本書は、量子コンピュータを単なる未来技術
としてではなく、
「これからの時代を理解するための新しい教養」
として捉え直した入門書です。
大阪大学教授であり量子計算研究の第一人者で
ある藤井啓祐が、
難解な数式を極力使わず、量子力学の誕生から
実用化競争の最前線までを体系的に
解説しています。
本書ではまず、
「量子とは何か」を歴史から丁寧に説明します。
プランク、アインシュタイン、ハイゼンベルク、
シュレーディンガーら
天才物理学者たちが、20世紀初頭に
「電子や光は粒でもあり波でもある」
という常識外れの世界を発見した過程が
描かれます。
例えば、電子は観測されるまで複数の状態が
重なり合って存在している
「重ね合わせ」
の状態にあります。
この奇妙な性質が、量子コンピュータの
圧倒的な計算能力の源泉になります。
従来のコンピュータは「0」か「1」で
情報を扱いますが、
量子コンピュータは量子ビット(qubit)を使い、
「0と1を同時に持つ状態」
を利用できます。
例えば迷路を解く場合、
普通のコンピュータは一つずつ道を試しますが、
量子コンピュータは膨大な候補を同時並行的に
探索できるイメージです。
このため、新薬開発、
金融シミュレーション、
物流最適化、
素材開発などで
革命的な変化を起こす可能性がある
と著者は説明しています。
特に印象的なのは、Googleが2019年に発表した
「量子超越性」
の事例です。
これは、特定の計算問題において
量子コンピュータがスーパーコンピュータを
上回ったとされる実験です。
一方で、中国勢の急成長や、
日本企業・大学の国産量子コンピュータ開発
にも触れられ、量子技術が国家戦略レベルの
競争になっている現実も描かれています。
また本書は、「量子コンピュータは万能ではない」
という点も冷静に説明しています。
量子状態は非常に壊れやすく、
エラー訂正や極低温環境など、
多くの技術的課題があります。
著者は、現在の量子コンピュータは
黎明期の真空管コンピュータのような段階であり、
今後10〜20年かけて社会実装が進む
と見ています。
さらに興味深いのは、
量子コンピュータがAIとも結びつき始めている
点です。
膨大な組み合わせ最適化を必要とする
機械学習では、
量子技術がAIの性能を飛躍的に高める
可能性があります。
実際、著者自身も量子機械学習の研究を
進めています。
本書の最大の魅力は、「量子力学」という
難解なテーマを、
人類の知的冒険の歴史として描いている点です。
単なるIT本ではなく、
「人類は世界をどう理解してきたか」
を考えさせる教養書になっています。
AI時代の次に来る技術革命を理解する入口として、
多くのビジネスパーソンや一般読者にとって
非常に有益な一冊です。
いや〜。
私のような文化系の人間には
難しい題材ですが、
量子力学が世の中の発展に役立つのは
確かでしょうし、
更にAIとと結びつけば
人類の発展に役立つでしょうね。
私も少しずつ勉強していきます。
それでは、また。(^_-)
