姫路市中心部は人口80万人弱、域内総生産約3兆円の規模を持つ、大阪・京都・神戸に次ぐ近畿では4番目の都市圏となる姫路都市圏の中枢であり、かつ姫路城を明確にキーコンテンツに据えた国際観光文化交流都市であります。今回はその一面をご紹介すべく、都市部のインフラ、および商業地区をレポートします。


3つの交通拠点

1日10万人(コロナ禍前)の利用者数を誇るJR姫路駅。

まるで政令市の代表駅のような佇まいのこの駅には、JR神戸線・山陽本線・播但線・姫新線と4方向の在来線に加えて東海道・九州直通の山陽新幹線も乗り入れていて、コロナ禍前にあたる2019年の乗降客数は10万3000人ほど。県都を差し置いて兵庫県下最大のターミナルです。

(※乗降客数ではJR三ノ宮駅が県下最多)


JR姫路駅に隣接して山陽電車のターミナル・山陽姫路駅も隣接しています。

山陽電車はJRがアクセスしない姫路市南部の工場群エリアや高砂市中心部などから姫路都市部へのアクセスを担うほか、阪神線との直通運転でほぼ全ての特急が大阪梅田まで結んでいます。コロナ禍前までの乗降人員は3万人弱とJRと較べれば水を開けられてはいるものの、神戸市内にターミナルを持たない山陽電車にとっては唯一のターミナル駅と言っても差し支えないでしょう。


JR姫路駅と山陽電車姫路駅の間には姫路市に本社を構える神姫バスの姫路駅前バスターミナルが設けられています。兵庫県下最大規模である18の乗り場からは姫路市内はもとより姫路都市圏の各地域を結ぶバスがひっきりなしに発着しています。


ゆとりある駅前空間&バスターミナル

駅前にはご覧の「キャッスルビュー」施設が設けられています。


真正面に大手前通り、そして姫路城天守を望む絶景は姫路に訪れた際にぜひ見て頂きたいものです。

東にはのちほどご紹介する駅ビル「ピオレ姫路」に、西には「山陽百貨店」や山陽電車姫路駅にデッキベースで直結していて、歩行者の結節点の機能も果たします。


この「キャッスルビュー」には当地の材木「姫路杉」が用いられています。


駅前には広々としたトランジットモールが広がります。最近はJR大阪駅前などにも広大な歩行者空間が出現していますが、わが国における大規模なトランジット化はここ姫路が先鞭をつけたもの。


駅正面にあたるトランジットモールの東側には芝生広場「キャッスルガーデン」、そしめB1にはサンクンガーデンが設けられていまして、特に気候の良い時期には多くの方が休憩されている様子がみられます。

サンクンガーデンの右側は「ピオレ姫路」の地下に、左側は姫路駅前地下街「グランフェスタ」に直結しています。


ふたつの大型商業施設


JR姫路駅に隣接してJR西日本アーバン開発が手掛ける都市型SC「ピオレ姫路」があります。4館合わせた店舗面積は約23000㎡(本館だけで約13000㎡)総店舗数200店、売上約200億円。

播磨地区からの流出が多くみられた20〜30代の層を取り込み、姫路に新たな商業シーンを構築しつつあります。


姫路市唯一のデパート「山陽百貨店」は大手前通り西側、山陽電車姫路駅と姫路駅前バスターミナルに隣接しています。ピオレとは違って、ミドル層以上の支持が厚く、逆に20代〜30代の取り込みが課題。店舗面積約28000㎡、売上約200億円。


ことし4月、神姫バスターミナルの待合所跡に山陽百貨店が「南館」として増床。〈ビームス〉の姫路初出店などで新たな顧客層を獲得する算段とはいえロケーション的にもこれでは………


姫路一の繁華街

姫路ショッピングのメーンストリートといえば「みゆき通り」。



「みゆき」の名の由来は明治天皇の行幸に合わせてつくられたことから行幸を指す「御幸」。幅9mの道路は当時の姫路ではもっとも幅が広く、長らく人と車が行き交う姫路のメーンストリートだったそうです。


1955年、御幸通に並行するように幅員50mの大手前通りが完成後はメーンストリートの座を明け渡します。そして自動車を排除しアーケードを架け、姫路最大の商業地区として昼夜問わず活気漲る商店街として機能しています。


ここ「みゆき通り」から日本・世界に雄飛したお店をご紹介しましょう。


こども服の「西松屋」は姫路・西二階町の「着物の西松屋」の別部門として設立、呉服店の北側に店舗を構えましたが、そののち「みゆき通り」の現在地に移転。ここで力を付けて今の全国チェーンへと成長を遂げました。


「パリミキ」は1930年(昭和5年)に姫路で時計店として創業、そののち「メガネの三城」として展開していきました。現在では店舗ブランドを「パリミキ」に統一する中でも、誇らしげに「メガネの三城 総本店」の看板を掲げつづけています。


駅南側・東側の景観・開発

姫路駅の南口は山陽新幹線姫路駅に隣接します。

新幹線開業後しばらく在来線が地平駅舎で、南北間の移動が面倒でしたが、02年に在来線が高架化されたあとは南北自由通路が完成し、移動がスムーズになりました。


姫路駅南口から姫路港方面へと真っ直ぐ延びる「駅南大路」(えきなんおおじ)。

東京まで最短3時間10分のロケーションを活かして、多くの企業が進出しており、さながら播磨経済の中心たる風格を漂わせます。



JR姫路駅周辺の連続立体交差化、および留置線の廃止に伴う空いた土地の再開発を目的に、姫路駅周辺地区整備事業(キャスティ21)がスタート、前編(その❸)でも取り上げた「ホテルモントレ姫路」から東側にかけてのエリアに国際観光都市としての風格を高める施設の建設・誘致が進んでいます。



新幹線の駅に近いロケーションを活用して21年9月に開業した「姫路市文化コンベンションセンター」(通称:アクリエひめじ)。


播磨地区初の大型ホールとなる2010席の大ホールなど3つのホール、計10室の会議室、最大4000㎡の展示場スペースなどを備えた文化複合施設です。




姫路は長らく、城以外の魅力を広く伝えることができていなかったように思いますが、「城を見る」以外の楽しさや学びのある街区に育てていく取組とその地歩をご紹介しました。次回はいよいよ姫路特集ラストを記します。


【おことわり】

当ブログはそのタイトル通り「思い付き」更新のため不定期で更新をしてきましたが、長く続けていますと、定期的に投稿してほしい、とのお声を多数頂戴するに至りました。

そのため、原則として「月・水・金」の週3更新とさせていただきます。

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私も目標として励みますが、多忙時など更新が滞ることも想定されます。何卒ご容赦いただき、気長にお付き合い頂ければ幸いです。


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