本書は、英国のサイエンスジャーナリストである
デビッド・ロブソンが、
「なぜ頭の良い人ほど非合理な判断や愚かな失敗
を犯すことがあるのか」
という逆説的なテーマを、
心理学や認知科学の研究成果をもとに
解き明かした一冊です。
著者は、高いIQや学歴、専門知識が
必ずしも正しい判断力を保証するわけではなく、
むしろそれらが
「知性の罠(インテリジェンス・トラップ)」
になることがあると指摘します。
本書で最も重要な概念は
「動機づけられた推論」
です。
これは、自分が信じたい結論に
都合の良い情報だけを集め、
反対の証拠を無意識に排除してしまう
心理現象です。
知能の高い人ほど論理的思考力が高いため、
自分の誤りを修正するのではなく、
誤りを正当化するための理屈を
巧みに作り出してしまいます。
具体例として、推理小説『シャーロック・ホームズ』の作者
であるアーサー・コナン・ドイルが
紹介されています。
彼は卓越した知性を持ちながら、
後年は心霊現象や妖精写真を本物だ
と信じ込みました。
また、一部のノーベル賞受賞者が
陰謀論や疑似科学に傾倒した例も
挙げられています。
これらは知識不足ではなく、
自分の信念に固執した結果
とされています。
さらに著者は、
IQが高い人ほど投資判断で失敗したり、
破産リスクが高くなったりする研究
も紹介しています。
一般には「頭が良ければ合理的な判断ができる」
と考えられていますが、
実際には自信過剰になりやすく、
自分だけは間違えない
と考える傾向があるためです。
組織運営についての考察も興味深いもの
があります。
企業では優秀な人材ばかりを集めても
必ずしも成果は上がりません。
野球チームのように個人能力が直接結果に
結びつく世界ではスター選手を集める効果がありますが、
企業のように協働が必要な組織では、
謙虚さや他者の意見を受け入れる姿勢が欠かせない
と述べています。
では、この罠を避けるにはどうすればよいのでしょうか。
本書は「知的謙虚さ」を重視します。
自分にも間違いがあると認める姿勢を持ち、
反対意見に耳を傾けることです。
また、日記やメモで考えを書き出すこと、
感情から距離を置いて考えること、
多様な視点に触れること
なども有効だとされています。
本書が伝える最大のメッセージは、
「本当の知性とは知識の量やIQではなく、
自分の思考の限界を認識し、
学び続ける姿勢である」
ということです。
特に経営者やリーダー、専門家ほど読む価値が高く、
自信と謙虚さのバランスの重要性を
改めて考えさせられる一冊です。
毎日、日記で反省し、
感情から距離を置いて考え、
多様な視点に触れること
ですね。
実行してみます。
それでは、また。(^_-)
