を、与えられた経営資源の中でやっていくこと……たとえば雨の日はポイントを2倍つけましょうとか、雨の日に来てくれたお客様にノベルティをつけるとか、もっと資金力があって、雨の影響を極小化させたいならば駅から濡れずに来店できるロケーションに店舗を設ける、といったことであります。


「雨が降る」というとても平たい喩えをお示ししましたが、当然のごとく気象条件以外にもいろんなところに「定数」は存在しています。その「定数」の証明に延々と時間を掛けていても無駄で、「定数」を前提にどうビジネスに説得力を持たせるのか、顧客に支持される施策を考察するのかという思考に立脚して欲しいと思うのです。そのためにはなにをもって「定数」とするのか、はたまた「変数」として扱うのかの見極めと、「定数」の部分をセパレートしてそこは決まりごととしてバッサリ切り捨てて考えないという思考は、ビジネスをやる上で非常に重要であると認識しています。


「合理主義」を押し付ける功罪。

「エッセンシャル思考」にしても、先に挙げた「定数・変数」の理論にしても、一定の社会的地位を築いているものと思ってはいます。コンサルをやっている立場として申し述べれば、私もコンサルのはしくれとして、どうしても合理性に走ってしまって、無駄な時間と手間を極度なまでに嫌う、まさに「エッセンシャル思考」を地で行くところがあります。ただ、合理主義になれない……私から見れば不器用というか……そういう子にも合理主義を植え付けたい。なぜならば、それがその子のためになると思うからです。みずからの言動にたいして理論づけさせることで、誇りを持ったアクションが起こせるということは、あらゆることにおいて自信に繋がると私は確信しています。


他方、「非エッセンシャル思考」のただなかにいて、自信を失っている子に、合理化を"正"として不合理を"悪"としたとき、ますます相手を追い込むことになるのではないのか……そこはこの半年ほどの経験のなかで私自身、大きく学んだところであります。

出来ないものを「能力」として捉えがちですが、それを「能力」としてではなくて「個性」として受け止めてあげること。能力であれば出来ない事を押し付けてでも能力を高めてあげたいとなりますが、個性であればその逆、その個性を大きく伸ばしてあげたいとなる……捉え方によって真逆のアクションとなるのです。

私の出した結論として、たとえ遠回りでも、思うようにやらせてあげたい。


努力に無駄はない!

ビジネスにおいての究極論としては、無駄は敵だし、もっとも近道を選ぶのが王道であることに疑いの余地はありません。また、「エッセンシャル思考」は合理性があって生きやすい側面もあるでしょう。

しかし、「努力の無駄」と断ずるような発想は、私も含めてやめていきたいものです。むろん私自身が「無駄」と断ずるアクションをあえて取ることはあり得ませんけれども、少なくとも、ひたむきに努力する姿に対しては、しっかり寄り添いつづけたい。


困難な事態に直面したとき……そのときにはじめて、そっと手を差し伸べてあげればよいのだと。



▶︎次回の記事は7/5(金)に公開します。



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