作者の久元喜造さんが神戸市に生まれ、大学で神戸を離れるまでの18年余りの「記憶から生起した出来事に関するもの」を記したエッセイです。


著者が率直に感じた「神戸の景色」「神戸の食」「神戸の文化」「神戸の偉人」…そして「神戸の自然」等々。著者の神戸に対する思いは、まさに山より高く海より深いものであることは、この本のどこを切り取ってもひしひしと伝わります。


沖縄・那覇市の県営奥武山(おおのやま)公園には、

神戸出身である島田叡元知事の顕彰碑が建てられた。


内容は著者の神戸に対する思いにとどまりません。戦前の官選制度における最後の沖縄県知事として、まさに一命を賭して県民を守る決断を貫き、最後には殉職する島田叡さんは須磨の出身で、那覇市の奥武山公園には沖縄県民の有志の力によって島田さんの顕彰碑が建てられるなど、現在に至るまで神戸と沖縄は強い絆で繋がりつづけています。本書では島田知事誕生のエピソードに加え、「逃げ出した」と批判の的にされている前任の泉守紀さんについても著者目線で端的に記されているのは非常に興味深いものです。

神戸が生んだ偉大な政治家としてもうひとり挙げたいのは貝原俊民さん。震災の時の兵庫県知事です。今の総務省にあたる自治省の出身ということから著者の先輩にあたるわけですが、貝原さんが志向された大都市経営論についても本書を通じて知ることができました。


作者の神戸の街への思いが凝縮されている一節を、引用としては長くなりますが、ここに記させてください。


「神戸の街の顔は多様だ。しかし、「多様」といっておしまいにするのではなく、できるだけたくさんの地域を歩き、街の表情に触れ、今起きている変化を感じ、それぞれの街の個性を感じていきたいと思う。それは、とてもわくわくするひとときだ。

神戸には神戸の空気がある。司馬遼太郎『街道をゆく21 神戸・横浜散歩 芸備の道』に収められている『神戸散歩』には、大阪、京都との比較が随所に出てくる。『京都は人を緊張させるところがあるが、神戸はそうではなく、開放的で、他人(ひと)のことにかまわず、空気まで淡くブルーがかっていて、疲れたとき歩くのにちょうどいい、と感じたことがある』という一節は、確かに神戸の街の一面を言い当てている。『疲れたときに歩く』というのは、ある意味で矛盾をはらんでいるが、ある種の疲れを感じたとき、そんなに頻繁ではないが、ある程度の時間をかけて神戸の街を歩くと、前にあった疲れは感じなくなり、心地よい肉体の疲れに置き換わっているように感じることがある。

こうして、私は、神戸の街をこれからも歩き続けたい。」



実は著者の久元喜造さん、2013年に第17代神戸市長に就任、まさに現職の神戸市長であります。こういう思いを持った人が神戸のトップにおられること、心から誇りに思うとともに、最上の人を選んだ神戸市民おひとりおひとりの良識に、感銘を覚える次第であります。


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