本書は、英『エコノミスト』誌のマイク・バードが、

土地こそが近代資本主義と金融システムを動かしてきた

重要な資産であることを、

約300年の歴史から解き明かした一冊です。

 

世界の実物資産の約35%を土地が占めており、

株式やIT企業の動向だけでは

経済の本質を理解できないと指摘します。

 

土地には

「増やせない」

「移動できない」

という特徴があります。

 

一方で価値が比較的失われにくいため、

銀行融資の担保として利用され、

信用創造を支えてきました。

 

例えば植民地時代のアメリカでは、

土地を担保に銀行券を貸し出す仕組みが発達しました。

 

土地価格が上昇すると担保価値が増え、

融資が拡大し、さらに土地が買われる

という好循環が生まれます。

 

しかし価格が下落すれば、

この仕組みは逆回転し、

金融危機を引き起こします。

 

代表例が1980年代の日本です。

土地価格の上昇を前提に銀行融資が膨張し、

巨大な不動産バブルが形成されました。

 

ところがバブル崩壊後は、

土地価格の下落と不良債権問題が

企業や銀行を長期間苦しめました。

 

同様に、2008年の米国住宅バブル崩壊や、

近年の中国で大量の住宅が建設された不動産危機も、

土地と信用が過度に結びついた結果として捉えられます。

 

さらに土地価格の上昇は、

すでに土地や住宅を持つ人を豊かにする一方、

若者や低所得者の住宅取得を難しくし、

世代間・資産格差を拡大させる側面があります。

 

本書は、不動産価格の上昇を単純に「豊かさ」と

考える危険性を示しています。

 

土地は富を生み出す強力な資産であると同時に、

金融危機や格差を生む「罠」にもなります。

 

経済を見る際には株価やGDPだけでなく、

土地価格、住宅ローン、銀行融資の動きを見る

必要があることを教えてくれる、

現代経済を理解するうえで示唆に富む一冊です。

 
私は日本のバブル崩壊と
米国でのサブプライムローンの崩壊を
ある種当事者として近くで見ていましたので、
土地をベースにした過度な信用拡大は危険です。
これからは中国の不動産危機も予想されます。
 
土地は資産としては重要ですが、
神話化して過度の信用許与をしないように
注視する必要がありますね。
 
それでは、また。(^_-)