先の記事でお伝えしきれなかったことを踏まえて記します。


「神戸からふたつの『大企業』が生まれた。ダイエーと山口組だ。どちらも焼け跡から這い上がって、ナショナルチェーンになった。」


ダイエー創業者・中内㓛さんの口癖です。

今聞くと違和感が拭いきれない発言。山口組誕生の歴史はあえてここでは詳述しませんが、確かに日本初のナショナルチェーンを築いたダイエーも、日本最大の暴力団組織・山口組も神戸発祥なのは周知の事実であります。

江戸末期の開港以降に築かれてきた文化で守るべき伝統の少ないぶん、進取の気性で他都市を凌いだ神戸は、「東京一極集中」に抗った唯一の都市であり、かつ、一時期は東京の地位を脅かした存在であったと考えます。



神戸は地場の重厚長大産業の発展に伴う安定した税収を背景に、昭和47年には「ファッション都市宣言」、昭和56年には地方博「ポートピア81」を催しポートアイランドのまちびらきを実施、昭和60年には新装した神戸総合運動公園を中心に学生のオリンピック「ユニバーシアード神戸大会」を開催しています。「おしゃれな街」としてのイメージは確たるものとなり、神戸女子から生まれたコンサバエレガンスなファッションは瞬く間に全国に拡がりました(00年前半には同様のスタイルが「名古屋発祥」として再び大ブレーク)。


イメージとして不動の地位を築いた神戸市はそのブランドを背景に地域産品の訴求をはじめます。西区・北区で葡萄の生産がさかんであることに目を付け、世界的ブランド「神戸ビーフ」と並び称されるワインを、という高い理想で昭和59年、西区の農業公園で製造をスタートさせたのが「神戸ワイン」。他の国産ワインと異なり、葡萄の苗木の全てを輸入したと聞きました。当初から国際的なクオリティを目指した証でありますが、その夢が実り、令和元年の「大阪・関西サミット」では各国首脳の晩餐会のメインディッシュに合わせたワインに選定されています(ベネディクション・ルージュ2016)。


ロケーションの優位性や経済規模で東京に抗おうとしても、それは無理な話です。東京中心の交通政策について異論もありますが、人口が多い以上、交通政策に手厚さが出るのも仕方ないことではないでしょうか。その点、神戸は近年流行りのことばで申せばブランディングに成功し、それを入込客数および人口増加に結びつけていったのです。「ファッション都市宣言」以降の70年代、80年代はまさに東京を凌ぐおしゃれ感度の高いまちとして神戸が全国から喝采を浴びた時代であります。その時代を知らない世代の方にとっては信じられないことでしょう。


現下の地方問題はまさにこの部分、ブランディングであると主張している方は多くおられます。三越伊勢丹ホールディングスの社長を4期務められ、現在では日本空港ビルのシンクタンク組織・羽田未来総合研究所の社長に就いておられる大西洋社長もまさに同様にお考えで、今冬、第3ターミナル(国際線制限エリア内)にジャパンラグジュアリーを集積させたショップをオープンさせます。


http://www.haneda-the-future.com/wp-content/uploads/2023/09/20230922_JMC_final.pdf


大西社長と仲良しだったデザイナー・山本寛斎さんの事務所の現トップ・高谷健太代表取締役も、地方の素材の産業化のために「彼ら(作り手)が自分たちの技術力の高さ、アイテムの完成度の高さを誇り、自信を持ってもらうことが大事」と解きます。


結局のところ、外部から入ってくることへの抵抗や現状維持に拘る方が多い以上、ブランド化のメリットが地元の事業者や住民に見えづらいことで、地域ブランド構築をより一層難しくしているというのです。ここを残し続ければ、いつまで経っても地方創生はなし得ないのです。


私はこの問題点を踏まえつつ、それらをブレイクスルーできるだろうというひとつの仮説を持っています。これをいくつかの地域でそれぞれにおけるパートナーとともにテストトライしつつ、広く社会に向けて披瀝できる日を楽しみにしているところであります。


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