令和6年4月9日、2891日ぶり(=8シーズンぶり)に首位に立った中日ドラゴンズ、本日はバンテリンドーム ナゴヤに戻りましてディフェンディングチャンピョンである阪神タイガースを迎え撃っての3日間となります。きょうは選手会長の柳裕也投手の登板、むこうもエース・青柳投手です。昇龍道のまんなか・名古屋での竜虎対決、熱戦を期待したいですね。



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常に「マーケティング」「ブランディング」を連呼する私らしくないタイトルのように思われる方も多いかと思いますが、これを含み置いて読んでくだされば幸いです。




神戸市は市内在住、かつ市内の高校に通学する高校生を対象に通学定期の無償化に踏み切りました。これは全国初の事例で、令和6年度は12億3000万円、平年度化される令和7年度以降は約20億円という大きな予算を使って実施されるものです。通学定期無償化の背景には大阪府の高校授業料無償化があって、子育て世帯の流出を懸念する神戸市の対抗策であります。


大阪府の高校授業料無償化とは?



大阪府では府内在住の高校生を対象に段階的に高校授業料の無償化を実施、いよいよ今年度予算案では約222億円を投じて所得制限のない完全無償化を実現させます。現行制度においては国の就学支援金と府の授業料支援補助金で世帯年収に応じて各家庭の負担額が決まっていた(無料の場合もあり)ものを、所得制限なく保護者負担を無償化することに加えて、他府県の高校にも参加を求めていくという内容です。


県内6校が大阪の無償化事業に参加。

神戸市の所在する兵庫県からは制度参加対象校全76校のうち、武庫川女子大学附属高校(西宮市)、百合学院高校(尼崎市)など6校が参加、27校は検討中、進学校として知られる灘高(神戸市)を含む半数を超える43校はすでに不参加を決めています。このほか、京都府は52校中3校、奈良県は21校中3校と参加校は低迷しているように見えます。この背景には、授業料63万円を超えた分を学校負担にするという「キャップ制」が忌避されていることに加えて、授業料改定の際に大阪府との事前協議が伴うことがネックになっているといいます。(※参加各校のデータは令和6年4月現在のもの。)


現下の少子化の折に、大阪府下のこどもたちの進学先として選んでもらいやすくなるため、一見すると府外の各校にとって制度参加は「またとない機会」に映るかもしれない。しかしながら校内で授業料負担している生徒と無償化の恩恵を受けている生徒が混同すること、また「キャップ制」によって私学の経営の独立性が脅かされやしないかという懸念が強いようです。


大阪府に抗う神戸市長の心のうち。

大阪府以外の他の自治体サイドとしても安閑とはしていられません。高校生世帯の経済負担が大阪と他府県では大きな格差が生じ、その結果として子育て世帯の大阪府下の流出を許すわけにはいかないと、冒頭の神戸市における取組に繋がっていくのです。

久元市長は「(阪神・東播・北摂など県内の幅広い地域の)子育て世帯が大阪府内に流出するようになると、兵庫県内の高校志願者の減少を招き、教育水準が低下し、さらなる志願者の減少、子育て世帯の流出・・・という悪循環が広範に起きる可能性がある」(令和6年3月27日 「久元喜造ブログ」より)と指摘し、きっぱり「悪夢」(令和6年2月27日 同)と断言しておられます。




そもそも、このような広範に影響を及ぼすこと可能性が指摘される施策については、周辺自治体と議論を尽くして実施に移すことが求められます。以前の明石市の子育て世帯における住民サービス強化についても、近隣の神戸市や加古川市から人口流出が発現したことは記憶に新しいところ。総務省で地方行政局長も経験された地方自治のプロフェッショナルである久元市長は「隣り合う市が人口を奪い合うのではなく、足らないところを補い合う方が良い」(令和5年8月29日 大学生と久元市長の対話フォーラム)と指摘しています。大阪府もわがテリトリーにとって有利にやれれば良い、という安直きわまりない発想ではなく、周辺自治体との協力・共存の姿勢がなければ、将来的に大阪抜きの関西連携という、大阪にとって悪手を導き出す結果になるでしょうから、じゅうぶんに肝に銘じておいたほうがよいでしょうね。


ただし大前提として、高等教育の均質化は国家全体の問題であるため、高校授業料制度については文科省がもっとイニシアティブを握って前に進めていくべきであることは最後に付加させていただきます。


※次回の記事は4/15(月)に公開します。


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