私自身は「いる!」と思っています。


(Wikipediaより)


最初に私の考えを端的にお伝えしましたが、今、リニア中央新幹線が品川駅(東京・港区)〜名古屋駅(名古屋市)間で工事が進められています。今日はそのネタです。


東京〜名古屋が40分!

実際にリニア中央新幹線が開通したとシミュレーションしてお話していきます。

中央新幹線は1時間あたり4本のダイヤが組まれ、うち3本、おおよそ20分ヘッドで速達タイプが発車、品川駅と名古屋駅をノンストップで結びます。所要時間は40分、現在の新幹線が最速1時間24分ですから44分短縮となります。たとえば都内で行われる9時の会議に、7時30分くらいに名古屋駅を出る「新幹線」に乗れば十分に間に合う訳です。中部圏の中心都市たる名古屋は時間距離に照らせば首都圏と同様の利便性を手にすることとなり、首都圏と中部圏が同一経済圏の形成が期待されています。

また1時間に1本走る停車タイプは静岡県以外の経由する県にひとつずつ設けられる駅に停まります。これにより品川から神奈川県の駅が設けられる橋本駅まで10分、名古屋から岐阜県の駅が設けられる中津川市まで15分で結ばれることで、これまでロケーションに恵まれなかった場所が大動脈の中間駅に躍り出ることになり、地域活性化にも大きな役割を果たすことが期待されます。


相模原市は橋本駅周辺の再開発に着手する。

(相模原市ホームページより)


一方でリニア中央新幹線開業後は、東海道新幹線の東京〜名古屋間における移動旅客のほとんどがリニア中央新幹線に流れること、また名古屋以遠の旅客についても一部は名古屋駅での乗り換え需要が産まれることが考えられるため、東海道新幹線の「のぞみ」号が減便となる予測です。この予測通りとすると、東海道新幹線の東京〜名古屋間の中で利用客の多い豊橋(愛知県)・浜松・静岡・熱海(いずれも静岡県)・小田原(神奈川県)などに2駅程度停車するダイヤが組まれるようになり、速達性は10分程度毀損するものの、中間駅の大幅な利便性の増強に繋がるものとみております。


2030年ごろの開業になるか?

当初の開業時期は27年とされてきましたが、大都市圏となる品川駅・名古屋駅の両駅とその付近、および静岡県北部における工事の遅れが指摘されてきました。静岡県北部においてはトンネル掘削により、とりわけ平野部における大切な水源である大井川の水量が減少するとして、静岡県がリニア中央新幹線新設工事に必要な許可を出していません。

 

JRは減少した水をポンプで戻すとは言うが…
(東海テレビより)


また、「品川駅」については自社が運営する東海道新幹線の品川駅直下につくるため影響は少ないものの、「名古屋駅」については既存の名古屋駅を横断する構造のため、駅施設部に当たる部分において大幅な立ち退きが発生しています。立ち退きのペースは予定よりもかなり遅れており、現在は立ち退き施設の解体真っ盛りで開削工事はこれからという状況、日本の土木技術が進展したとはいえ、大都市の地下駅が「あと6年」で開業できる訳はありません。


ターミナル駅は開発ラッシュ

リニア中央新幹線のターミナル駅にあたる品川駅・名古屋駅付近は開発ラッシュに湧きます。

京急はリニアも睨み品川開発を加速させる。

(京急プレスリリースより)


現状、品川駅を実質的なターミナルにする京急は、高輪エリアのホテルなどからなる25,000㎡の敷地をトヨタ自動車などとともに再開発を進める予定です。


京急などが開発する「シナガワグース」跡。

ホテル・商業・MICE施設が入居する予定。

(いずれも京急プレスリリースより)


また、国土交通省などの支援を受けながら、品川駅に隣接した国道15号線直上に人工地盤を新設するとともに高輪口に面する京急の品川駅を東側にそっくり移転させ、南側には商業空間を、北側には「バスタ新宿」のような高速バスターミナルの開業を目指します。品川は既に羽田空港に繋がる拠点駅でもあるため、さらなる活性化に向けた動きが加速化しています。


手狭だった品川駅高輪口の空間が変わる。

(国交省関東地方整備局HPより)


一方の名古屋駅ではJRのライバルである名鉄を中心とする企業グループが駅前の南北400mに亘る再開発案件を検討しています。当初はリニア中央新幹線開業を睨み27年開業としていましたが、開業が遅れる事を見込み、30年ごろのビル開業を目指していく方針です。


名鉄が発表した再開発イメージパース

(名鉄ホームページより)


また、駅の開削工事で発生した場所で新たなまちづくりへの挑戦も始まっていて、名古屋市によると、大きな広場を中心にした再開発が想定されていて、完成すればオープンエアなショッピング・グルメ空間が誕生するかもしれません。



リニア名古屋駅部直上には広場形成を予定。

(いずれも21.3名古屋市発表資料より)


また名古屋においては名古屋駅から2kmほど離れた栄地区の再開発もさかんです。中日ビルは目下工事中、そして長年の懸案でもあった栄3丁目25番街区の工事もいよいよ前進します。


栄の景観を一変させる高さ213mの高層ビル。

(愛知県提供)


期待?不安?名古屋の模索

名古屋の政財界ではリニア中央新幹線で品川と45分で結ばれることに関して期待と不安が交錯しているということです。期待の声としては「首都圏と事実上『一体化』した経済圏として成長できる」、不安の声はその逆で、「『一体化』するがゆえにストローされてしまうのでは」というものです。


大阪に本社を置く関電不動産開発は、

名古屋・伏見でオフィスビルを手がける。

(関電不動産開発HPより)


ただ、市内の開発案件には東京や大阪に本社を置く企業も多く、名古屋がより注目されている立地であることが証明されていること、また現下の開発進展のようすを見るにつけ、「期待」がやや上回っているのかな、という様子が窺えます。ただしリニア中央新幹線開業後、航空需要については羽田に相当数流出するとみられます。セントレアについては2期工事の推進やLCC誘致などの対策が必要になるとみています。


名古屋港の浚渫土を使って空港島を拡張、

2本目の滑走路実現に向け前進した。

(中日新聞より)


リニア延伸は京都駅へ。

リニア中央新幹線は名古屋駅からさらに延伸し、三重県・奈良県を通り新大阪へと延ばす構想があります。45年までの開業予定とされていますが、名古屋までの先行開業が遅れている現状で、大阪開業もその後になるのではと危惧されています。

また、その際に新大阪駅付近を西日本のターミナルにする構想が示されていますが、仮に名古屋以遠に延伸するのであれば、新大阪駅に乗り入れるよりも大阪駅や京都駅をターミナルにした方が、広域交通機関としての機能がより高まるのではないかと考えています。


京都市は一貫して京都駅ルートを主張している。

(京都市情報館より)


とりわけ京都駅は東海道新幹線の駅が残るとはいえ、最速ルートは首都圏からリニア中央新幹線を経て名古屋駅での乗り換えを要すことになります。名古屋駅は中部地方の中心駅でありながら、首都圏側から見た時に「近畿地方のハブ駅」の役割を果たすというチャンスを得る反面、京都の奥座敷化が促されることは確実です。その危機感から京都市は「リニアを、京都へ。」とキャンペーンを打ちアピールしていますが事態は変わっていません。以前も少し記しましたが、新大阪駅にかわり京都駅を近畿地方の広域交通の核として整備するうえで、リニア中央新幹線を京都発着とする提案については、大きな反発が予期されるものの、私はひとつの方向性としては支持が頂けるものと考えております。そのためには京都府市の京都駅整備に対する相当の決意と覚悟が必要である事は論を待ちません。


京都府市の強い決意と覚悟を前提の上で、

京都駅を関西の玄関口として整備すべき。


現代に即した総合的な交通戦略を

広域交通を論ずるうえで、やはり問われるのは総合的な交通戦略です。人口が増加し需要の伸長がみられる状況下であれば利便性を第一義としたネットワークの拡充は功を奏すかと考えられます。しかしながら人口縮小に加えて、リモート会議の普及等が劇的に進んでいる現下の状況を鑑みますと、今後、広域交通の意義に変化が生じていくことが容易に想像できます。そういう中で、航空機・新幹線・都市交通等を組み合わせた総合的な交通戦略こそ大切になってきます。


昨年伊丹空港に降り立ってビックリ!!

最新のウォークスルー型商業エリアが誕生。


東京-大阪間でのトラフィックを論ずる際に重要なのは羽田空港・大阪空港(伊丹)の活用です。特に伊丹は年間およそ1,500万人の利用客のうち、羽田だけでおよそ1,100万人、実に73%が羽田発着旅客ということになります。ただ、羽田・伊丹両空港ともに市街地の主要地区(たとえば羽田〜東京駅・新宿駅、伊丹〜大阪梅田駅・なんば駅)まで鉄道でダイレクトにアクセスしていませんので、その条件を含んでの数字となります。

羽田サイドではJRが「羽田空港アクセス線」を計画、東京駅まで18分、新宿駅まで23分で結ぶ計画で、うち東京駅ルートは29年開業予定となっています。

伊丹サイドでは阪急電鉄が宝塚線の曽根駅から大阪空港に繋がる新線を計画しています。実現すれば、おそらく大阪梅田駅と大阪(伊丹)空港の間を15分ほどで結ぶことになりそうです。


阪急大阪梅田駅から伊丹空港まで15分?

(阪急電鉄大阪梅田駅)


都市交通の整備で広域交通へのトラフィックをスムーズにする施策に加えて、伊丹の好立地ゆえの悩みでもある離着陸の制限時間(21:00〜翌7:00)には関西国際空港のほか市街地に近い神戸空港の活用も視野に入ります。神戸空港は海上にあるにもかかわらず深夜早朝の離発着が出来ないのですが、これを解消するだけでよりスムーズな往来の実現、さらには経済活動の活性化が図れます。


神戸空港は建設の経緯から様々な足枷が。

利活用策は関西経済にとって非常に重要。

(神戸市企業誘致サイトより)


構想段階から建設に向けて活動している「中央新幹線建設促進期成同盟会」が当時想定されていた沿線9都府県によって設立されたのが1979年。もう40年以上も前のプロジェクトを当時の計画のまま進めるというのは無謀な感もあります。リニア中央新幹線が「いる」か「いらない」か、という議論を超えて、あくまで国や自治体には、総合的・俯瞰的な交通戦略のもと、バランスの取れた施策に強く期待したいものであります。



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