昭和20年のきょう、6月23日は沖縄県において米軍による組織的戦闘が終結した日であります。「慰霊の日」として知られておりますが、沖縄県内では「(沖縄の)終戦記念日」というふうに呼ぶ方もおられるようです。


沖縄戦終焉の地・摩文仁は平和を祈念する場所に。

(出典:(公財)沖縄県平和祈念財団)


沖縄戦と呼ばれる県内での戦闘は3月26日にはじまり、3ヶ月弱の間で両軍人、民間人合わせての戦没者数は20万人、うち沖縄県出身者の死者(行方不明者含む)は122228人で、当時の沖縄県の人口の1/4が失われてしまいました。それほど凄惨な地上戦が太平洋戦争中、わが国の領土において実際にあったのです。


火炎放射戦車でわが日本軍を攻撃する米軍。

(出典:毎日新聞)


毎年、沖縄県内の新聞各紙は慰霊の日にあたって社説を掲載しています。琉球新報の昨年の6.23の社説では「沖縄の島々が再び戦場になることを県民は明確に拒否する」としたうえで、広島市でおこなわれたG7サミットにおいてロシアへの制裁強化を決めたことを批判し、「停戦を促す国際的枠組みづくりが急がれる」としています。自国を戦場としたい国民なんているはずもなく、かつ他国の侵略に抗っているウクライナに対しても停戦を呼びかけることを是とする社説は読んでいて頭の痛いものでありました。


直近、6月16日の県議会選挙では知事与党の「オール沖縄」…つまるところの革新系が敗北し、自公が過半数を取りましたが、県内では長らく革新政党が強い状態が続いていました。沖縄の人は沖縄と本土を明確に分離し、本土に住むわたしたちのことを「日本人」と呼称する文化が根付いています。

昭和26年(1951年)のサンフランシスコ平和条約締結後も沖縄県は都道府県単位で唯一、米軍施政下に置かれ、昭和47年(1972年)の5月15日に日本に復帰するまで、実質的に植民地化状態におかれました。時の佐藤首相の「核抜き本土並み」の約束は実質的に反故にされ、最低賃金や有効求人倍率、失業率などを含めた経済力は他の46都道府県と較べても最低レベルで推移。かつ基地についてはわが国における米軍専用施設の7割が沖縄県内に置かれている事実も含めて、わが国全体で思いを致して考えていかねばならない課題だと思います。


一方で沖縄県内にも本土への対抗心が必要以上に強く残っているところがある。櫻井よしこさんの著書「桜井よしこの憂国」(ダイヤモンド社、09年初版刊行)で触れられている沖縄集団自決訴訟。座間味島守備隊長が住民に集団自決を命じたのか否か…大江健三郎氏の「沖縄ノート」では自決命令があったと断定していますが、自決命令はなかったどころか、自決するための武器弾薬の供給をしなかったという当時の数々の証言が得られていて、櫻井さんの著書によると、大阪高裁では「(命令の)有無は断定できない」としつつも「隊長の命令だったというのは当時の通説だったとして逃げ」た結果、最終的に大江氏の主張を認めています。櫻井さんは従軍慰安婦の強制連行問題と重なる(問われているのは強制ではなく時代の「強制性」と論理をすり替えたこと)と記したうえで、裁判官に対する不信感を強くする内容でコラムを締められています。

「日本人」は常に悪者で「沖縄人」(うちなーんちゅ)を苦しめる存在であるという固定概念は慶長14年(1609年)の薩摩藩による琉球侵攻以降、連綿と持ち続ける文化があって、「日本人」を極端に忌避するひとびとが少なからずおられます。本訴訟は最高裁まで争われたものの平成23年(2011年)4月に高裁判決支持、上告棄却というかたちで大江氏側勝訴というかたちで結審されていますが、数多の証言を退けてまで「通説」を支持した司法判断の裏に何があったのか、訝しく思うのは私だけではないはずです。


令和3年春に公開された島田叡知事の映画は、

筑紫哲也さんの薫陶を受けた佐古忠彦さんの作品。


その中で、神戸市の久元喜造市長が尊崇の念をもって接しておられる島田叡(しまだ あきら)沖縄県知事(1901-1945)の存在に触れざるを得ないでしょう。いまの神戸市須磨区に生を受け、戦場となることを見越しながら沖縄県知事の辞令を受け取り、県民の幸せのために腐心された人。結果として島田知事の思いとは裏腹に不幸な結末となったけれども、沖縄と兵庫を繋ぐ架け橋としていまもなお「生き続けている」、そういう姿にプロの行政マンたる久元市長は惹かれ続けているのでしょう。


過去の不幸なすれ違いを捨てて、「これから」をともに考えていける関係が築けたとき、ほんものの「終戦」がやってくるのだと、私は信じます。



▶︎次回の記事は6/26(水)に公開します。

 なお、あす24日(月)は休稿とさせていただきます。


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