本書は、定年を人生の終着点ではなく、
新たな人生の出発点と捉え、
仏教の教えを通じて豊かに生きるための
5つの智慧を説いています。
著者の安永雄彦氏は、銀行員、
経営コンサルタント、ヘッドハンターを
経て僧侶となり、築地本願寺の宗務長として
経営改革を成功させました。
その経験から、会社での地位や肩書に依存せず、
自分自身の価値を見いだす重要性を説きます。
第一は「凡夫の自覚」です。
人間は不完全であり、迷いや弱さを持つ存在だ
と認めます。例えば、定年後に部下や権限を
失っても、それを自分の価値の喪失と
考えないことです。
第二は「影と煩悩の受容」です。
嫉妬や承認欲求を否定せず受け入れます。
かつての部下が活躍する姿に複雑な感情を抱いても、
自分を責める必要はありません。
第三は「報恩感謝」です。
家族、同僚、友人など、多くの人々に
支えられてきたことに感謝します。
退職後も地域活動や社会貢献を通じて、
人とのつながりを深めることが大切です。
第四は「失敗からの学び」です。
過去の成功体験に固執せず、
新しい挑戦を続けます。例えば、退職後に
未経験の仕事やボランティアに取り組み、
失敗から学ぶことで新たな可能性が開けます。
第五は「一日一生」です。
残された人生を仮に5年と考え、今日一日を
大切に生きます。先延ばしにしていた旅行や
学び、人との交流を今から始めるのです。
本書が伝えるのは、人生の豊かさは地位や財産
ではなく、執着を手放し、感謝と挑戦を重ねる
姿勢によって生まれるということです。
定年は終わりではなく、自分らしく生き直す
好機なのです。
毎日少しずつ易経を読んでいます。
「天地交わらざるは否(ひ)なり。
君子もって徳を倹(けん)にし難を辟(さ)く。
栄(えい)するに禄(ろく)をもってすべからず。」
天地交(まじ)わらざるとは、
人が起こした禍で無道乱世の世の中。
会社組織に喩えると、
経営者側は利権をあさり、
従業員はなるべく怠けようとする
ような状況である。
このような時は、
爵禄つまり出世や儲け話から遠ざかり、
要職に就くべきではない。
要職に就けば、後に必ず災難が降りかかる。
よく省みて、警戒謹慎することが必要だ。
『易経一日一言』(致知出版社)竹村亞希子編より
時の到来を待つということですね。
それでは、また。(^_-)


