月水金更新予定の当ブログですが、今回は号外企画として土曜日に記事を上げます。


名鉄百貨店が名鉄一宮駅・JR尾張一宮駅に隣接する一宮店を来年にもクローズするというニュースが飛び込んできました。これを事実とすると、一宮市から百貨店がなくなるどころか、愛知県においては名古屋市以外から百貨店が消滅することとなり、地元では大きな波紋を広げています。クローズについての公式発表はされていませんが、地元有力紙である中日新聞(名古屋本社版)が1面で大きく報じていることからおそらく裏は取れているのでしょう。



地方百貨店については当ブログでも何度か論評をおこなってまいりましたが、結論から申せば、既存のままでやっていける業態ではもはやありません。食品などを除くメーカーサイドから見れば、地方百貨店の存在は多くの取引先からすれば甚だ迷惑なのです。



「今は亡き」ブランドと百貨店なので実名を出しますが、オーガニックコスメの嚆矢として知られ、1995年に日本上陸したばかりの〈オリジンズ〉(2013年に日本撤退)は、当時、百貨店各社が誘致を競っている中で京都初出店の地に、地域一番店の髙島屋京都店や97年出店のジェイアール京都伊勢丹などではなく、髙島屋向かいで狭隘な面積が災いして不振に喘ぐ「四条河原町阪急」(2010年閉店)を選んだ事が業界内でセンセーショナルに受け止められました。普通に考えてブランド側も他店に出したいわけですが、梅田(=阪急本店)での取引を考えたらやむを得ぬという判断が働いたわけであります。これは何も阪急だけの話ではなく、ブランドサイドは都市部のフラッグシップ店舗での取引を有利に進めるために、百貨店が地方に出すと言えば、出したくないのにお付き合いで出さざるを得なくなる、ということは百貨店と取引先の関係上ザラな事例です。


ただ、今は少し流れが変わりつつあります。

都市部の店舗でも売上が鈍ってきていて、都市部を維持するために地方店に出店する意味が薄れてきているのです。言い換えれば、メーカーサイドにその余力がなくなりつつあると言えます。地方百貨店は売れないことに問題があると指摘するのはあまりに短絡的で、実のところ商品が集まらないということが最大の欠陥であり、その欠陥を百貨店企業は都市部の店の取引における優位性を利用して無理矢理進めていただけに過ぎないのです。



裏を返せば、地方百貨店そのものにニーズが失われたわけではなく、以前に記した内容(上掲リンク参照)を要約すると、以下3点の磨き上げをしっかりやることで、ニーズの掘り起こしは十分可能であると、少なくとも私は見ております。


❶MD見直し及び自主編集拡大
❷顧客滞留時間の拡大促進
❸「ワクワク感」をキーに環境整備


行政サイドはこれまで「百貨店撤退=地域衰退」との考え方から百貨店の維持のためのありとあらゆる支援をおこなっており、館に行政関係施設を入居させることなどで「延命」を図っている面が否めません。わが国の総消費額が150兆円に至るなかで百貨店はEC含んでも5兆2000億円(2022年)とそのシェアは僅か3.5%ほどとなる中で、業界内における影響力なんて過去のもの。むしろ地域ニーズのないままで大型店を延命させることの方が地域経済活性化にとってマイナスであることを、自治体関係者のみなさんには強く認識して頂きたいものであります。


おそらく百貨店業界は都市部の大型店にリソースを集中させつつ地方では撤退カードをちらつかせながら行政からの支援を引っ張り出す戦略と見受けますが、今一度、均衡感のある投資戦略の策定に期待いたしたいものです。


■□■GO-chin無料相談所■□■


◆ショップの売上を上げたい!
◆売れ筋の商材を入れたい!
◆生産者として販路を確保したい!
◆科学的分析を取り入れたい!
などなど……

ショップ、生産者など様々なご相談に、直接お答えします!ご相談は完全無料ですので、お気軽にお寄せください!
(内容によってはお返事いたしかねる場合もございます。)



g.osada.55labo@gmail.com