オーケー、関西進出戦略予測。

首都圏で食品スーパー（SM）を展開するオーケーがいよいよ関西に進出します。



産経新聞の記事によると、同社は東大阪市の市有地約3600㎡を自社で落札、再来年となる2024年春に現在のフラッグシップ・みなとみらい店（横浜・西区、売場面積2700㎡）と同規模の店となるとのこと。


関西スーパーへのTOBで一躍有名に

同社といえば、関西スーパーマーケット株のTOBをめぐり関西スーパー側の経営陣と対立し、法廷闘争までもつれた結果、エイチ・ツー・オーリテイリング（H2O、阪急阪神百貨店・イズミヤ等の持株会社）の傘下入りということで決着した経緯があります。これらの動きから1年、同社の関西進出は自力でおこなわれることになります。


同社はこのTOBに備えて、およそ700億円のキャッシュを備えていたとみられており、この費用をもとに関西進出に臨むものとみられます。つまりは首都圏での出店政策はこれまで通り続けながらも、豊富なキャッシュを背景に一気呵成にドミナント出店するという予想は容易につきます。


出店地は


GoogleMAPで見ると出店地は東大阪市の地下鉄中央線の高井田駅近く。敷地そのものは中央大通と面してはいないもののタワーパーキング部分を取得すればパーキングへのトラフィックは盤石なものになるでしょう。




また周辺にはライフが出店する以外に、ディスカウントスーパーのサンディ、また関西SMの覇者ともいえる万代が本社を構える地でもあるSM激戦区です。なぜオーケーは関西初出店の地にここを選んだのか。それを知るには、首都圏での同社の出店政策をみる必要があります。


オーケーの出店戦略

オーケーの経営は客ひとりあたりの買上点数の高さが強みです。近年は都市部への小型店出店もみられますが、店舗のほとんどを占める大型店では他社基準を大きく上回る駐車台数を確保しており、マイカー所有者が同社にとって大きなターゲットになっていることが窺えます。そのため、かつてのダイエーなどに倣って国道16号周辺、おもにその内側にドミナント出店しているのです。



以上を踏まえると、周辺には地元で「内環」と呼ばれる国道（内環状線）が存在します。豊中市を起点に吹田市、東大阪市、大阪市（東淀川、旭、鶴見、城東、東成、生野、平野、東住吉、住吉、住之江の各区）を結ぶ幹線道路です。今回、その外側に出店を決めていることから、関西における同社の基本的な出店政策として、「内環」よりは外、そしてさらに外周に位置する「中環」（中央環状線）よりは内側エリアへの出店を目指しているのではないかと推察します。大阪都市圏は首都圏よりも都市部がグッと狭いため、同社としてはおそらく中環を国道16号に見立てた政策を描いているのではないかというのが私の見立てです。


出店時期は当初の予定通り2023年度とはいえ24年の1〜3月、二宮社長は店舗設計に大凡1年半かかると仰っていたのでその時期とは符合するのですが、やや遅らせた感も否めません。おそらく、基本出店政策エリア（内環〜中環）に一気に10店舗近く出店するのではないかと見ています。オーケーのビジネスモデルはドミナント化がキーですので1店舗ぽつんと出すということはオペレーション上まずあり得ません。そのために関西スーパー株に相当のプレミアムを付けてでも買収したかったわけですから。その意味ではおもに東大阪市、大阪市南東部、堺市周辺の物件をしらみつぶしに当たっている可能性は高いと見ます。


賃貸借ではJR西絡みに出店か？

同社はランニングコストの低減を実現するため、賃料がかからない自社物件での出店を基本にしていますが、出店スピードを確保すべく賃貸借も含めた幅広い検討がなされているようです。このうち同社の関西出店において注目される動きとしては首都圏でJR西日本グループが開発するRSC「ビエラ」に出店していることです。同業態はおもに関西のJRの駅前や社宅跡などの遊休地に建設されることが多く、不動産を鉄道に次ぐ事業に育てようとするJR西日本の戦略の中で拡大強化されているものですが、関西エリアでも新規出店する「ビエラ」への進出が考えられます。


（画像提供:大鉄工業株式会社）


首都圏のマーケットを切り拓いたのと同様の手法を用いることで関西攻略を狙ってくるオーケー。豊富な資金力を背景に闇雲に出店するような愚行にさえ走らなければ、大手SMや地場企業を超える支持を得ることは間違いないと考えています。飽和市場ともいえる関西でどこまで伸長できるか、引き続き注視してまいります。


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