本書の核心は、
「現代経済の成長の正体は“借金(負債)”である」
という、従来の常識を覆す主張にある。
一般に経済成長は
「技術革新」や
「労働生産性」による
と理解されるが、
著者は過去50年の主要国データを分析し、
GDPの拡大は実際には
“新たな負債の増加”
と強く連動している
と指摘する。
重要な視点は、
「お金は誰かの借金として生まれる」
という点である。
銀行が企業や個人に融資を行うことで
信用が創造され、
それが通貨として
経済を循環させる。
例えば、企業が設備投資のために借入を行えば、
その資金は給与や発注として他者に流れ、
結果として経済全体の需要が拡大する。
つまり、借金は単なるリスクではなく、
成長のエンジンでもある。
しかし同時に、負債の増大は深刻な副作用を伴う。
特に問題なのは「資産格差の拡大」である。
借入によって膨らんだ資金は、
株式や不動産といった資産価格を押し上げるが、
これらを多く保有する上位層ほど利益を得る構造になる。
その結果、いわゆる“トリクルダウン”は起こらず、
むしろ「富ではなく負債が下に落ちてくる」
という逆転現象が生じる。
また著者は、危機の予兆として
「民間債務」に
注目すべきだ
と強調する。
政府債務ばかりが問題視されるが、
実際の金融危機は
企業や家計の過剰な借入から発生する
ことが多い。
2008年のリーマンショックは
住宅ローン(民間債務)の膨張
が引き金であり、
日本のバブル崩壊も同様に
民間部門の過剰債務
が原因だった。
この意味で、日本は
“未来の先行事例”
と位置づけられる。
さらに、コロナ禍の例も示唆的である。
政府が巨額の財政支出を行い
負債が急増した一方で、
家計資産はむしろ増加した。
これは「負債の増加が同時に誰かの資産を生む」
というバランスシート構造を象徴している。
結論として本書は、
「負債は成長と危機の両方を生む二面性を持つ」
とし、
その制御こそが
資本主義の最大課題である
と説く。
単に借金を減らすのではなく、
どこに、
誰に、
どのように
負債が積み上がるのかを
見極めることが、
次の金融危機を防ぐ鍵である。
そうですね。
元銀行員として、
企業や個人の借入が
信用を創造し、
それが経済を循環させる、
という構図は、
わかりやすいのですが、
借入ができる信用力をつけるのは
難しいですね。
孫さんのように世界各国の大手ファンドから
資金を得るのもある種の借入ですが、
それは、孫さんの(ハッタリも含めた)実行力が
信用になっているからで、
私が同様に大きな金額を借入できる
わけではないですからね。
しかし、過大な借入の副産物として
金融危機も起こりえるので
そのあたりの見極めも必要ですね。
それでは、また。(^_-)
