本記事の前編はこちらをご覧ください。



先の記事で触れたように、南海電鉄の和歌山側のターミナルである和歌山市駅は和歌山の代表駅でも中心市街地にも位置していません。御坊市を中心とする紀中、白浜や新宮などを擁する紀南へのトラフィック機能は、専らJRの和歌山駅が担います。その中で、南海線のターミナルを和歌山駅に移転させる構想も県議会等で議論されたことがあります。


(Wikipediaより)


和歌山市駅には以前このような駅ビルが建ち、1階・2階に高島屋が出店していました。しかし高島屋が閉店し駅前も寂れゆく中、降って沸いたのがこの再開発構想でした。


広い敷地を活用して、オフィス・商業・公益施設とホテルを集めた複合開発が南海と和歌山市によって始まったのが2015年、そこから足掛け6年で再開発を竣工させました。



図書館・書店・カフェ等が入居する公益施設棟は南海と和歌山市による再開発組合が建設した後、和歌山市が買い取ることで民間企業である南海の負担を軽減させるとともに、駅前に「和歌山市民図書館」を移転させることで利便性と駅前活性化を成し遂げています。私も見に行ってみましたが、南に開けたテラスからは和歌山城が、北側の窓からは紀の川の雄大な流れを目にする事ができ、多くの市民が静かな空間で本に触れている姿を目にする事ができました。


そしてホテル棟には「カンデオホテルズ南海和歌山」が誕生。



客室内の窓付近に小上がりがあって、そこからの眺望です。南海和歌山市駅(眼下の青い電車は「加太さかな線」の観光電車)と、その奥を流れるのが紀の川、その奥には和歌山と大阪を隔てる紀伊山地が拡がります。


(カンデオホテルズ南海和歌山HPより)


ここの魅力は最上階12階に設けられた大浴場内の露天風呂です!紀の川や和歌山港の海と一体化したインフィニティ空間はまさしく天空のリゾート。ここ、人口35万人和歌山市のターミナル駅、真下には駅を日常使いしているサラリーマンや学生さんも数多…全く信じられません!!


ホテル宿泊の翌日は加太観光に出かけたのですが、荷物はホテルのフロントに預けっぱなしで手ぶら観光、帰りに荷物を受け取りすぐに電車に飛び乗れる…ターミナル駅直結ホテルならではの快適さでとても良いプチトリップを楽しむことができました。


この駅ビル建設にあたっての行政の支援が手厚すぎるのではないかという声がありますが、和歌山市駅の計画初期段階でのポテンシャルを考えるに、行政の支援なくして民間活力を誘発させることは考えにくく、開発のスピード感も含めて、結果的に良い方向に動いたのではないかと考えます。中心市街地の駅ビルをめぐっては、例えば行政が出先機関を作り、そこにあえて高額な賃料を設定することでディベロッパーを「支援」する動きもみられます。歳出の適正規模は自治体の財政状況や市民サービス推進状況等を総合的に勘案する必要があり、ここでは論評を避けますが、活性化や地場産業育成の見地から申せば、今回の民間と行政合わさった取り組みはベストミックスと言って良いと思います。



次のステージとしては、駅の賑わいを周辺街区にどう拡げるかであります。駅前には真新しい飲食店やコンビニが出来ており、徐々に波及しつつある様子は窺えますが、歩行者も少なく寂しげな印象を受けました。JR和歌山駅に相対するもうひとつの核として発展への道筋が付くような市街地中心部のトラフィック改善を早急に図るべきと考えます。和歌山市駅に隣接する和歌山市民会館跡地開発も含めてどう整備が図られるのか、引き続き注目していきたいです。


最後に、夜の和歌山市駅・キーノ和歌山を。



かつての薄暗い駅前の面影は完全に消えて、館の賑わいが外に伝わるスケルトンな内装は和歌山の玄関口に相応しいものだと思います。コロナ禍が過ぎて人の往来が活発になった時には、大いに賑わう事を期したいと思います。



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