
私は当時の愛車ブルーバードにマフラーを入れ、不釣り合いな派手なホイールを組み、カーステでソウルをガンガンかけて、自分なりに楽しいカーライフを満喫していました。

ある日の学食にて
「お前、走りとか興味あるの」
「…う~ん??」
「俺この前○○線(某サーキットの事)ば走ってきたさ」
「…ふ~ん。それどこにあるの。面白いの」
何を言っているのかサッパリです。
何だかスピードを出して走るみたいです。競走もするみたいです。
よく判りません。
当時は運転しているだけで楽しくて(今もですが)、色々な道をドライブしに行きました。
そのノリで、某サーキットにも行ってみました。
「グネグネしてるな~。真っ暗だし」
何だか面白そうな予感がしてきました。
その後も暇があれば通いました。ただ、ほんの少しスピードを上げて往復するだけでしたが、それでも充分楽しかったです。
その内、70スープラやEP71が道端に停まっているのを見掛けました。
「あれは…走り屋かな」
そうしたある日、いつも通りに往復していると、後ろから物凄い勢いでライトが近づいて来ます。
「な、何だ?走り屋か?」
直ぐさまハザードを焚いて譲ります。
「あ!ブルーバード??U12?!」
追いかけます。
追いつく筈も無く、あっという間に見えなくなりました。
が、暫く走ると見えてきました。ゆっくり走っています。
「もしかして…待ってる?」
また凄い勢いでいなくなりました。
停まっていたので勇気を出して話し掛けてみます。
「こんばんは~。走ってるんですか。ブルーバードですか」
「うん、そう。U12」
走り屋なる人種と最初に交わした言葉です。
その先輩の車は同じU12でも後期型SSSアテーサリミテッド。SR20DET・205馬力仕様です。

私の車とは全く別物です。
何でも、私が現れるのを待っていたそうで、見つけて追いかけて来たそうです。
先輩方でこんなやり取りがあったそうです。
「ブル、マフラー入れないの」
「だから出てないんだって。どこからも」
「イヤあるって。俺ここで見たもん。マフラー入れて走ってるブル。リムが赤いホイール履いてさ」
「…マジで??」
それで待っていたそうです。
マフラーはワンオフ品である事を説明しました。
先輩の車は足回り以外ノーマルです。カヤバラリーショックにSSS-R純正サスで少し車高が上がっていました。
と言いますか、当時は皆こんな感じ、足回りにマフラー程度でしたよね。
今みたいにエンジンに手を入れたりタービンを換えている人はいませんでした。
当然、車高調なんてレース専用の超高級品です。
確か当時は、足回り交換でさえ改造申請が必要だった筈。ノーマルじゃないと車検は一切不可でした。
話の流れで、先輩の横に乗せてもらう事になりました。
「うぉっ!マジでこんなスピード?曲がれないって。だあぁ~コッチは対向車線だってぇ」
別世界です。
ジュースを奢ってもらい、何人かの先輩を紹介してもらいました。
「俺ら大体ここら辺にタマッてるから。青いジャンパー着て車に同じステッカー貼ってるのは皆俺の仲間だから、話し掛けても大丈夫だよ」
そう言って、その先輩は帰りました。
新しい知り合いが出来た事が嬉しくて、それから通いました。
他の先輩方や年の近い人達、そして前にも話した、ハチロクに乗る師匠にも出会いました。
あの時知り合った、私よりも先に某サーキットにいた人で、今でも走っているのは同い年でハチロクに乗っているヤツだけかなぁ。
私を走り屋の世界に引きずり込んだFCの友人も、学校卒業後何ヶ月かで会社を辞め、地元に帰ってしまいました。走る事も辞めてしまいました。
この当時は、まさか自分がシルビアに乗り、憧れのステッカーを貼り、そしてオヤジになっても同じ場所を走っているとは、全く思いもしませんでした。