本書は、日本人の精神史を
「神話の時代」から
「明治維新」までの
長い流れの中で捉え直し、
日本人が古来どのような価値観や精神性を
育んできたかを
五つの「話題」を通して
描き出そうとしています。
五つの話は以下の構成です──
- 神さまの国 ― 神話・神宮・天皇
- よみがえる山稜 ― 神武天皇陵の歴史
- 七たび生きる ― 「楠公精神」の歴史
- 祈りの力 ― 孝明天皇と吉田松陰
- “維新”のかたち ― 五箇条の御誓文。
それぞれの話題は単なる歴史的事象の羅列ではなく、
著者が講演で語った口調を活かした
「講話形式」の文体で記述されており、
平明で読みやすい点が特徴とされています。
堅苦しく学術的な文章に陥らず、
読者が日本の歴史を自らの精神史として
実感できるような語りがなされている点を
評価しています。
記事では、
たとえば第一話の神話論について
「固有の神話伝承を持つ民族にとって神話が意味するものは何か」
「日常生活の中に生きる人々に神や仏の存在をどのように説明すべきか」
といった普遍的な問いを投げかけた上で、
日本建国神話(『古事記』・『日本書紀』に代表される)と
天皇・神宮の関係が明快に解説されている
と紹介されています。
このように、難解になりがちなテーマを噛み砕いて示す筆致は、
著者の学識の深さと読者への配慮があるためと評されています。
また、第二話・第三話においては、
神武天皇陵の再興に尽力した蒲生君平や、
楠木正成(通称・楠公)の「忠誠の精神」が
いかに後世に受け継がれたかを、
多彩な史料を引きつつ追跡しています。
特に楠正成については、
江戸時代に多くの紙碑・口碑を通じて語り継がれたことを捉え、
「国民の歴史教養がいかに深かったか」を
再評価しています。
この視点は、近代以降の歴史学界が
過去の偉業や英雄を軽視する傾向にあることを
批判的に示すものでもあります。
さらに第五話では、
明治維新の理念を示す重要文献
『五箇条の御誓文』と、
同時期の「国威宣布の宸翰(しんかん)」
という文書を取り上げ、
これらが「民族の記憶」としていかに本質的か
を論じています。
記事は、こうした歴史的資料を再評価する姿勢こそが
「日本の心」に目覚めるための鍵であると強調します。
本書は「日本人の精神史を通史的に描いた叙述」であり、
豊富な史料と著者の深い見識が平明な語りで結実しており、
高く評価できるものです。
そして、個々の話題から浮かび上がる
「日本の心」
の本質を再認識し、
読者自身が歴史と向き合う契機を得ることを
すすめています。
年初から良い本を読ませていただきました。
今年も「日本の心」を更に知るために神社仏閣巡りをしますね。
