約90年続いた「そごう神戸店」を店舗ごと買収して2019年にブランドチェンジした「神戸阪急」のリモデルが続いています。今秋まで続くというリモデルの様子を中間レポートします。
店舗略史
「神戸阪急…そんなデパート、あったかしら?」
そうお思いの方も多いと思われますので、冒頭少し補足を。
(出典:ヒョーゴアーカイブス)
この店の歴史はもともと1933年(昭和8年)…ですから今や日本一の売上を持つ伊勢丹新宿本店の開業年まで遡ります。阪神電鉄の三宮駅開業に併せて設けられた駅ビル内に「そごう」が開店したことに端を発します。当初は元町1丁目の大丸神戸店に水を開けられての2番店でしたが、相次ぐ増床と戦後以降の流れとしての三宮への商業集積の転移を受け、1971年に悲願の神戸一番店に。バブル期の91年には1471億円、震災前の94年でも約1300億円の売上があったものの、翌95年の阪神・淡路大震災の発災により本館の一部が倒壊、損傷の酷い部分を立て直さずに減築したため震災前より約5000㎡狭い面積での営業を強いられることに。それが経過となり、震災からのグランドオープンが97年3月と出遅れたものの周辺への路面店展開などで勢いを増した大丸がふたたび神戸一番店を奪回、その後は大丸に対して劣勢を強いられてきました。
売上ピークから1000億円もショートして経営的に厳しくなる中、経営するそごう・西武は2016年に西武高槻店とともに同店をエイチ・ツー・オーリテイリングに売却、同店としばらくは「そごう」の屋号を使い続けたものの2019年9月30日に一旦クローズという扱いで「そごう神戸店」としての歴史にピリオドを打ち、システム入れ替え後、10月に「神戸阪急」としてオープンするに至っています。
リブランド以降、19年夏までに改装を終えていた本館B1の食品フロアを除き、ほぼほぼ「そごう」時代を継承していたのですが、21年度から順次、全面改装を実施しています。昨春〜秋にかけて新館はB1を除いてリモデル完了し、1階〜3階には「Hankyu Mode Kobe」(ハンキュウモードコウベ)としてモードフロアが生まれています。モードフロアのレポートをし出すと課題提起も含めて長くなりますので、今回は昨年12月より順次完了した本館部分のリモデルにフォーカスした記事といたします。
大きく変わりつつあるのがこの1階部分。もともと化粧品メインであったフロアが婦人服飾雑貨&アクセサリーに。
リモデル前よりも色温度を落とした店内、壁面にはそごう時代からの〈ティファニー〉に加えて新たに〈グッチ〉〈ヴァンクリーフ&アーペル〉〈サンローラン〉〈ミキモト〉〈ブシュロン〉〈ロジェヴィヴィエ〉〈バーバリー〉〈フレッド〉の8ブランドがデビュー。今月31日には〈タサキ〉も加わり1階のラグジュアリーは10ブランドになります。
JR三ノ宮駅に繋がるデッキからのエントランスのある本館2階の東側には化粧品フロアが1階より拡大移転。
西側には〈ジャンビット・ロッシ〉や〈クリスチャン・ルブタン〉などラグジュアリーのシューズ・バッグゾーンが新たに生まれました。
そして4月に開業したばかりの4階フロアです。
「洗練された上品で華やかな暮らし」がフロアテーマだそうです。
このフロアでは3つの自主編集ショップで構成されています。
画像は「トゥールナージュ」。西宮阪急に次ぐ2号店で、〈グレースコンチネンタル〉〈タダシショージ〉〈アドニシス〉〈ヴェロフォンナ〉などというラインナップ。エレガント〜ドレスアップを明確な守備位置に据えた良いショップができたと思います。
あとはテーブルセッティングをトータル提案する「グレイスフルテーブル」、インテリアやルームウェア、ルームフレグランスなどプライベートシーンを網羅する「ラ・ノクタンビュール」が。
本館5階についても今月10日に一部リモデルオープンのリリースがありました。子育てファミリーに向けたフロアとなるようで、スヌーピーをテーマにした阪急オリジナルショップ〈ピーナッツ ライフ&タイムズ〉の2号店を中央に配し、テーブルウェア、お茶、アートフラワーから成る〈うつわプラス〉、ナチュラル〜ベーシックの婦人服セレクトショップ〈プルアプープ〉の2ヶ所の自主編集売場を設けるようです。また機会があれば詳しくレポートすることにします。
阪急は08年の西宮阪急オープン以降「コト消費」ニーズ獲得に力を入れていて、ライフスタイル提案型の自主編集は阪急ならではと評価は出来るのですが、もう少し館のハードと「相談」してやらないとキツイなぁ…という感は拭えません。グランドオープンの姿を見てみないと何とも申せませんが、MD横断型の自主編集ショップを館内にいくつもローンチさせてしまうと客が迷う可能性もあるため、環境含めてどうショップをつくっていくのか、大きな課題も残りそう。
今回のリモデルにかかる総投資額は80億円程度と報じられていますが、そもそもの投資計画の策定が21年のため現下の資材価格高騰などを織り込めておらず、100億円超に上振れしているものと見ています。いずれにしても大阪の阪急本店の好調が相当追い風になるかたちで、基幹店舗である神戸への追加投資も決断しやすかったのではないでしょうか。
神戸阪急の前期売上(総取扱高ベース)は約332億円。今期はさらにそこから32.5%上積みして440億円を見込んでいます。集客強化および滞留時間拡大に向けたお休み処の少なさなど、どこまで課題を正確に掴んでリモデルに活かしていくのか、グランドオープンに向けて期待を持って見続けていきます。
【おことわり】
当ブログはそのタイトル通り「思い付き」更新のため不定期で更新をしてきましたが、長く続けていますと、定期的に投稿してほしい、とのお声を多数頂戴するに至りました。
そのため、原則として「月・水・金」の週3更新とさせていただきます。
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