本書は、辛坊治郎・辛坊正記兄弟が、
「真面目に働いているのに、なぜ生活は豊かにならないのか」
という疑問を、日本経済の構造から解き明かした一冊です。
賃金、物価、税金、社会保障、円安、株価、投資、AI、財政まで
幅広く取り上げ、個人の努力だけでは説明できない
「日本人が豊かさを実感できない理由」
を論じています。
象徴的なのが、「親世代の普通が、子世代には贅沢になった」
という問題です。
かつては会社員として働き、結婚して家や車を買い、
子どもを育てる生活が一般的な人生設計として描けました。
しかし現在は、賃金の伸びが物価や社会保障負担の増加に
追いつかず、給料が上がっても手取りの増加を実感しにくく
なっています。
さらに円安になると、輸入するエネルギーや食料品などの
価格が上がり、家計を圧迫します。
特に重要なのが、現金や預金だけを持つことにも
リスクがあるという視点です。
例えば100万円を預金していても、物価が上昇すれば
数字は100万円のままでも、買える商品の量は減ります。
一方、株式などの資産を持つ人は、インフレや円安による
資産価格上昇の恩恵を受ける可能性があり、
資産を持つ人と持たない人との格差が広がります。
また、日本は優れた技術を生み出しても産業化で
後れを取り、ライドシェアやドローンなど新しい産業も
規制によって成長しにくいと指摘します。
AIについても、技術革新そのものが自動的に
国民を豊かにするわけではありません。
本書のメッセージは、単なる「節約術」や「投資指南」
ではなく、豊かになるためには経済の仕組みを理解し、
自分のお金と働き方を自分で選択する必要がある
ということです。
貧しさを個人の努力不足だけで考えず、
日本経済の構造を知ったうえで、
預金・投資・仕事・老後を主体的に考えることが、
これからの時代を生きる重要な知恵だと教えてくれる本です。
