先日、JRの特急「サンダーバード」で金沢まで行って来ました。今回から何回かに分けて、金沢観光の魅力や金沢に見るシティブランディングのありかた、また開業目前の北陸新幹線敦賀開業に伴う影響等について記してまいります。


いやが上にも旅情を掻き立てるJR大阪駅の「11番線」。2011年に開業した「ノースゲートビルディング」に包含されているため、大阪駅のホームの中でもここだけが異空間の雰囲気を漂わせます。


ここから発車する列車も「ひだ」「サンライズ」を除けば、来春には敦賀止まりとなる「サンダーバード」が殆どとなります。


先日、JR西日本の長谷川一明社長が北陸新幹線の金沢〜敦賀間の開業を2024年3月16日とするとともに、新幹線敦賀開業後のダイヤが発表されました。サンダーバードは現行と変わらず25往復を確保しつつ、全便が敦賀止めとなり、敦賀駅で垂直移動で北陸新幹線の「つるぎ」号(富山〜敦賀間)に接続を取ります。

当初のダイヤでは富山以東、長野・東京方面への「かがやき」「はくたか」とは接続を図らないようです。

これは全くの私見ですが、東京に繋がる「はくたか」が在来線特急の接続を取った場合、特に冬場に遅延がみられるサンダーバード号の遅れが新幹線に波及し、遅れた新幹線が東北・上越方面各新幹線が合流し過密ダイヤの大宮〜東京間に突っ込むこととなり、東日本全体にダイヤ乱れを惹き起こすこととなりかねない…おそらくそこを回避するねらいがあるように思います。


北陸新幹線延伸開業で大阪〜金沢間は最短2時間9分と最大で22分の短縮となりますが、荷物を抱えて移動する乗客の多い中で乗り換えの手間が発生することをどう捉えるか。

また、大阪・京都からだと新幹線開業による時短効果が3分だけと殆ど得られない福井駅や、中心市街地から新幹線の駅が離れていて、特急廃止によるデメリットの大きさが懸念される武生・鯖江両駅は、新幹線開業の効果を享受しにくいのではと考えます。加えて能登半島の主要観光地たる和倉温泉へは京都・大阪からの直通がなくなり、敦賀・金沢両駅での2度のトランジットが発生することになり、和倉温泉の旅館からは心配の声が上がっているという報道もあります。


敦賀以東で3セク化される北陸本線を活用して、サンダーバードのごく一部を福井駅、もしくは金沢駅まで運行し、敦賀〜金沢間における需給を見極める…乗り換えかつ時短か、乗り換えなしか、少なくとも当面の間の激変緩和措置として選択肢を提示して貰いたかったものです。

勿論、3セクとなれば3セク会社からJRに車両レンタル費用が発生することになりますが、石川・福井両県の3セクとも、まるっと呑んだんではないかと考えます。


金沢の方々にお話を聞きましたら、新幹線の敦賀延伸にはあまり関心を抱いていないようす。それもそのはず、金沢には2015年の時点で東京〜金沢間は直結しているため、加賀市・福井方面への時短を喜ぶ声は一部にとどまりそうです。

一方で京都・大阪方面からのアクセスとして乗り換えが発生するデメリットの声が多く聞かれます。3月の時点で山中温泉に宿泊した際にも、最寄りの加賀温泉駅に新幹線が来るメリットよりも、関西方面からの乗り換えによる観光客減少を懸念する声が多く聞きました。



実は「敦賀止まり」には大きなカラクリがあります。敦賀駅の福井側を境にして電化方式が異なるのです。大阪を出て京都から湖西線を経て敦賀までは都市部の鉄道路線にみられる直流電化、その先、北陸トンネル手前から福井・金沢方面は家庭の電気に代表される交流電化が取られています。つまり、このサンダーバード車両は交直両用車しか運用に入れず、近い将来に訪れる車両更新の際には直流・交流専用車よりも製造コストがかかります。JRとしては敦賀止まりにすることで、京都・新大阪から和歌山・白浜を経て新宮に至る「くろしお」や新大阪・大阪から福知山線経由で城崎温泉に向かう「こうのとり」のような直流専用の特急を汎用的に運用することを念頭に置いているものと考えられます。


今回のダイヤ発表を受けて、2点だけ提言したいと思います。

1点目は、大阪・京都からの特急「サンダーバード」号、および名古屋・米原からの特急「しらさぎ」号から敦賀駅に接続する新幹線について、金沢・富山方面への「つるぎ」号への接続となりますが、その一部を「はくたか」等への接続を取ることで、京阪神大都市圏〜長野・軽井沢方面への新たな観光・交流アクセスの整備を期待したいところです。先述のとおり、常態化する京阪神都市圏の電車の遅れに加えて冬場に見られる湖西線の強風による迂回運行等の影響が東北・上越地区の各新幹線に波及することが容易に想像できることから難しいところもあるでしょうが、1日数往復でも「はくたか連絡」のサンダーバード号が設定されれば、京阪神から見て北陸新幹線による新たな需要創出策となりうると考えます。


(出典:武雄市)


2点目は、繰り返しになりますが、せめて多客期だけでもサンダーバード号の金沢・和倉温泉方面への延伸により、乗り換えなしで結んでほしいと、ひとりの乗客として強く思うところがあります。重い荷物を持たれた方や高齢者、身体の不自由な方にとっては乗り換えなしのメリットは大きいものです。もしそれが無理ならば、西九州新幹線の武雄温泉駅のように垂直移動のいらない同一ホームでの乗り換えとするなど、さらなる利便性の増進は不可欠であるように感じます。




これからご紹介していく金沢の魅力は勿論のこと、行ってみたい場所、味わってみたい食事が目白押しな北陸地方ですから、敦賀乗り換えにより関西・中京を発地とする観光需要がすぐにすぐ目に見えて低減するとは思えませんが、今後この状態が20年程度は続くものと見て、北陸地区における関西・中京地区のプレゼンスが低下していかないように、トラフィックの面から今一度考えていく必要があるのではないでしょうか。



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