訪日外国人観光客数の急回復にともなって、関連業態の活況とともに各所で歪みが生じています。


インバウンド客で混雑する東海道新幹線京都駅。

通路の真ん中に立ち止まり歩きにくさこの上ない。


数字で解説しますと、JNTO発表の令和5年(2023年)の訪日外国人旅行者数はおよそ2506万人と、過去最多だった令和元年(2019年)のおよそ3188万人の8掛程度に回復しています。特に年後半の伸びは著しく、12月には同月の過去最高を更新したマーケットも出現しているようです。
観光庁発表の旅行消費額については令和5年通年で5兆3000億円と政府が目指した5兆円をはじめて突破して過去最高に。政府は令和12年(2030年)のインバウンド消費額を15兆円と弾き、わが国の観光産業の振興を図る計画です。


インバウンド客に特に人気の京都・産寧坂。

店頭POPにも多ヶ国語表記が目立ち日本風情も何も…


インバウンド需要を拾うことには、わが国の課題解決のうえでやむを得ない面もありまして、国の人口が減少してGDPが頭打ちになる中で成長産業としての大いなる期待がインバウンド客に注がれているのも事実であります。以前のブログ記事でも申し述べたように、百貨店の活況もインバウンド消費が支えているところが大きく、またホテルについてもとりわけインバウンド人気が高まっている立地を筆頭に低廉なレート設定を脱却してADR(Average Daily Rate=平均客室単価)ベースで上昇がみられます。

観光庁の資料によると、訪日外国人客の1人当たりの旅行支出は約21万2000円、日本人の国内旅行消費はグロスで約21兆円とインバウンドの4倍強となっているものの1人当たり支出は4万2000円とインバウンドの1/7ほどしかありません。泊数の差異などもあるため単純比較するものではないですが、関連する事業者サイドでみれば、「インバウンド>日本人」となるのはやむを得ません。

インバウンドバブルに沸く大阪市は日本人観光客の

客離れが著しく大きな課題となりつつある。


しかしながら、街中を歩けば外国人だらけ、店の呼び込みも外国語、日本情緒を感じるために訪れるスポットにも外国人で混雑するようすは、正直申して辟易といたします。なかには混雑する駅通路のまんなかにサークルを描いて談笑するような場面や、京都市や鎌倉市でSNS上に取り上げられている路上へのゴミの不法投棄など、インバウンドが来るたびに論ぜられる弊害も数多議論されているのはみなさんご案内のとおりであります。
日本のまちや歴史、文化等々は、まずはわれわれ日本人がその便益を受け知識を共有するべきものであって、決して外国人が主体となるべきものではないはずです。

日本人ならば良い、外国人はおしなべて悪だとまでは断言しませんが、どうしても外国人が増えすぎていることに関しては、観光関連産業に携わる人以外の多くの方々にとっては決して嬉しいニュースではないはずです。

※次回の記事は5/22(水)に公開します。


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