南紀白浜空港をめぐるトピックから、当地の抱える課題を見ていきましょう。



南紀白浜空港は和歌山県の「紀南」と呼ばれる白浜町にあります。白浜といえば白良浜海水浴場やパンダで有名な「南紀白浜アドベンチャーワールド」などの観光地がありますし、紀南全域に目を向ければ、熊野古道・熊野三山(田辺市・新宮市など)や橋杭岩(串本町)、南紀勝浦温泉(那智勝浦町)などが所在し、歴史文化・自然などの観光資源に恵まれた地であります。


定期便就航は羽田便の3往復/日のみ。国際定期便はゼロの状態で、国際チャーター便として令和5年に4便、ことしに入り韓国からのチャーター便誘致に成功して今月だけで4便運航されるそう。ただ総事業費16億円、延床面積3800㎡の規模感には旅客数・便数ともに到底追いついておらず「税金の無駄遣い」の批判を逃れられない状況には変わりありません。


「羽田から1時間」を売りにワーケーションなどの取組において先駆的役割を果たした白浜も、首都圏からの距離的要因がネックとなって需要はシュリンク、旅行会社などはそれを見据え、かつてほど積極的には当地を売り出していません。空港所有者の和歌山県は現状に危機感を覚えたのか、空港の愛称を募り「熊野白浜リゾート空港」に決定、ことし7月からプロモーション活動に使用するといいますが、広く定着している「南紀白浜」の名を捨ててまでやる目的がよくわかりません。


先日、和歌山財界の有力者から聞いた話、「都内出張の際に南紀白浜空港を使え」と、ある政治家からさまざまなルートでお達しが出ているとのこと。県都でありプライメイトシティである和歌山市から見ると白浜まで約90kmあるのに対し、関西地区のハブ空港であり南紀白浜空港よりも便数の多い関西国際空港(関空、大阪・泉佐野市)までは約40kmと半分以下の距離、誰が使うのかと問うたら、「いや、そんなん誰も聞いてないですよ。みんな関空使いますよね」との冷めた返答。まあそうなるよな、という印象であります。


現状ではインバウンド需要に底上げされている紀南地区でありますけれども、日米の金利差を主たる要因とする極端な円安に支えられている影響であって、早晩この流れは確実に止まります。現状、和歌山県の観光資源にはそれらに携わる人たちが思うほどの付加価値もないので(※統計上、観光客1人あたりの購買単価も低く、おカネを落とす場としてまったく認知されていない)、為替の状況如何で需要は吹っ飛んでしまうことでしょう。近頃、「産官学が力を合わせて」などというのならば、それこそ産官学のうちのどこの誰でも良いから、明確となっている課題に向き合い、真摯に取り組まないと、もうどうしようもなくなるところまで来ているということに、早く気づくべきでしょうね。


※次回の記事は2/21(水)に公開します。


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